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Rising Force - Genesis -  作者: J@
激闘編

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P‐SACO

 東京から新幹線で山形県東根市入りした和田。

 今は17時、ホームから駅外に出ると金髪の美人が出迎えてくれた。

 彼女はリン君が席を置く会社の秘書で、瀬尾さんと言うそうだ。


「初めまして和田と申します、何がどうなるか分かりませんが、よろしくお願いします」

「いつもテレビで拝見しております、こちらこそ何卒よろしくお願い申し上げます」


 非常に丁寧で言葉も所作も美しい女性だ。


「到着されたばかりでお疲れでしょうが、時間もあまりございませんので、早速ご案内申し上げます」


 言われるがままド派手な黄色いジープに乗り「ARTISTS JAM」の社屋に向かった。

 社屋はまだ改築中だが、ものすごく広い駐車場にズラッと黒いワゴン車が並んでいる。

 日産キャラバン、ワゴンGXの十人乗り仕様が5台。どう見ても新車でシートにビニールが掛かったままだ。


「和田様、本日の作戦実行にこちらの車を全て遠慮なくお使いください。もうそろそろ招集された30名の方々がここに集合されるのでしょう? それと本日集まられた和田さんの会社の社員となる方々への臨時支給に、こちらもお使いください」


 車から小型のアタッシュケースを取り出し、人目に付かない場所で開けて見せる。

 中には1千万円が入っていた。


「えっ? はぁっ!?」


 車で既に驚き過ぎて言葉が出なくなっていたのに、追加でこれでは更に言葉が出ない。


「本日の特別手当でお一人頭30万円、30名で9百万円。残りは経費と和田様の分と計算しております。こちらも遠慮なくお受け取りください」


 もう何が起こっているのか分からない。


「は、はい」


 返事をしてしまい、アタッシュケースを受け取ってしまった。


「車のカギは既に付いております、ガソリンも満タンになっておりますので、直ぐにお使いいただけます」


 ここで、なぜ秘密にしていた自分の会社を知っているのだ? という事に気が付く。


「な、なぜ私が会社を興していることを知っているのですか」

「もちろん存じております、当社の煌であれば、調べるのに1秒すら必要としませんので」


 和田は思い返す。

 リン君に今夜の地下組織壊滅作戦の後始末を頼まれ、今までの全ての伝手を使って確実に組織の手が伸びていないと断定出来て使える人間。有能なものばかりを30人キッカリほぼ半日で集めた。

 というのも、リンから連絡を受けた以降、東京から東根市までの新幹線でやっと仮眠を取った程に一昼夜人員集めに奔走した結果だ。


 始めは警察関連から招集しようかとも考えたが、現役は法的に無理があるしロートルはどうにも穴がありすぎる感じがするので除外した。

 次に自衛隊関係からとも考えたが、これも法的に無理があるし縦社会的にも秘密や情報が漏れそうな気がして除外した。

 和田という人間は警察でキャリアとして長く勤めたが、自分がやりたい事ではなかったと潔く退職。

 その後、犯罪捜査専門家などという肩書でいかにもそれっぽい考察と解釈で仕事を得て来たが、昔、父親をテロ組織に殺された事をきっかけに、幼い頃からヒーローに憧れていた気持ちが再燃し、きっといつかはという想いでペーパーカンパニーを設立していた。


 民間特殊犯罪対策組織「Private Special Anti-Crime Organizations」。

 通称「P‐SACO(サコ)」。


 天狗(あまつ) (りん)に関わったことが人生最大の分岐点となり、今、この時の為に自分は生きて来たんだと確信する。

 最終的に昔の仕事仲間で警察や特殊部隊を退職したなるべく若くて適正があると思われる人間に、スカウトを持ちかけ、そして30人を集めきった。

 近日中に全員が現在の職を辞めて転職してくる事だろう。

 この大捕り物が終わったら、資金繰りとオフィス探しで忙しくなるが、そんなものは「楽しい」の一言に尽きる。


 自分の物語は今始まったのだと感じながらここに来た。

 そして瀬尾の言葉を聞いて、改めてとんでもない事に首を突っ込んでしまったと思った。

 巻き込んでしまった甘楽(かんら)にもちょっと申し訳なかったかなとも思った。

 だが、体が震えるほどにワクワクし、心が震えた。

 自分はやはり間違っていなかったのだと再確認する。


「やはり、私は間違っていなかった」


 と声に出してしまった、その一言に全てを汲み取った瀬尾は


「その通りです、リン様のする事に間違いはないのですから」


 そう言い切った後、もう一つ別のアタッシュケースを取り出して開いた。

 中には腕時計が30本入っていた、一見すると「G-SHOCK」だがよく見るとロゴは「CHANGE」と刻印されている。


「これは? 腕時計に見えますが」


 瀬尾は一本取り出し、和田に手渡す。


「付けてみてください」

「え? あ、はい」


 言われるがまま装着するが普通の腕時計だ。


「CHANGEの文字に反対の手首を接触させ『変身』と発してみて下さい」

 何を言っているのか分からないが、言っている意味は分かる。

 その意味が想像通りならば……と、一気に動悸が早まり興奮に鼻血が出そうになった。

 和田は胸の前で腕をクロスするようにポーズを取りコールする。

「変身!」


 一瞬自分の体が発光したような気がした瞬間、着ていたスーツはどこへやら、特殊部隊の戦術ベスト「タクティカルアーマー」を装備しているではないか。


「んなっ!」

「あまり大きな声を出さないように、それとそれを失くしたり、その存在を公にしないようにくれぐれもお願いします」

「はっ、はいっ! もちろんですっ!」

「とは言っても、今回のメンバー本人以外の方がそれを装着し使用しようとしても動きませんけどね」

「え、それはどういう事でしょうか」

「既に把握済みという事です。 それぞれの生体情報にしか反応しないようにチューン済みです」

「は?? 把握済みといいますと?」

「30名の方の個人情報はもちろん生体情報からセンシティブまで、と言う意味です」


 瀬尾は他に聞いておくことはありませんか、とでも言うような笑顔でそう言う。


「ふっ、ふはははっ! なるほどっ! これがヒーローであるということなのですね!」


 何から何までお見通しという事か、なら!


「私はやるべき事をやるだけ、という事だ!」

「そういう事ですね、お互い頑張って行きましょう」


 一応という事で装備品の説明を一通りしていく瀬尾。

 装備品の全ては本物ではなく能力で創造したアイテムである事。

 腰に付いている銃は、弾は無限、発砲音なし、マズルフラッシュなし、着弾した相手を半日程麻痺させる能力を持っている、本人以外が使用しても何も起きないというセーフティ付き。

 ゴーグルはマルチアイ仕様で、もちろん充電などは不要。

 装備も重量をほぼ感じず、どんなに動いても体温調節機能で常に一定体温に保つので耐灼熱・耐寒冷仕様。

 衝撃もライフルに撃たれる程度のダメージならば防げる。

 個人の身体能力も5倍程度までブーストされるので運動性能がアップする。


「主な所はこれぐらいでしょうか、後で分からない部分がございましたらお聞きください」

「凄すぎて、もはや笑うしかありませんよ、ほんとに」

「いいえ、敵はこんな程度の装備で倒れてくれるほど甘くはありませんよ?」

「肝に、銘じておきます」

「皆さんが到着しましたら、今のご説明を同じようにしていただけますと助かります。 では(わたくし)も現地に向かう準備がございますので、後はよろしくお願いいたします」


 綺麗な所作で礼をしてクルリと振り返り歩き出すが、何かを思い出したように戻ってくる。


「失念しておりました! 武装解除する際は腕時計に向かって『Revert(リバート)』とコールしてくださいね」


 和田はまだタクティカルアーマーのままであることを忘れていて、慌てて「リバート!」とコールし、スーツ姿に戻った。


「ではまた後程、現場で落ち合いましょう」


 瀬尾は再度クルリと振り返り、周囲を見回し人目がないことを確認すると、一気に上空に飛んで消えた。


「えっ? はぁぁーっ!?」


 瀬尾さんもド級レベルの能力者だったことに腰が抜けそうになった。

 和田は思った「今日、世界が変わるぞ」と。

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