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Rising Force - Genesis -  作者: J@
激闘編

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ミッドライフ

 オレは、汐留にあるニッテレタワーに行き「真相追及! ドンピシャ!」で援護射撃をしてくれた犯罪捜査専門家の『和田(わだ) 長安(ながやす)』さんと会う事になった。

 キラさん曰く、信頼関係を作って今後の私たちの活動協力を求めてこいと言う。

 家のドアを開けたら、一気にカメラとマイクを向けられフラッシュの嵐になった。


「アマツさん! アマツリンさん! 昨晩の出来事について一言頂けませんかっ!」

「昨日の黒い仮面〇イダーのような相手は敵なのでしょうか!」

「アマツさん! あの力は一体何ですか! やっぱり超能力でしょうか!」


 大勢から迫られる圧力が凄く、知りたい欲求の暴力、奇異の目に押し潰されそうになる。

 とりあえず平静を装い、家のドアにカギをかけてから報道陣の前に歩く。

 様々な質問が投げかけられるが、皆好き勝手喋るので何言っているのか分からない。

 オレがスッと右手を上げると、一旦皆静まりオレの言葉を待った。


「えーっと、今朝の報道番組ドンピシャで考察されていた事はほぼ正解です。一言だけ言わせて下さい。オレは……いや、オレたちは今、世界の巨悪と戦っています。みなさんの生活と平和を守る為にね。……では、ちょっと人と会う約束がありますので、これで失礼します」


 カメラも回っているようだし、尊大な態度に映らないように注意して、全国の皆さんに向けて頭を下げ、一歩後ろに下がる。


「すみません! もう一つ! もう一つだけお願いします!」

「もう少しお付き合い願えませんか!」


 キリがなくなるので無視して飛び上がろうとも思ったが、もう一つくらい答えてあげてもいいかな? と思った。


「では、もうひとつだけ」


 最初に呼び止めたインタビュアーにその権利を与える。


「アマツさん! あなた達は現代におけるリアルヒーローなのでしょうか!?」


 ヒーロー。それは自称するものではなく、行ってきた行動に対し、周りが与える称号だ。

 オレはニコっと笑みを返し、数メートル空中に浮く。

 周囲からは驚嘆と驚愕、どよめきが上がる。


「それは、ご想像にお任せしますよ! それじゃ!」


 そう言って一気に雲上空まで飛び上がり、ニッテレタワーを目指すのであった。

 その様子を撮影していた野次馬らは、一斉に動画をXYZ(イクシーズ)に投稿する。

 ハッキリと顔が映ったその動画への反応は凄まじい勢いで伸びて行き、以前の迷惑行為を行っている者に対する撃退動画などが再度関連付けられていく。

 基本的に男性からの反応は「凄い!」とか「リアルヒーロー!」とか、他に論理的な考察投稿が多かった。反対に女性からの反応は「イケメン!」とか「リン様!」とか「助けてもらった事があります」とか「面識あります」とかいう方向の違うものが多かった。

 また、その際のインタビュー映像もニュースに流れ、全国にその力が本当に存在するという事が知れ渡たる。何故か小学生の間では「スーパーノヴァ!」と叫ぶヒーローごっこが流行り出した。

 一方で「例え相手が犯罪者と言えど、アマツは人殺しなんじゃないか?」という声も多く上がった。



    ◇◇◇



    § ロック視点 §


 俺がエボ爺を呼び出したのは、ランチから営業を行っている割烹料理屋。

 今日は木曜日で平日の為、エボ爺には奢るからお昼時に足を運んでくれとお願いした。

 指定時間よりも少し早めに俺、キラ社長、瀬尾さんが店に入りエボ爺を待つ。

 今朝の「ドンピシャ」で報道された動画では、映っている人物が俺だという事は分からなかったのか、家の前はいつもと変わらずで、リンには悪いと思いながらも少し安心した。


「リンの方は大丈夫だっただろうか」

「リンくんなら大丈夫でしょ、報告を待ちましょ」

「あっ、烏帽子(えぼし)さんが到着した様です」


 外に車が止まったのが見え、エボ爺が中から降りてきた。

 一応入り口まで出迎えに行き、個室まで案内する。


「色々ご迷惑おかけしてすいませんエボさん、今日は俺の奢りなんでまぁ食ってください」

「そうか? なら遠慮なくご馳走になるかな」


 座敷に案内するとエボ爺を出迎える女性2人。


「なんじゃロック、お前さんワシを接待でもしてなあなあに済ますつもりじゃあるまい? 真昼間からこんな綺麗どこのコンパニオンなんぞ呼んでからに」


 盛大になにか勘違いされてしまったようで、誤解を解こうとしたらキラ社長が口を開いた。


「初めまして『ARTISTS JAM』代表の(すめらぎ)と申します」


 手渡された名刺に目を通すエボ爺。


「いやっ! これは大変失礼な事を言ってしまった、申し訳ない」


 女性2人に対し深々と頭を下げ、どういうことじゃ? と俺に説明を求めた。


「警察を辞めてからこの会社にお世話になっているんです、こちらは同僚の瀬尾さんです」

「初めまして、(わたくし)瀬尾(せお) ドーラと申します」

「まあエボさん座ってください、色々ご説明しないといけないことがありますんで」

「うーん……、昨日はロックにああ言ったが、今朝のテレビはワシも見た。あの和田っちゅうのが話してた内容は大まかにも真実なんじゃろ?」

「はい。実は――」


 キラ社長がこれまでの経緯、および昨日の戦闘についても説明をした。


「なるほど、合点がいった! 今までのワシの推理は間違ってなかったってことじゃな!」

「それで、この話を聞いて烏帽子(えぼし)さんはどうなされるおつもりなんでしょうか」


 キラ社長はエボ爺の心づもりを聞く。


「どうもこうも、ワシにはなんも出来んよ。 いて言えば天狗(あまつ)少年に世界の未来を託して応援することぐらいしか出来ん」

「そう言っていただけると非常に助かります、私達には彼が必要ですので」

天狗(あまつ)少年の現在に至るまでの過去を洗うと、ロックによく似とってなぁ……」

「エボさん、確かに俺もリンのことは弟のように思ってます。 だからこれからも彼に助力していきたいと思うんです」

「んだなぁ、そうしてやるといい、まだ若い天狗(あまつ)少年には、お前や(すめらぎ)さんや、瀬尾(せお)さんのような大人が必要だ。 大きすぎる力は身を滅ぼしかねんからな。 ところでロックよ、あの動画の力はなんじゃ? やっぱり超能力とかいうやつか?」

「ええ、そうなりますね」

「どうやってそれを身に着けたのかは聞かんが、間違った使い方をしてしまったら人間終わりじゃぞ?」

「もちろん理解しているつもりです、俺は俺が守りたい人を守る為、自分の正義の為にしか使いませんよ」

「ま、当然じゃな、その力に溺れんようにな。 それとこの間お前さんに依頼された本栖(もとす)少年の家だがな、ルミノール反応が出てな、結構大量に出血したと見られとる」

「という事は本栖(もとす)君の両親は」

「こういっちゃなんだが、まあ、生きてはおらんじゃろなぁ」

「やはり、そうでしたか」

「んで、どこに攫われたかはもう分かっているんか?」

「昨日、俺らが例のシーボルディと戦闘している時に、同時にツェツェという敵も攻めて来まして、ウチのメンバーが何かしら情報を掴んだうえ撃退したんですが、その報告を聞くのは今夜って事になってます。なんせまだ高校生なんで、今、学校行ってますんで」

「はぁーっ!? 最近の若いもんは怖いのぉー! 怖いもん知らずじゃのっ!」

「ははは、そうですね」

「お前もじゃ、アホっ! 間違ってもワシより先に死ぬんでないぞ」

「はい、善処します」

烏帽子(えぼし)さん、警察の方で例の地下組織に対して動く感じはありますか?」

「んー……、分からん、全くわからん! が、おそらく警察の上の方にもその地下組織と繋がっとる奴がいると思っとた方がええ、今まで表に出てこなかった事がその証拠じゃ」

烏帽子(えぼし)さんの方で、警察関係の情報など探る事は可能でしょうか?」

「一肌脱いでやりたい気持ちはあるんじゃがの、それは無理じゃ」

「そうですよね、余計な事を聞いてしまい申し訳ありませんでした」

「いやそういう意味では無いよ。ワシ、明日で定年でな、期待に応えられなくてスマンの」

「「えっ!?」」


エボ爺はニヤっと笑みを浮かべる。


「と言うことで。今日は旨いもん、たらふくご馳走になって帰るかの! ほっほっほっ!」


次々に運ばれてくる豪華な料理。


「んじゃ、遠慮なくイタダキます!」


 満足げな顔で旨い旨いと言いながら料理を食べるエボ爺。こういう人だってことを忘れていたよ。まんまとしてやられた感だが、まあ悪い気はしない。

 俺やリンに対する気持ちは本当だろうから。


「ところで烏帽子(えぼし)様、ご退職されたその後はどうなされるのでしょうか」


 瀬尾(せお)さんが今後の身の振り方を聞く。


「なーんも考えとらん! 今までが仕事づくめじゃったし、妻はもうとっくに他界した。娘夫婦も都会におるからの、なんも考えとらん!」

「と申しますのも、もうすぐ我が社『ARTISTS JAM』の社屋が完成するのですが、その守衛および警備、そのほか所属するアーティストの護衛と、岩上(いわがみ)さんが多忙になりまして、実際手が回らなくなる状態です。まして今後起きる戦闘も回避が出来ない為、人手が欲しいところなのです」


 瀬尾(せお)さんが一気に話したが、これはあれか? エボ爺を勧誘している?


「ほっほー! こんな年寄りに何をさせようというんじゃ? 大した事は出来んがいいのか?」

「主に社屋の守衛と警備をお願いしたく思います」

(すめらぎ)さん、いいんかな? こんな年寄りじゃが」

「来て頂けるなら歓迎しますよ、勿論」

「ちなみに年棒はどの位じゃ?」


 こんな話をする為にここに来たんだったか? と思わなくもないが俺の出る幕ではない。


「現状維持プラスアルファ」


「なんじゃとぉぉーっ! 乗るに決まっておるっ! 乗らいでかっ!」


 その様子に思わず笑ってしまう俺達だった。

 エボ爺は明日の定年を無事迎えたのち「ARTISTS JAM」に再就職する事が決まった。



    ◇◇◇



    § リン視点 §


 スマホに「ニッテレタワーまでナビして」と言ったらしっかり国道7号線沿いに、東京までルートを検索してくれた。


「いや、飛んで行くから、なんかごめん」


 スマホに謝ってしまった。

 とりあえずナビに従い上空を飛んで行くと「目的地に着きました」と言われたので降下。

 上から見るとよくわからないが、クソ高いビルってことは分かった。

 屋上に降りると周囲には高層ビルが沢山建っていて、どれだよってなったので全部の屋上に行ってみた。

 結局、屋上にでっかい赤いアンテナのようなものが付いていたところが正解。

 キョロキョロしてたら屋上の出入り口と思われる所から一人の男性が走ってきた。

 今朝「ドンピシャ」で見た和田(わだ)さんだ。


「突然私のショートメールに連絡が来たのでビックリしましたよーっ!」


 めっちゃ手を振って走り寄り、息を切らしながらも俺の手を取る。


「意を決して呼びかけた甲斐がありました! 来てくれてありがとうございます!」

「初めまして、天狗(あまつ) (りん)です。 今朝は『ドンピシャ』で援護射撃して頂き大変助かりました。こちらこそ、ありがとうございます!」


 俺の方からも感謝の意を込めてお礼と握手を返した。

 半ば感極まって目に涙を浮かべてウンウンと返事する和田さん。


「私の考察はどうでした? 間違っている所がありましたら、指摘して頂けると有難いです」

「いえ、考察は全て当たっていましたよ。和田さんが言われていた通り、日本の地下組織にBUGSというものが存在します。その上部組織にWORMSも存在します。昨日オレ達が戦ったのはそのWORMS最強部隊の第四席シーボルディで、なんとか撃破しました。そして別の場所でもウチの別チームがその第三席に勝利し撃退しました。撃破まで行けなかったのは正直痛かったですが」

「別の場所でも!? はっ! それはもしや動画の最後にあのシーボルディという奴が言っていたツェツェという敵ですか!」

「ええ、おっしゃる通りです。昨日広まった動画の中に『山の上で光と音楽が』っていう投稿があったと思うんですが」

「確かに。同時刻というのは奇妙だなと感じた動画でした。そういう事だったんですね。」

「三席のツェツェ、四席のシーボルディ、その上に一と二が居るということです。それに奴らは『先行して来た』と言いました。という事は近い内に本格的に攻めてくるということです」

「恥ずかしい話、私は今まで世界の裏側にこんな巨悪が存在していることを何も知らずに暮らしてきました。せいぜいが反社やテロ組織くらいかと。人知れずそれらと戦っているアマツ君らの活動に感銘を受けました。テレビでもお伝えした通り、あなた方は紛れもなくこの世界を守るヒーローです。私達警察にお手伝いできることはないでしょうか」


 こちらから協力を申し出る前に、協力を申し出られてしまった。

 非常に有難い事なんだが……。


「その申し出は非常に有難いです、が、それは非常に危険かと思われます」

「ど、どうしてでしょうか」

「政界や財界、芸能界や文化界、もちろん警察や自衛隊の上層部。どこに、どれだけ奴ら地下組織の手が伸びているのか、それを見極めないうちは協力関係は難しいですね」

「なっ! それは、本当なのですか!」

「ええ、 どこまで組織の手が伸びているのか、今はまだそれを確かめる術がありません。ですが、もし選別する手段が出来た時は、こちらから協力をお願いしたいです」

「なっ! その目処があるんですか!」

「ウチの凄腕能力者が、選別出来るアイテムをきっと開発出来るはずです」

「素晴らしい! 感動すら覚えますよ! 私は小さい頃からヒーローに憧れ、そして警察官になり今この地位にいます。ですが、未だにその幼かった頃の夢が消えないのです」


 和田さんはグッと拳を握り締めた。


「私のオヤジは、海外から日本に入ってきたテロ組織殲滅作戦の際に殺されました。未だにその仇は取れていません。今でも悔しさだけが残っています。私は、悪を滅ぼしたい!」


 語気を強め、強い風が吹くニッテレタワーの屋上で和田さんが語ってくれた。


「……いつの時代も、悪は消えませんよ。でも、その芽を摘んでいくことは出来ます。この世界にはオレ達がいるのだと知らしめてやりましょう!」


 右手を和田さんの前に出すと、両手でしっかりと握り返しウンウンと頷いた。


「和田さん、協力をお願いしたい時はこちらから連絡を入れます。それとこれを」

 オレは「ARTISTS JAM 取締役 天狗 䮼」と書かれた名刺を手渡した。

「アーティストジャム? ですか」

「ええ。最強……いや、最高のメンバーが揃ったウチの会社です。もしも何かあった時はオレの携帯、もしくは会社に連絡をお願いします」


 オレの名刺をしっかりと握り締め、風で飛ばされないよう大事にポケットに入れた。

 ちなみに和田さんの名刺もちゃんと貰った。


「私も、私の立場で出来る事をやります!」

「そうですね、結局、それしかないですよね」


 テレビでも熱い人だと感じたが、実際は心の中にもっと熱いものを秘めた人物だった。


「ああ、それと、公にはオレと接点を持ったと言わない方が安全だと思われます。あの誘拐事件で意識不明になった親友の『本栖(もとす) (ゆう)』ですが、先日、入院先の病院から地下組織に攫われました。今は、取り戻すべく仕掛けようとしている所です。出来ればWORMSの強い奴らが来る前に、日本支部を完全に潰しておきたい」

「なっ! ……今の私には何も協力することが出来ないのが非常に悔しい!」

「いえ、和田さんに頼らないといけない場面は必ず来ます。その時は力を貸してください」

「ええ! もちろんです! もちろんですっ!」

「では、今日はこの辺で」

「わざわざ来て頂き、ありがとうございました! また是非会いましょう! 連絡お待ちしています!」

「ええ、それじゃぁ! また!」


 フワリと浮き上がり手を振って、一気に雲上まで飛び、オレはニッテレタワーを後にした。

 強い風が吹く屋上で一人空を見上げる和田。


「世界の悪は、必ず滅ぼしてやる。やれる事をやるしかない! だな」


 その目には、日本サラリーマンの本気の闘志が宿っていた。

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