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Rising Force - Genesis -  作者: J@
激闘編

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消失

    § ベータチーム アゲハ視点 §


 アルテミスの歌でパワーアップしたあーしたちは、怒り狂ったレッドアイにこれでもかと怒涛の攻撃を浴びせた。

 トリッキーな動きのあーしと、ド直球のサッチ。バランスの良いロっくんで、常に敵を攪乱し確実にダメージを蓄積させていく。


「クッソがぁぁーっ! いい加減足の一本でも折れろっつーのっ!! キショいんだよっ!」

「冗談でしょ!? あたしの渾身の正拳喰らって、何で平気に向かってこれるワケ!?」

「冗談じゃねぇ! 悪い夢でも見てんのか俺はっ!」


 これでもかと次々と繰り出す波状攻撃は、敵に隙を作らせない。

 だが、レッドアイの異常なまでの防御力は、攻撃を全て防いでみせた。

 あーしらの攻撃は、その一撃一撃がとんでもない威力なのは間違いない。

 少なくともこいつの膝関節は骨が見えてる! 攻撃は無駄じゃないって事だ!


「お前はあーしたちが必ずブッ倒すっ!」

「アタシたちは絶対に負けないっ!」

「残念だったなレッドアイさんよ! ウチの嬢ちゃんたちはすこぶる諦めが悪いんだ!」


 狂暴化して言葉が通じてるのかどうかは分からないが、真っ赤に光るその瞳は、さっきよりも色々と語ってくれている。


「にゃはははっ! それは効いてるって事だよなっ! なぁ! そうだよなぁ!」

「今すぐその面、ぐっちゃぐちゃに潰してあげるからっ!」

「「ゔぉぉお゙お゙おおぉぉぉおおーっ!!」」


 上空でショウゴ先輩の治療を続けるアーちゃんが叫ぶ。。


「お姉ちゃんたちっ! 三人にムーンショットをっ!」


 ステージ後方のメーターが丁度MAXに到達した。


「ハイパーモードッ! 行けるんだっちゃ!」

「「おおーっ!」」


 曲に合わせ全員が弓を引く動作で最大まで引き絞る。


「「いっけぇーっ! ムーン! ショット!!」」


 引き放たれた白銀の光の矢が、あーしらの身体に突き刺さる。


「「きたぁぁぁああ゙あ゙ーっ!!」」

「観念しろやぁぁああーっ! このクソムシがぁ! 俺たちの勝ちだぁぁあー!」


 5倍支援効果による超々パワーアップ。一切の迷いなく全力で放つ最強の蹴り。

 最早、図体がデカくなったレッドアイに到底追いつけるスピードではなく、苦し紛れに繰り出した蹴りがあーしらの蹴りに挟まれる。

 激しい火花を散らせながら捉えたレッドアイの膝は、鉄筋でも折れたかのような高音を発し、捥げて激しく血を噴き出した。


「ギィィィャァァァアアアーッ!」


 その痛みに仰け反った隙を逃すはずもなく、ロっくんは軸足を追撃し破壊する。。

 いい音を鳴らし膝関節が外れ、体勢を保てなくなったレッドアイは地面に転がる。

 すかさず足首を両手で掴んだあーしは、身体を高速回転させそれを捻じ切った。

 筋線維がブチブチブチッと断裂する感触が手に伝わって来て、即座に足首を投げ捨てる。


「ギィャァァーッ!!ヴァア゙ァァァアァァァ……」


 両足を失い地面に倒れ込んだレッドアイの身体がみるみる萎んでいく。

 残ったのは、シワシワになった白髪のおじいちゃんになり果てたレッドアイだ。


「痛だいーっ! 痛だいよぉーっ! ……もうやめてぇー! こっ、降参しますから! どうか、どうかお助けをーっ! 出来れば目と手は勘弁してください! お願いします! もう悪さはしませんから、牢屋でもなんでも入りますから! 本さえ読めればそれで……」


 どうやら好き勝手言いたい事を言って気絶したようだ。


「チッ! なんて我儘で自分勝手な言い分を! 待ってるのは死刑のみよ!」

「そもそも、ブチ込まれてから本なんか読めると思うなし! ってか今死ねよっ!」


 喉元に手刀を構えたその時……。


≪悪りぃ、オレ、死んだかも≫


 突然リンからの衝撃的なテレパシーを受け、レッドアイにとどめを刺そうとしたあーしの動きが止まった。

 あーしだけじゃない。サッチもロっくんも。ショウゴ先輩も治療を続けてるアーちゃんも。みんな。アルテミスも歌を忘れ、動きが止まる。

 誰も想像していなかった、有り得ない言葉に動揺が走る。


「「……は?」」


 もしリンが危ない時は、今度はあーしが助けるから。絶対助けるから!

 あーしからリンにした約束がリフレインする。

 果たすのは今だろっ!! 行けアゲハ! あーしはもう何も失わないんだっ!


「ごめんっ! あーし行かなきゃっ! リンを助けにっ!!」


 言葉より、考えるよりも先に身体が動いた。一直線に、あの光に向かって!



    § リン視点 §


 途轍もない超高エネルギーの凝縮に、激しく弾ける光の残滓。

 放たれた紫電は雷光と轟音で周囲を覆い尽くした。

 同時に敵のロボットから放たれる超光子キャノン。

 どっちの技が強いのか、とか、このレベルまで達したら差なんてない。

 放った自身の攻撃エネルギーに耐え切れず、砲門が吹き飛び爆発するロボットの敵。

 敵を屠るために練り高めた雷撃で、身体が黒焦げになり浮いているのがやっとのオレ。

 超超高出力がぶつかり合い、凄まじい光エネルギーと音が周囲を真っ白に染め上げる。

 世界から音が消えたその瞬間、中心に黒点が現れた。

 周囲を染め上げた光のエネルギーを喰らうように、光が収縮するのと反比例に黒点は大きくなる。

 まさに、超重力ブラックホール。

 その黒点は周囲の大気を吸い込み始めた。

 オレは、満足に開かなくなった瞼の隙間から、その始終をスローモーションのようにただ見ていた。

 瞬間、その黒点から何かが飛び出した様に見えたが、質量を持つものはブラックホールからは逃れられない。なら今飛び出していったモノは何だ? 駄目だ、思考が覚束ない。

 だが、それは一瞬で山向こうに飛んで行ったように見えた。

 光を喰らい終えた黒点は、徐々に周囲の物を吸い寄せ、吸い込み始める。

 勿論オレも例外ではなく徐々にそれに引き寄せられていく。

 ここから離脱する力は……残ってないな。

 毒であちこち動かない、何より意識が朦朧としてトビそうだ。

 テレパシーで皆が何か言っているが処理出来ねぇ。

 チクショウ、せめてディノポネラとロボットくらいは倒したかった……。



    § ??視点 §


 黒点から飛び出たそれは、一直線に自分のあるべき器に引き戻されるように、パトカーの後部座席に寝かせられている身体に帰った。

 パトカーに突然落ちる雷。派手に爆発し炎を上げ大破する。

 周囲に居た警官は慌てて避難しその様子を伺った。

 だが、天から落ちた雷とは逆に、天に立ち昇る紫電の光柱が突如現れ、夜空にその存在を知らしめるかのように光輝いた。

 轟く雷鳴と共に、光柱の中に紫色の電光を纏った男が立っていた。

 自分の手足を確認し、周囲を見回したかと思うと一方向に顔を向け、雷鳴と共に一筋の光を残して一瞬で姿を消した。



    § リン視点 §


 ブラックホールに吸い込まれていくオレに止めを刺そうと、漆黒の炎が襲い掛かる。


「ヴァアァァアァァアアァァーッ!」


 抵抗することも出来ず、手刀の連打と蹴りを喰らったオレはブラックホールに吸い込まれる速度を加速する。

 その瞬間、雷鳴が轟いた。

 戦場に現れた紫電の光、オレじゃない紫電の光が漆黒の炎とロボットを一刀両断で屠る。

 ロボットは中に乗っていた搭乗者ごと真っ二つにし、内臓もろとも飛び散らせながら爆発し粉々になった。

 漆黒の炎はそれでも藻掻き、怨嗟の咆哮を上げながら紫電の光に掴みかかる。


「アァアァァア゙ァ゙ァァァアア゙ァァァア゙ァァ゙ァァ」


 それはまるで光に群がる亡者の様であり、自身の(けが)れを浄化してくれと縋る罪そのものの様だった。

 紫電の光が片腕を振るうと、漆黒の炎は跡形もなく吹き飛び、その存在を消滅させた。

 ブラックホールに膝下まで飲まれたオレは、紫電を纏ったその男を見る。

 浅い褐色の肌に銀糸のような髪。だが、その顔は見間違えるはずもない。

 光をも喰らうブラックホールにのまれるにつれ、視界も音も歪んでいく。

 声は発っせたかどうか分からないけど、オレは確かにそいつの名を叫んだ。

 その声と重なるように、誰かが激しくオレの名を呼ぶ声がしたような気がする。

 全身が飲み込まれ、音はもう聞こえない。視界も歪み、霞んでいく。


「リーンっ!!」


 誰かが必死にオレに手を伸ばしている。そんな気がした。

 視界はもうない。意識も……もう途切れる。

 ふと、鼻先をアゲハの香りが通り過ぎていく。

 アゲハ!? バカ! ダメだっ! こっちに来ちゃダメだっ!

 待ってろっ! オレは必ず生きて戻って来るから!

 オレは、残った力の全てを使い、このブラックホールの口を閉じた。

 そしてオレは……。



    § ??視点 §


 宙に浮かぶ黒い点。

 それに飲み込まれていく黒焦げの人型をしたもの。

 それは俺の名前を呼んだ気がした。

 とても懐かしい感じがした。

 何故だろう、胸が熱くなる感じを覚える。アレは……誰だ?

 すると、猛烈なスピードで何かが飛来した。


「リーンっ!!」


 黒焦げの人型をしたものに必死に手を伸ばし、懐かしいその名を叫びながら。

 そして、それは自ら黒点に飛び込むと、ほぼ同時に穴は閉じた。

 今……何て言った?

 聞き間違えじゃないよな!?

 俺は戻って来たのか!?

 なんてこった! 一体何がどうなってんだ!?

 チクショウ! もっと早く気が付いてりゃ!


「グッ……! リンちゃーんっ!!」


 木々が燃え盛り、揺れる白んだ空の山向こうで、朝日が顔を出そうとしている。

 静まり返った山の中、俺の叫ぶ声だけが響き渡った。

ご覧いただき、ありがとうございます。


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