「ARTISTS JAM」社屋完成お披露目会 その2
入り口を入って1Fは広めの寛げそうなロビーと受付があり、その奥に小さめのオープン型応接室が4つ、大きめの部屋型応接室が1つと広い会議室が1つ。応接前の廊下にはフリードリンクコーナーが設置されてある。
壁はリゾート風なライトブラウンの積上げ石壁コアスタックで、床はダークブラウンカーペットで統一されているので、観葉植物の緑が良く映える。
どの応接室にも少なからず緑が置いてあり、照明も落ち着いた色合いのものと間接照明でリラックスして話せそうな空間なうえに、うっすらと自然環境音が流れている。
うん、とってもオシャレっ!
「あ、もしかしてこの照明の明るさとか環境音も、全部サクラが調整してたりするの?」
「ハイ サチコサンノオッシャルトオリ ソノヒノテンコウヤ キオン キセツニワアワセテ ワタシガチョウセイシテイマス! マタ オコノミニヨリ ヘンコウスルコトモカノウデス!」
「めちゃくちゃ有能じゃない! 凄いわねサクラ!」
「アリガトウゴザイマス! ウレシイデス!」
廊下中央にはエレベーターが、廊下奥には階段がある。
折角なので、階段で2階へ上がる。
2Fはオフィスフロアでかなり広めに空間を取ってある。
壁は1Fと同じで、床は濃い目のオレンジカーペット。
大きめの白い不定形テーブルが何個かと、簡単に持ち運べるスマートな白い折り畳み式オフィスチェアが置いてある。
フリーアドレスって言うんだったかな? 空間に余裕を持たせてあり圧迫感がない。
便利に使えて、それでいていつも綺麗にしておきたくなる、そんな印象を受けた。
白とオレンジを使っているので、全体的に明るくてやる気が出る感じがする!
もちろんここも観葉植物の緑が良く映えるようになっている。
うん、ここもステキっ!
奥の方は、床も壁もダークブラウンで統一されており、1Fと同じような小さめのオープン型会議室が2つ、中くらいの部屋型会議室が1つ、オープン型の一人用休憩室が5つ、それと給湯室があった。
ここは、何をするにも落ち着いた感じで出来そう。
特にお昼寝はめっちゃ寝れそう!
3Fに上がると雰囲気が一変!
研究室かなと思う程にライトグレーオフホワイトの壁で、ドアは2つだけ。
1つ目のドア、ここは中には入れなかったケド、壁がガラス張りなのでサーバー室って事は分った。
キラさんの自宅のサーバー室にあったデカイ棺桶みたいな箱が何十本も建っていて、LEDが一杯光ってて凄かった!
ここでやっとジュンタ君が目を覚ましたみたいで「ふぉぉぉーっ!」って変な声上げて喜んでた。
晶ちゃんも「うわぁぁぁーっ!」って可愛いものを見た時の様な声を上げてた。
あたしにはよく分かんないけど、黒い棺桶が一杯建っているのは見た目の圧が凄かった。
「チナミニ コレガワタシデス トイッテモカゴンデハアリマセン」
「サクラさん、カッコイイです! 最高です! もうロマンしかありませんよコレっ!」
「ジュンタさん分かります分かります! もはや萌えしかありません! 最高にカワイイです!」
キラッキラした目でコンピュータ愛を語る2人のオタクを見る周りの目が、死んだ魚の目の様になっている事に、気が付いていないのが幸いかなー。
2つ目のドアは中に入れた。
コンピュータールームってでもいうのかな? でっかいモニターとパソコンが沢山あって、マイクやスピーカーとかもあった。
「甘楽さん、ここがお話ししていた管制室『コントロールルーム』です。東京にあるシステムと遜色ない様にしましたが、如何でしょうか?」
「いやいやいや! キラ社長にはホント脱帽ですよ! ここまでウチのメインと同じだと、東京でもココでも同じレベルで仕事が出来てしまいますね! なっ、和田!」
「ええ! これからも、P‐SACOは誠心誠意『ARTISTS JAM』とヒーローのバックアップをさせて頂きます! 本当に素晴らしいの一言です! ありがとうございます!」
「とりあえず、このようにこの建物の周囲や、全国の見たい監視カメラ映像は簡単に見れますし、ジュンタくんの創造するドローンと接続すれば、侵入困難な場所でもどこでも楽々です!」
モニターに表示される映像が、瞬時に大量の映像に切り替わり、皆を驚かせる。
「そういえば、麻羽防衛大臣から秘密裏に許可を頂いたんでしたか」
「はい! 公には出来ませんが、政府公認ホワイトハッカーという立場みたいなものだそうです」
「そ、それはまた、ははっ、あはははははっ!」
最早何でもアリだな、と思ったのか和田さんと甘楽さんは笑って誤魔化していた。
こういうのって、大人対応っていうんだっけ? アレ? 違った?
次は4F、ここはドアが3つある。
廊下側の壁はダークブラウンのウッド調で整えられており、壁に間接照明と観葉植物が掛けられている。
ドアがある側の壁はライトブラウンのウッド調だが中が見えない様になっている。
天井と床は白のパネルで統一されていて、ダウンライトの光を床が軽く反射しているので、壁の色合いもあって、ここもとってもキレイ!
片方のドアを開け中に入ると、防音仕様なのかな? 周囲の音が遮られた感じを受けた。
床も壁もピッカピカのメイプルウッド調のフローリングで照明もビッカビカなんだけど、壁の1面だけが総鏡張りになっている。
「「あっ!」」
アルテミスの皆が慌てて靴を脱いで中央に走っていった。
「「レッスン室だっ!」」
「そう! 約束してたお待ちかねのルームね。これで、作った曲を存分に練習してもらうつもりよ」
「「はいっ!」」
「しかし社長、どの階も素晴らしくセンスのいいデザインでまとまってますよね? これって社長のアイデアですか?」
ロックさんがキョロキョロと関心しながら周囲を見回してキラさんに聞いた。
「もちろん私の意見も入ってるけど、9割以上セオドラちゃんのセンスのおかげよ?」
「えっ、ちょっ、ボスっ! それは言わない約束だったじゃないですかーっ!」
「「セオドラさんスッゲーっ!」」
「っちょ、まっ!!は、恥ずかしい~////」
……レアな反応だ、皆がきっとそう思ったはず。
「あ、ちなみにレッスンする時の音楽とか、その他イロイロはサクラに言ってね?」
「ドンナゴヨウボウニモ オコタエイタシマスノデ」
と言って腰に手を当て「ドヤァ~」とポーズを取るサクラ、めっちゃ可愛いんだけどっ!
ちなみにもう1つのドアもレッスン室だった。
最後に残りのドアを開けると、正面がガラス張りになった暗い部屋に沢山機械が置かれてあって、ガラス張りの向こうはさっきのレッスン室みたいな感じに見える。
「んなっ! ここレコーディング室だしっ!」
「レコーディング室ですわっ!」
「レコーディング室っす!?」
恋焦、香、明輝の3人が目をキラッキラにして機械に走り寄り、マジマジと見てる。
「レコーディングシタオンゲンハ ワタシノホウデ チョウセイシ ミックスダウンイタシマス」
「サクラさんマジ超有能!」
「エッヘン! ドヤァー!」
「「ぐはっ!」」
桜煌、葵育、恋焦の他にジュンタくん、晶ちゃんまで何かやられた模様。
「さあ、次はアルくん待望のフロアよ!」
「えっ、俺? あっ! って事は! マジっすか!」
「ふふっ! 一言先に言っておくけど、かなり期待していいわよ!」
「うぉーっ! めっちゃ元気出てきたーっ!」
キラさんとセオドラさん、アルくん以外の皆が、何だろう? と首を傾げる。
「さっ! 行きましょう」
5Fに上がるとまた雰囲気がガラッと変わった。
天井は白にダークブラウンの縁取りがされ、ダウンライトは多めに埋められているがやや暗めの電球色。床は薄めのワインレッドで、壁は高級感ある暗めのウッド調を様々に組み合わせて、より一層高級感を醸し出し、さらに間接照明がそれをさらにムーディーに演出している。
各ドアには「501」「502」など番号が表記されている。
廊下には微かにナイトジャズっぽいBGMが流れていて、これだけで既にめっちゃオシャレっ!!
「この5階から7階まで、後は同じ作りよ。 ひとフロアに7部屋で合計で21部屋あるわ! ただ、中はそれぞれちょっとずつ違う作りになってるけどね」
「キラお姉様! このフロアって! もしかして、もしかするっすか!」
「もしかして、もしかするんだっちゃ!」
「もしかして、もしかするなのっ!?」
「ふっ、甘いな君たちっ! もしかしなくても……俺の社宅だぁぁぁーっ!」
そう言うと我先にと階段で7階まで走っていく、アルくんと明輝、葵育、桜煌。
「うおぉぉーっ! 一番上の見晴らしのいい部屋ぁぁーっ!」
「それはボクのなのぉぉーっ! 空港の見える部屋ぁぁーっ!」
「ウチだって誰にも渡さないにゃーっ!!」
「自分も7階がいいっすーっ!」
あっという間に走って行った。
「ま、まぁ、4人は放っておくとして、この部屋から見て行きましょうか? サクラ」
「ハイ 501ゴウシツ オープン」
鍵ナシでドアのロックが解除された。
「501」の部屋は、ブラック、グレー、ホワイト、ブラウンの4色を基調にしてあり、キッチンやお風呂等の金属を使っている部分にはヘアライン加工が施してあるので高級感が凄い!
色合い的に男性向けな部屋の感じもするけど、こういうのが好きな女子も多いはず。
うん、リッチ感が半端ない!
照明は小さめのダウンライトがあちこちに埋まっており、温かみのある色合いで優しく照らしている。
メインの照明用として、絶妙なポイントにダクトレールが設置されているので、自由にライティングが楽しめる様になっている。
角部屋という事もあり、窓は南側と東側に大きめに開口していて、日光の取り込み具合も申し分なく、ゴージャスなカーテンが良く似合いそう!
部屋自体はワンルームだけれども、そのワンルームがなんと20帖程もある驚きの広さ。
キッチンルームも広いし、お風呂も一般的な大きさの2倍くらいある。
「元がほら、ホテルだったでしょ? だから広いワンルームにし易かったのよ」
「あの、キラお姉様っ! さっきアルさんが『社宅』っておっしゃってましたけども、こんな素敵なほぼホテルの一室が本気で『社宅』ですの!?」
「香、ナイス質問! ここあもソコ、疑問だったんだぞ!」
「二言はないわ! 3フロア21室、全て『社宅』よ、本気でね。 そう思ってあの4人は必死で先に走って行ったんじゃないかしら」
「んなっ!」
あたしもだけど、香、恋焦、それに晶ちゃんとロックさんまで衝撃受けてない?
「はいっ! はいっ! 私っ! 私、この部屋がいいですわっ! この501号室に住みたいですわっ!! お家賃おいくらですの!?」
香が真っ先に手を挙げたのを見て、もちろんあたしも手を挙げたかったんだけど・・・
そう! 問題なのは「家賃」よ!
どんなにいい部屋、いい立地であろうと、まずは「家賃」!
というか、その前にあたしはまだ学生だし? 学校にも通わないといけないし?
そりゃアルテミスの皆は所属アイドルだから? 会社に部屋持ってたほうがいいのは判るんだけどさ?
最低でも後1年は学生な訳だし、家賃払える収入も無いし。学校卒業してからココに就職するまで部屋キープしておいて、なんて言えないよねぇ。流石に図々しいよね?
晶ちゃんも、そういう自分の立場や年齢を分かっているから、黙って我慢してるように見えるし。
こういう時って、学生って嫌だなぁって思う。
思わず晶ちゃんを軽くギュってハグしたら、晶ちゃんもギュってハグ仕返してくれたから、ああやっぱりそうだよね、悔しいよね? って思っちゃった。
「言ってしまえば、会社ビルの中にあるただの一室よ? 家賃なんて無粋なもの、私が取るわけないじゃない? 香ちゃんはこの部屋に決めちゃったけど、恋焦ちゃん、さっちゃん、晶ちゃん、それとロックさん、自分の部屋、欲しくなかったかしら?」
「「ええぇーっ!?」」
「「欲しいーっ!」」
「じゃ、じゃあ俺も? ちょっと、見てこようかな? ……お先っ!」
「あっ! ロック待つんだしー! ここあも行くんだぞーっ!」
「って、早っ! 2人とも行っちゃった」
「え、でもいいのキラ姉? 私まだ中学生だし、もし大学卒業まで入社出来なかったら後8年は先だよ? それまで部屋とってて貰うなんて、なんか、すごく申し訳ないっていうか」
「あたしも、晶ちゃんの気持ちよくわかるー。ホントにいいのキラさん? 迷惑なんじゃない?」
キラさんが、迷ってるあたし達の手を取る。
「何言ってるの。 さっちゃんも、晶ちゃんも、あなた達が居てこその『ARTISTS JAM』じゃない? 寧ろあなた達の居場所をここに作ってもらわなきゃ、私が困っちゃうわよ? でも大人になったらちゃんとここに就職してね? とは言っても、ふふっ、心配なんてしてないけどっ! 私達は仲間でしょ、ずっとね」
そう言って、背中をポンッと叩く。
「気に入った部屋選んできてっ! それと、さっちゃんと晶ちゃんの部屋に必要な家財や物は、私が買ってあげるからね! っていうか、皆に私が買ってあげたいの」
ちょっと悪戯っ子みたいな笑みをしたキラさん。
「さ、セオドラちゃん! 私達も部屋押さえに行くわよーっ!」
「了解しました、ボス!」
――タタタタタターッ!
あっという間に階段に消えて行った2人。
「あ、晶ちゃん!」
「さ、さちこ先輩!」
「「行こうっ!」」
――タタタタタターーッ!
その場に残されたエボ爺、和田、甘楽。
「烏帽子さんはよろしいんですか? 部屋押さえに行かなくても」
「和田さんや、ワシには離れたくても離れられん家がもうあるからの」
「分かりますねぇ、年を重ねるというのはそういうことですよねぇ」
「それに……広い駐車場の一部を改築して守衛用の1LDK、新しく作ってもらったしの! ふぉっふぉっふぉっ!! 既に抜かりはないっ!」
「「んなっ!?」」
「よーく覚えておいたほうがええ、年を重ねるというのはそういうことじゃぞ? ふぉっふぉっ!」
してやられた顔の和田と甘楽だった。
501号室の中で部屋の雰囲気を堪能している香。
「サクラさん、この部屋は私が押さえましたが、何かやっておくべき事はございますの?」
呼びかけに応え、3Dホログラムで現れたサクラ。
「スデニ カオニンショウ オヨビ セイタイニンショウハ トウロクズミデスノデ イシカクニンノミデ ルーム501ノ アドミニストレータケンゲンヲ セッテイスルコトガ カノウデス」
「そうなのですね! ではお願い致しますわ!」
「リョウカイイタシマシタ コノ 501ルームデ ヨロシイデスカ」
「YESですわっ!」
「イシカクニンカンリョウ ルームドアニ ネームノヒョウジヲオコナイマス カンリョウシマシタ」
「サクラさん、ありがとうですわ! それと、音楽を流す事は出来ますの?」
「モチロンデス キョクメイヲ オッシャッテクダサイ」
「そうですわね、私達、Artemisの曲を煩くない程度のボリュームで、かつ、インストでメドレーでリピートを、ってこんなに条件多くても行けますの?」
「モンダイアリマセン ナンナラ コマカク イコライザーノセッテイヲ オッシャッテイタダイテモ ダイジョウブデスヨ」
「ウフフッ! サクラさんは本当に優秀ですわね、これからのここでの生活が楽しみですわっ!」
~♬♪♫♩♫♪♬ ♪♫♩♫♪……
開いた窓から外へと流れ出していくBGM
乗せる鼻歌が気持ちよく街の雑踏と混ざり合い、そして消えて行く。
少し冷たい空気が、新しい部屋を凛とした。
暫く部屋を堪能してから廊下に出た香。
ドアに表示された501の下に「Kaoru Hitohana」と、自分の名前がデジタル表示されている事に満足する。
「さて、皆の部屋はどんな感じなのか、気になりますわね!」
鼻歌を歌いながら、7階まで階段を上がって行くのだった。
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Side Story に社屋設定を置いてあります。
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