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Rising Force - Genesis -  作者: J@
激闘編

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60/124

前夜

 昨晩の襲撃から物凄い速さで色んな事が変化していった。

 情報の共有と行動方針はしっかり確認しておいた方がいいというジュンタの提案で、その日の夕方に会議が行われた。


≪――ということで、烏帽子(えぼし)さんに社屋の警備をお願いする事に決まったわ≫

≪定年まで現役で捜査一課にいたツワモノだ「エボ爺」って呼んでくれって言ってたぞ≫

≪了解っす! エボ爺、なんかカワイイ響きっすー!≫

≪会うのが楽しみなの!≫

≪オレの方もドンピシャの和田さんと会ってきたぞ。何かあるときはこっちから連絡するって事と、何かあった時は連絡してくれって名刺渡してきた≫

≪へぇー、初出張・初営業にしては頑張ったんじゃない?≫

≪印象としては正義感の強い人だったよ≫

≪リン頑張ってきたんだー! でもあーし的には是非スーツでお願いしたいとこだなー!≫

≪リン先輩がんばりました! 凄いです!≫

≪お、おう! 二人ともありがとう。その事でちょっとジュンタに相談があるから、後で時間作ってもらえるか?≫

≪了解。後で連絡入れるようにするよ≫

≪はいはい! あたしの方からも重要な話があるの!≫


 天南さんはツェツェと戦った際の事を話し、その戦闘中に触れた相手から記憶を引き出す能力を獲得した事を告げた。


≪リクエストするとレスが返って来るって感じ? かな≫

≪サイコメトリーの上位互換か? 未来視に過去視、天南さんもとんでもないな≫

≪既に人間を超越してるリンに言われたくないんですけどーっ!?≫


 顔が見えなくても、プクっと頬が膨れているのが容易に想像できる。


≪じゃなくてね! 例の地下組織の拠点位置が分かったかもしれないの!≫

≪詳細は僕が既に聞いていますから、説明しますね≫

≪タっくん。分かりやすく、かつ、詳しくお願い!≫


 ツェツェから得た情報は、基地周辺の森と、そこに至るまでの断片的な道の映像で、既にその情報に合致する場所をジュンタと晶が協力して割り出したとの事だ。


≪ですが、敵に気取られたりしたら台無しなので、慎重を期してまだ確認はしていません≫

≪賢明な判断よ。仕損じてからでは取り返しがつかないもの≫

≪戦闘中だったから、そこまでしか見えなかった。中途半端でごめんね≫

≪いや、充分すぎる情報だ。ありがとう天南さん≫

≪うん。だと嬉しいんだけど≫

≪意外と冷静ねリンくん。今にも飛び出して行くのかと思ったわ≫

≪正直、(はらわた)が煮えくり返りそうな位だ、自分でもよく我慢してると思う≫

≪なら時間が勿体ないわ、敵を叩き潰すための作戦会議をしましょう≫


 キラさんの号令で夜に皆が集まる事になった。

 オレの家は今も人だかりが出来ており、パトカーまで出動してきている始末。

 とても家に帰って休めるもんじゃない。それに家に居る事が判れば、多分、警察や国から呼び出しが掛かるようなことも想定しておかないといけないだろう。

 今は行動を制限されたり、余計な事に時間を取られたくない。

 事が片付くまでビジネスホテルやネカフェにでも潜伏した方がよさそうだ。

 それだけオレ達の存在は現代において異質であり、また脅威なんだ。

 その日の夜はキラさんの家に集合する事になった。



    ◇◇◇



「敵の拠点入り口があるだろう位置はここら辺になります」


 ジュンタが想像で創り出した、立体型ホログラム地図をクルクルと動かす。


「ここは最上町(もがみまち)の宮城県寄りに位置する『田代峠(たしろとうげ)』という場所になります」

「うげっ! そこっていわくつきの場所なんだぞ!」

「そうなのか? 昔そこのキャンプ場で一晩明かした事があるんだが」

「ロックは鈍感そうだから大丈夫だっちゃにゃっ!」

「私知ってます、これでも寝る時はいつも怖い話とかオカルト聞き流して寝てるんで」

「俺もたまに付き合わされて聞かされる」

「僕と晶さんで検討した結果、この範囲内にあるものと思われます」


 ホログラムをピンチアウトして、詳細表示に切り替える。


「最低でも車が通れる道なりって事か? だがこんだけ木が生い茂ってたら、現地に行ってみない事には判別つかんな」

「ロック、甘いの! もしかしたら入口はカモフラージュとかされてるかもなの!」

桜煌(おうか)さん、その線はあり得ますね。なら、僕たちが現地に赴いての調査しかありませんかね」

「待ってください、岩上さんのおっしゃった方法ですと、見つかる可能性が高いのではないでしょうか? 拠点への入り口があるのなら、間違いなく監視カメラや赤外線センサーなどが仕掛けられていてもおかしくないかと」

「確かにそうだ、瀬尾さんの言う通り。悪い、失念していた」

「……オレの考えを言ってもいいか?」

「むしろ皆、リンの考えを待ってると思うよ、あたし達を上手く使ってね」

「ああ、頼りにさせてもらう。オレの考えはこうだ」


 入り口の捜索は、遠方からジュンタが小型ドローンを使って一気に調べる。

 入口発見次第、即時行動に移る。

 アルの顔を知っている者を二班、アルファとベータに分ける。

 アルファは、オレ、ショウゴ、アゲハ、晶の四名。

 ベータは、岩上さんをリーダーに、天南さん、アルテミスの七名。


「キラさんとジュンタは、もしもの場合に陥ってしまうとPACSが止まってしまう可能性があるから、作戦本部として司令塔役を頼む。セオドラさんには2人の護衛を」


 入口突破後、最初の分岐点が現れたらそこで二班に分かれて奥に進む。

 連絡は密に行い、敵は見つけ次第、無力化する事。


「言いたい事は沢山あると思う。だけど、WORMSから更に強い奴が攻めて来る前に、BUGSを潰しておきたい!」

「リンがそう言うなら、あたしはそれで問題ないわよ」

「私もOKです! 確かに、アレがまた襲ってくる前に潰した方が賢明だと思います」

「あーしもアーちゃんに同意。ツェツェの強さは、あーしの想像を遥かに超えてた」

「自分らはマスターの言う事には絶対服従っす!!」

「俺ら男組はいいとしても、女性、しかもまだ若い子らに人を傷つける覚悟を強いるってのは相当なもんだと思うが……」

「あたしは全然問題ないけど?」

「私も問題ありません」

「ノープロブレムなの!」

「そういう事なんだぞ!」

「そういう事だ。岩上さん、ウチは男よりも女性陣の方が強い、皆頼りになる仲間だ」

「お、おう、覚えておく」

「僕もキラさんとセオドラさんと一緒に、影ながらバックアップするよ」

「ジュンタの分まで俺が頑張って来るから安心しろ」

「頼みましたよショウゴ先輩!」

「こちらの事は(わたくし)にお任せください!」

「みんな……ありがとう。本当に感謝してる」


 立ち上がりみんなに頭を下げた。

 アゲハは少し申し訳なさそうに、オレのズボンの裾を掴んだ。


「マスター。お礼は勝ってから言えだっちゃ! 出来れば金一封付きがいいにゃー!」

「ああ、金一封でも何でも言う事を聞いてやる! だから、必ず勝とうぜ!」

「マスターのやりたいようにやればいいのですわ!」

「そういうことだぞ! 恋焦がいれば大丈夫だし!」

「みんな、あーしからもお願い! アル君を取り戻して、BUGSを完全に潰して!」

「なんからしくないわねアゲハ。そんなの今更でしょ! みんなで完全勝利しましょ!」

「その通りね、目の前のやるべきことを一つ一つクリアして行きましょう」

「思いっ切り暴れるなのっ!」

「みんな、気合入れるっすよーっ!」

「「おおーっ!」」


 決行は明日。金曜の22時からとなった。


「決戦は金曜日、なの!」


 岩上さんが何故かガクっと崩れた。



    ◇◇◇



 その日の夜は、オレはアゲハとホテルに泊まった。

 明日で一区切りつくのだと思うと、嬉しさ半分。期待が少しと、不安と怖さがあった。

 コンビニで買って来たサンドイッチなどで簡単に晩飯を済ませ、大きなベッドとフカフカの布団に寝転がる。アゲハは俺の腕を枕にして、ベッタリくっついて離れない。

 明日、敵拠点に突入して、アルを探して救出したら、その後は殲滅作戦に切り替えだ。

 間違いなく多くの人間の命をオレは奪うのだろう。だがそれは仕方のない事だ。

 麗を殺した報いであり、オレの大事な人たちを苦しめた結果だ。迷う事など何もない。

 今まで奪ってきた奴らが、今度は奪われる側になるだけの話。

 オレは、オレの大切なモノを守る為に、戦う事を絶対に放棄しない! 諦めない!

 オレは、これからも勝ち続ける! 絶対に負ける事などない!


「……アゲハ。やっとオレたちのケジメに一つ、片が付くんだな」

「うん。全部リンのおかげ。あーし、リンに守ってもらってばっかりだね。ありがとう」

「オレがそうしたくて、やってるんだ。それに、大切な人を守るのは当然だろ?」

「リン……」


 身体を起こし、オレに覆い被さって何度も首筋に甘い口づけをする。

 服も下着も全部脱ぎ捨てると、アゲハはオレを同じように裸にした。

 全ての体重をオレに預け、胸の上に頭を置く。オレの鼓動がアゲハの頭を揺らすが、アゲハはただ静かに目を閉じ、その音に聞き入った。


「リン、大好き。もしもリンが危ない時は、今度はあーしが助けるから。絶対助けるから!」

「あははは! そしたらオレは無敵だな。絶対に負けらんない理由ができちまった!」


 オレは、アゲハの頭を撫でながら、密着した肌の柔らかさと体温と心地良さを記憶する。

その日は、明日の事で互いに気持ちが高ぶったのか、ほんの少しの不安と、怖さを拭い去りたかったんだろう。絶対離れないとでも言わんばかりに、オレはアゲハの中に入り続けた。

 受け止めきれずに溢れ出したモノを、アゲハは愛しそうに指ですくい舐め取った。

 汗だくになったお互いの身体をシャワーで流す。湯舟に浸かり、頭を突き出した格好のアゲハの髪を洗う。しっかり泡立て頭皮をマッサージすると気持ちよさそうな声を出して笑った。

 ああ、どうかこの戦いが無事終わり、アゲハに平穏な日々が訪れます様に。


「んー? リン何か言ったぁー?」


 洗った髪をシャワーで流しながら、オレも思わず笑みを零し、そっと呟いた。


「アゲハが好きだ、アゲハの笑顔が大好きだ。これからもずっと一緒にいような」

「えー? シャワーの音で聞こえなーいっ! もっかい言ってー?」

「あはははっ! ほいっ! 洗い終わったぞー! 自分で拭いて髪乾かせるかー?」

「やだーっ、身体拭いてー! 髪乾かしてー!」


 普通の人がこんな風景を見たらなんて思うのか、なんて言うのかは知らないが。オレはこの時間を殊の外気に入っている。


「髪乾かしたらちゃんと歯磨いてから寝ようなー」

「ふぁーい! 歯磨きするー! 腕枕抱っこで寝るー」


 叶うならば、明日も、ずっとこの先も、君と一緒に。

ご覧いただき、ありがとうございます。


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