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Rising Force - Genesis -  作者: J@
事件編
7/124

捜索隊

「でー? 場所の目星ってどこよー? リンちゃん!」


 オレらは今、強い雨の中を自転車で走ってる。

 オレらってのは、話の流れでアルが一緒について行くって事になったからだ。

 危ない事に友達を巻き込むわけにはいかないって、オレはそう言ったんだが……。


「何言ってんだよ! 危ない事だから一緒に行くのが友達ってもんだろ!」


 どうにも引き下がりそうにないので、捜索隊は二人になったって訳だ。


「へへっ、これで俺とアマツも友達からマブダチに昇格だな!」

「え、ああ、そう……なるのか?」

「って事でー、これからは『リンちゃん』って呼ぶことにしよう!」

「はあーっ!? ちょっ! ちゃんは無くね? ちゃんは!」


 なんて話をしながら最終的に『リンちゃん』に落ち着いてしまった。


(れい)の移動履歴は、猿羽根山(さばねやま)に向かった様に見えたー、だからそこに向かうー!」

「結構距離あるよねー? こっから10kmちょいくらいー?」

「大体そんなもん! 車はほとんど通らないけど、暗いから気を付けてくれー!」

「りょー! てか、リンちゃーん! ちょーっとだけ寄り道してもいいかなー!」


 一応、雨を凌げる場所に移動してからアルの話を聞いた。

 そして、オレはその提案に乗ることにした。


「危険な場所行くんだし、何起きるか分かんないじゃん? なら、武器って必要じゃん?」


 要は、学校に寄って機械科の備品から武器になりそうな道具を借りて行こうぜって話。

 確かにアルの言う通り、(れい)を救う事だけに頭が行ってて、万が一の事を考えてなかった。


「オレ、そこまで頭が回ってなかったー、ありがとう、助かるー!」

「んー? ごめーん、よく聞こえなかったー! ワンモアプリーズ!」


 慣れない事言ったら揶揄われた。


「……二度と言わねぇーっ!」


 アルは笑ってたけど、コイツはほんとにいい奴だ。ありがとう。


 とりあえず学校まで来たけど、流石に20時も過ぎて正面玄関から入るのは躊躇われる。

 だけど今日は金曜日。宿直の先生とかも居なさそうではあるが、さてどうしようか。


「リンちゃーん! ここ開いてる! ここーっ!」


 少し声量を落としてオレを呼ぶアルは、あろうことか正面玄関から入ろうとしてた。


「ちょ! 大丈夫なのかそれ!? セコムとか引っかかったりしないのか!?」


 (れい)を探しに行く前に、こんなとこで捕まったりしたら話にならない。


「大丈夫! 前にも夜来た事あるけど、この学校古いからセキュリティなんてナイナイ!」

「はっ? それ学校的に大丈夫って言わなくね? てか、前に夜の学校来た事あるんだ」

「あるある、一年の時の夏に数人で肝試しにね」

「マジか!」


 一年の夏にそこまでのコミュ力を発揮出来なかったオレにしてみれば、マジかの一言だ。


「マジマジ! 全く何もなくて怖くなかった!」


 びっくりした部分がちょっとズレてるけど、あえて訂正はしなかった。

 なんて話しているうちにあっけなく学校の中に入れてしまった。


「さ、機械科に行って手早く武器借りてこー」


 極力足音を立てずに、かつ素早く移動したら忍者の様になってしまった。

 中腰、つま先小走りは太ももがキツイ。


「リンちゃん、あそこの部屋」

「OK!」


 ドア前に移動し中腰のまま中へ入り、音がしないよう注意してドアを閉める。


「ふぅ……我、潜入に成功せり」


 そう言いながらマグライトを取り出し、外に漏れない様に周りを照らすアル。


「それなりに使えそうな物とか、重くなり過ぎないモノ選んで早めに出よう」

「りょ!」


 何故、機械科にこの工具が? とは思ったが、アル曰く「まぁそんなもん」らしい。

 オレは工具ベルトを腰に巻き、左にバール、右に電動ネイルガンを装備した。

 アルも工具ベルトを腰に、左にバール、右にバール、それと防塵用のメガネを装備。


「一応ツッコんでおくけど……なんで両方ともバール?」


 確かにバールという選択は悪くない、悪くないというより最良の選択だと思う。

 L字に曲がっている方を握れば、振った時にスッポ抜けたりする事がない。

 重量もあり、当たれば相当痛いどころか顔面ヒットなら骨折もするだろう。

 もしインファイトになった時も握り手の下になったL字で殴れる。


「よく聞いてくれた! フッフッフ、左は黒、右は銀色! これで俺も二刀流剣士なのだよ! 白黒の!」


 ……色々と台無しになった。


「……あっそ んじゃ行こうか」

「えー、そこはもっとこう、突っ込んで欲しいというかー? カッコイイとかー?」

「……はいはい カッコイイ、カッコイイ」


 これから危ない橋を渡ろうとしているのが解ってるから、意識的にこういうフザけた事を口走ってるんだなってのは、迷いのない行動から伝わってくる。


「よし! OKだな。自転車まで戻ろう」


 来た道を戻ろうとドアを開けようとしたらアルに止められた。

 振り返ると、グーに握った右手の親指を立て、後ろ側にクイッとジェスチャーしながらアルが言う。


「お急ぎのお客様はー、こちらのお出口からどうぞー!」


 窓を開け、お先にどうぞのポーズ。


「……お前、イケメンだな」

「フッ、いまさらー?」


 ニッと笑うアルは本当にカッコよく見えた。

 窓から外に出た後、引け腰でそっと窓を閉めるアル。


「……お前、ブサイクだな」

「評価下がるの早くない!?」


 強く雨が降り続く中、たった二人の捜索隊は校舎の軒下を走り抜けて行く。

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