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Rising Force - Genesis -  作者: J@
激闘編

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64/124

突入

 地下組織WORMSの日本支部、BUGS拠点探索からものの数分もしない内に、ジュンタから入り口発見の報告が入った。


≪探索範囲内の端の方にトンネルを発見。その奥に岩壁に擬態した金属製の扉。位置をCTLに表示します。こちらから合図があるまで、ポイント上空で待機願います≫


 数の暴力とでも言うのだろうか、ジュンタだからこそと言った方がいいのだろう。

 ジュンタには本当に感謝してる。見つけてくれて、本当にありがとう。


 これで、アゲハの肩の荷が一つ消え、少しは軽くなったのだろうか。出来ればそうであって欲しいと願う。アゲハは元組織構成員。このBUGS拠点の位置も知っていた。みんなに黙っているという選択はオレが強制したものだ。それが君の心を苦しめていたのだとしたら、どうかオレを責めてくれ。アゲハ自身が自分を責める事の無いように。君は何も悪くないんだ。

 この戦いでオレは、君を被害者にした奴らを一掃する。決して許しはしない。

 これは、オレの贖罪。君にそんな思いをさせてしまったオレの償い。

 見ていてくれ、オレの戦い様を。オレがどんなに(いか)っているのかを。内に滾る炎の熱さを!

 

 CTLに表示されたポイント上空に移動すると、目の前に二匹の小さなコウモリが飛んできてショウゴの腕にぶら下がった。


≪ショウゴ先輩。それ、僕のドローンなんで壊さないでくださいね。中にも監視カメラがあったので、映像を録画に切り替えて偽装工作します。んじゃ行ってきます≫

≪ジュンタは本当に頼りになる男だな。こう見えてもオレ、かなり感謝してるんだぜ?≫

≪リン君。そういうのは後で聞きますね。今は作戦に集中しましょう≫

≪ジュンタくんの言う通りよ。みんな気を緩めないで。リンくん。甘楽さんに報告を≫

≪了解した≫


甘楽(かんら)さん。この真下にBUGS拠点の入り口を発見しました。監視カメラの映像を録画に偽装したら中に入ります』


 リンのボディカメラ映像をモニターしている東京のコントロールセンター内に流れる音声。発見の速さに驚く甘楽(かんら)とスタッフ。


「マジか、本当に地下組織が!」

「おいっ、メモ帳で『了解、成功を』と知らせろ!」


 オペレーターがメッセージを打ち込む。


≪『了解、成功を』だって≫


『ああ、祈っててくれ。オレたちは必ずやり遂げる!』


 トンネルの中に入ったコウモリは一匹が監視カメラに、もう一匹が扉のセキュリティロックにぶら下がった。


≪みんな。これから全監視カメラの映像を五時間前の録画映像にすり替えるわ。それと入り口のセキュリティもバレない様に解除したから問題なく入れるわよ! 幸運を≫

≪≪キラお姉様カッコいいっ!≫≫


「流石ジュンタ君とキラさんね。ほんと凄いっ!」

「あの二人がいればあーしら無敵じゃんね! っと、集中集中!」

「アゲハちゃんの言う通り、気を引き締めて行きましょう!」

「よし、みんな降下だ!」


 トンネル入り口に降り立つと意外と奥は深く、壁は自然に出来たような洞窟を装っているが、地面は車が通れるような平坦さで、そのアンバランスな感じがここに何かありますよと言っているようなもんだ。


「中に入ったら作戦通り2チームに分かれる、接敵したら即無力化して奥に進む」

「ああ、リンの方も気を付けてな、こっちは任せろ」


 岩上さんが拳を突き出して来たので、オレもそれに合わせて拳を合わせた。

 200メートルも進むと前方に洞窟の壁に擬態した金属製の扉が見えた。


「こいつだな、開けるぞ。ショウゴ」

「ああ、OKだ!」

「あ、待ってください! 多分これですっ!」


 晶がコウモリを見つけ、周辺を探ると自動ドアの様にスムーズに開いた。


「晶ちゃんナイスっす!」

「やるにゃ晶!」


 中に入ると、明るい照明が視界を確保している。通路もかなり広い。


「アルファは右! ベータは左へ! いくぞ!」


 アルファチームのオレたちは、足音を気にするよりも、速度に重点を置いて一気に走る。

 見つけたドアは片っ端から開け、人間がいないかを確かめる。それっぽい機械を見つけたらその都度FRISKサイズの中継器を付けつつ、一部屋一部屋、敵は絶対に逃げ漏らさない覚悟で虱潰しに調べて進んだ。

 このフロアは、そのほとんどが応接室や会議室っぽい部屋ばかりだった。さりげなくアゲハに視線を配ると、小さく首を振る。なるほど、やはりこのフロアはハズレだな。

 アゲハは、オレに知っている限りの情報を話している。アルが捕まっているとしたらもっと地下。予想では地下10階の研究棟か33階の医療棟って話だ。ならそこまで一匹も逃さず、全部潰していくだけの事だ! この胸糞悪い拠点を真っ赤に染め上げてやる!

 そしてオレたちは速度を上げ、下の階へと駆け降りる。



    § ベータチーム ロック視点 §


 ベータチームは俺をリーダーに、サブリーダにさっちゃんを置いた。


「あ、車が沢山停まってるっす!」


 壁際にズラッと車が止められているのを発見した。


「もしもの為に車で逃げられないように、全部壊しておくの!」

「その方が良さそうですわね!」

「ちょっと待てお前ら! 振動与えたら車のセキュリティアラーム鳴るんじゃないのか!?」


 ビビり過ぎなのかもしれんが、慎重に越した事はないと思う。


「多分大丈夫だっちゃ! こんなの一瞬だにゃ!」

「ロック、よく見ておくんだぞ! こんなの、ここあにかかれば瞬殺だし!」


 そう言うが早いか、アルテミスの皆はバッテリーが積んであるであろう箇所を、的確に破壊していった。まさに一瞬で。

 ものの10秒程で全ての車は破壊され、ただの鉄の塊と化した。


「結構大きい音したけど、まっ、大丈夫でしょ!」


 さっちゃんもこの通り、大物なのか楽観的なのか。そもそも女性とはみなこうなのか。

 とにかく俺がしっかり注意しておかないと、どこかで痛い目をみそうだ。


「こっちにドアあるっすー!」


 明輝(あき)がドアを開けると、一気に中に雪崩れ込む。


「ドア、オールチェック!」


 さっちゃんが声を出すと、皆が一気に行動に移る。

 逆にリーダーの俺が若干遅れてしまい、結果、一番遠くのドアまで走る事になった。

 通路奥にエレベータのようなものが見え、ボタンの上「△▼」が光っているのが見えた。


 ――チーン!


 隠れる暇もないうちにドアが開くと、白衣を着た人間が数人、エレベータから降りてきた。

 こうなったら全員まとめて吹っ飛ばすしかない。そう考えた俺は、スピードを上げ廊下を大型トラックの如く突進する。


「なっ!? 侵入者だ! 撃て、撃てーっ!」


 叫び声が上がると、数人が俺に向かって銃を抜くが、敵ながら頭のいい事に2人がエレベータ内に戻りドアを閉める。

 クソっ! このままじゃ初っ端から応援を呼ばれちまう!


「待てっ!」


 ドアが閉まるのを阻止しようと更にスピードを上げたが、容赦なく銃弾が飛んでくる。

 短銃も、数が揃えばマシンガン並みの脅威になる。

 ベールのおかげでダメージを負う事はないと頭では理解している。だが、反射的に避けてしまうのは、まだオレが普通の人間だった時の名残だ。クソ! なんて俺はグズなんだ!

 エレベーターのドアが閉まってしまう! 俺の足じゃ間に合いそうにない!

 その瞬間、銃声に紛れ桜煌(おうか)葵育(あおい)が俺の頭上を飛び越し、超高速でエレベータ内に滑り込んだ。直後にドアが閉まり、敵と一緒に下へ降りて行ってしまった。

 女の子2人に遅れをとってしまった! 情けない! なにが元警察官だ、聞いて呆れる!

 銃弾をはじき返しながら、高速で敵に体当たりし吹っ飛ばす。

 その間にさっちゃんと(かおる)が敵の腕をへし折り、更に両足を容赦なく踏み潰した。

 男の汚い叫び声が廊下に響き渡る。

 その躊躇無い動きに驚いてしまい、俺は動きが止まってしまった。


「なに呆けてんだしっ! ロック!」


 遅れて飛び込んできた恋焦(ここあ)明輝(あき)が俺に活を入れると、地面に転がった敵の銃を奪い、頭に撃ち込みトドメを刺す。

 鮮血が天井と壁に飛沫跡を残し、固く白い床をゆっくりと赤が浸食していく。


「ロック! 本気でやる気がないなら帰って寝た方がいいんだぞっ!」

「そうね、これは戦争よ、やらなきゃこっちが殺されるわ!」

「そうっす! 中途半端だと必ずどっかで死ぬっすよ!」

「そういうことですわよ! しっかりして下さいっ!」


 俺はこんな若い子四人に叱責される程ビビっていたのか。

 何が慎重に注意深くだ、チクショウ!

 俺は自分で自分の頬を殴った、が、ベールがそれを防ぐ。


「チッ! スマン! 俺が一番覚悟が出来ていなかったようだ!」

「そうだし! 気づくのが遅いんだぞ!」

「ああ、こっからもう遠慮は無しだ! 全力でぶっ潰しにかかるぞっ!」

「お喋りしてる暇はないわよ! 急いで下に行った二人を追わなくちゃっ!」


 俺たちはエレベータの扉を破壊し、桜煌(おうか)葵育(あおい)を追い、真っ暗なエレベーターの穴に飛び込んだ。



    § 作戦本部チーム キラ視点 §


 みんな、無事に進んでいるかしら。必ず成功させて、皆無事で帰ってきますように。

 表面には出さないが、私の心の中は少し不安が過っている。嫌な予感がザワつくのだ。


「キラさん、ネットワーク侵入の方はどうですか?」

「ううん、まだダメね。ハズレばかり。小規模LANの域を出ない」

「ボス! 下から大勢がこっちに向かっている気配がします! 普通じゃない速度です」


 スキー場の頂上で待機している作戦本部チームの3人は、下の方から大人数が駆け上がってくるのを感知し警戒態勢に入る。

 セオドラはWindrunner M50を手元に出現させ、スコープを覗いた。

 駆け上がってくる集団は、特殊部隊戦術ベスト「タクティカルアーマー」を着用している。


「なるほど、常人ではありえない速度と跳躍力な訳です。ボス、和田さん率いるP‐SACOが到着したもようです」


 集団は、スキー場頂上に到着するとヘルメットとゴーグルを外した。

 ゴーグルの下から現れたのは、テレビでよく見るドンピシャの和田さんだった。


(すめらぎ)社長、初めまして『民間特殊犯罪対策組織』通称P‐SACOの和田です。何から何まで用意して頂きまして、大変申し訳ありません。おかげでここまで来れました!」

「いいえ、こちらも感謝していますのでお互い様です」


 P‐SACOに集まった沢山のメンバーが、凄いアイテムです! とか、ありがとうございます! とか、俺独身です! とか言っているのが聞こえてくる。


「それより、そちらの出番は意外と早いかもしれませんよ?」

「今の状況って、お分かりになるんですか?」

「ええ、もちろんです。ジュンタくん、お願い」

「了解です。展開します」


 暗闇の中にドデカいモニターが出現し、映像が映し出される。


「彼らと一緒に拠点内部に入ったドローンからの映像です」


 モニターには、ベータチームがエレベーター前で交戦している様子が映し出された。


「おおぉぉーっ! 何だこれはっ!?」


 常識を超えたジュンタの能力と戦闘映像に驚愕が漏れる。


「キラさん、リン君のボディカメラの映像ってこっちに回せますか」

「OKよ。甘楽(かんら)さんの方で受信してる映像をこっちにも回すわね」


 腰に手を当てたままのキラさんがそう言うと、何をするのかとP‐SACOの皆が視線を移すが、キラさんは「はいOK」と言っただけ。

 だが、モニターにはボディカムらしい躍動感ある映像が映った。


「リン様の方はまだ接敵していない様子ですね。まずは順調といった所ですか」

「そうね。一応、画面はマルチで全て表示して」


 言われたジュンタも何もしていないが、モニターの表示は切り替わる。

 アルファとベータを追うドローン映像と、リンのボディカムがメインで大きく映り、その他は拠点上空を警戒している映像や入り口前のトンネル映像などが映っている。

 和田を含めたP‐SACOの全員が、これは超科学なのか超能力なのか見極められず、ただモニターを食い入るように見入っていた。

ご覧いただき、ありがとうございます。


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