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Rising Force - Genesis -  作者: J@
結成編

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立ち上げ

 後日、人材の件で近くの喫茶店でキラさんと顔合わせをする事になった。


「おお! 久しぶりだなさっちゃん! 元気だったか」

「わー、岩上さんお久しぶりです! まさかこんな縁になると思わなくてビックリー!」

「さっちゃんも知り合いの人だったのね、縁て面白いわね」

「申し遅れました、私『岩上(いわがみ) (けん)』と申します。リン君の誘いを受けてここに来ました、よろしくお願いします」

「初めまして、私は『(すめらぎ) (きら)』です。今度新しく会社を立ち上げるのに、守衛というかSP的な仕事もこなせる、貴方みたいなボディガードが必要でしたので。こちらとしても願ったり叶ったりです。助かります」

「そう言っていただけると有難いです。何分、先日無職になってしまったばかりでしたので、あっはっはっは!」


 そう言っているとまた入り口ドアが開く。

 セオドラさんが入って来たので手をあげて声を掛けた。


「えっ! リン様!? どうしてここにいらっしゃ……ええっ!? 岩上さんも!? えっ? コレは一体どうなっているんでしょうか!?」

「こんにちは! 天南あなの妹のさちこです。この度はお誘いを受けて頂きありがとうございます! 本当に助かります!」

「あなちゃんの妹さん、ですか。あ! そういえば以前駅裏で! それとお祭りの時にリン様と一緒にいた」

「「リン様!?」」


 キラさんと岩上さんに、今までの経緯というか、オレが暴漢からセオドラさんを助けた所から説明した(能力のことはナシで)。


「岩上さんも、先日は命を助けて頂いてありがとうございました。本当に感謝しています」

「あ、そうか、2人はこの間の事件で既に顔見知りだったんだっけな」

「ああ、世間は狭いな! あっはっはっは!」

「んん゙っ!」


 突然天南さんが何も飲んでるわけでもないのにむせた。


「大丈夫さっちゃん?」


≪ちょ! 岩上さんとセオドラさん! この二人! 将来結婚するーっ!≫

≪≪マジでーっ!?≫≫


 天南さんの突然の未来視に驚き、この後の話は半分も頭に入ってこなかった。


「――という訳で今は物件を探してて、瀬尾さんにはそのサポートをお願いしたいかな」

「分かりました。では、条件に見合った物件を押さえるまでは、自宅からリモートでという感じでよろしいでしょうか」

「ええ、しばらくは不便をかけるけど、そうしてもらえると非常に助かるわ」

「こちらこそ、よろしくお願い致します! それと、パッと出の(わたくし)が質問をするのもアレなんですが、資金面の方は大丈夫なんでしょうか?」

「ふふっ、こう見えても年間に二桁億くらい稼いでるの。お金は持ってるわよ」


 悪戯な笑みを浮かべながら、大人の余裕を見せるキラさん。


「「ええぇぇーっ!?」」

「そうよねー、やっぱりそういう反応になるわよねー。あははははー」


 天南さんは遠い目をして、魂の抜けた笑いを零す。


「岩上さんには、まず、これから立ち上げる会社の守衛と瀬尾さんの護衛。それとウチが抱える予定のアイドルグループが営業活動をするときのSPをお願いしたいの」

「あ、アイドル!? 俺がアイドルの護衛!?」

「岩上さん、素が出てる素が! 一人称が俺になってる」

「あ! す、すみませんビックリし過ぎて。というか、こんなゴツイ自分みたいのがアイドルの側に居ていいもんなんでしょうか」

「だからよ、ってのも勿論だけれども、一目で分かるその誠実さと熱心さを高く買っているの」

「そ、そうなんですか!」


 厳つい顔に似合わず、照れ隠しで頬をかく。


「へへっ、よかったじゃん! オレも頼りにしてるからさ」

「あたしも頼りにしてますよ! お兄ちゃんみたい!」

「お、お兄ちゃん……!? 誠心誠意、頑張らせていただきます、よろしくお願いします!」

「えっと、ボスの護衛の方はよろしいのでしょうか?」


 セオドラさんがキラさんをボスと呼ぶと、もはや何の集団か分からなくなってきて面白い。


「ボ、ボス!? え、ええと、す、好きに呼べばいいと思うけど、私の護衛は大丈夫よ。こう見えてもかなり強いから!」


 決して強そうには見えない華奢な美人がそう言いながら笑みを浮かべ、パフェを口に運ぶ。

 細かい事はその都度連絡する事にして、まずはキラさんとセオドラさんで物件を探し、押さえることが最優先となった。


 そんな中、アゲハ、ショウゴ、天南さん、晶が、アルテミスの皆の戦闘訓練を継続して行っている。みんなと同レベルまで戦えるようになるにはまだしばらくかかりそうだ。

 だが、みんな元々の運動神経がいいようで、筋がいいとアゲハから褒められていた。

 オレも少し興味があり、どんな訓練をやっているのかアゲハに聞くと、天南さんの空手も組み合わせつつ、基本の体裁きから拳の突き出し方、蹴りの姿勢、コンビネーション、相手の力を利用した関節技。もちろんフルコンタクトの組手で楽しくやってると返ってきた。

 アゲハの教え方が上手いと、みんなから褒められたと喜んでいた。


 数日後キラさんからテレパシーが入る。


≪リン君。もしかしたらいい物件見つけられたかもしれないわ≫

≪え! もう? まだあれから数日しか経ってないけど≫

≪場所は東根市なんだけど、一緒に下見に来てくれないかな?≫


 物件の下見にキラさんとセオドラさんの他に、オレと岩上さんが同行することになった。

 ってか、キラさんとセオドラさん仲良くなったんだね。セオドラちゃんて呼んでた。



    ◇◇◇



 東根(ひがしね)市にある山形空港近くに6階建ての廃業したラブホテルがある。

 敷地面積は広く、元ホテルということもあって駐車場も広い上に、空港はもちろん、国道にも面し、駅にもアクセスが良く、スーパーやドラッグストア、百均、食事処も隣接している。


「おはようございます! 柳不動産の青井と申します、本日はよろしくお願いしますね」

「こちらこそよろしくお願いします。(わたくし)共としましては、事前にお問い合わせした条件に沿う物件かどうか、見させていただきたく思います」


 セオドラさんがめっちゃ秘書っぽい。そういえば、元職も秘書だったな。


「立地的には最高じゃないか。土地は広い、建物自体も補修は必要だがしっかりしてる」


 岩上さんの意見も最もなのだが……。


「ただ、そうね……外壁が、いえ、まずは外周、建物の周囲、建物の中、各設備などを細かに確認していきましょう」


 オレは生まれて初めてラブホテルに立ち入る。いくら廃業したとはいえ、少し緊張する。


「そもそも、なんでこんな立派なとこが潰れたんですか?」


 疑問に思ったので素直に聞いてみた。


「空港周りには沢山のこういった宿泊施設がございまして。外観はここまででなくとも、もっとリーズナブルな所が多いんですよ。それで、客足が遠のいた際に他との格差を、ということで宿泊価格を上げ内装を豪華にして巻き返しを図ったみたいですね。結局は維持出来ずにこうなったというワケです」

「よくあるパターンね。で、それが今の今まで売れ残っている理由は何かしら」

「端的に申しますと価格です。この規模の建物を購入しても修復にもお金が掛かりますから」

「事故物件、というわけではないよな?」


 岩上さんが聞き辛いデリケートな所を突く。


「お調べいただければ直ぐに分かりますが、そういったことはないと聞いております」

「そうですか、では見て回りましょうか」


 セオドラさんはペンとバインダーに挟んだノート、岩上さんはカメラを手に。オレとキラさんは手ぶらで下見を行った。

 建物に電気は通っていないとの事で、青井さんが人数分の懐中電灯を用意してくれていた。

 1階はフロント関連と客室が2部屋、2階から6階までは客室が7部屋の計37部屋。

 屋上に高架水槽設備。その他は階段とエレベーターってとこだった。

 各部屋は流石に結構な期間閉め切っていただけあって、湿気や空気が淀んでいた。

 窓を開けると風が通り、街の音、空港から聞こえる飛行機とヘリの音が聞こえる。

 屋上に出ると七階の高さということもあり、結構遠くまで街が見渡せて眺望もいい。

 電気が通り、照明が付き、ホテルからオフィスビルに改装した後を想像したら悪くない。


「なるほど、大体こんな感じなのね。土地がおおよそ1500坪、それと建物で現在……」

「はい、約3億となっており、この立地の良さを鑑みると、妥当な線と当社でも考えております」

「外壁の痛みや汚れ。駐車場のひび割れと、そこから生えた雑草。建物自体の痛みと汚れ。建物内の粗大ゴミ掃除。これだけでどの位かかりそう? 瀬尾さん」

「そうですね。仮に私共がこの物件を購入した場合、外壁工事、建物の補修・塗装、屋上看板の変更、そこから各フロアをオフィスビル向けに壁を抜くなど、大掛かりな改装を行う事となります。また、電気および配線関連の工事も大掛かりに入る事を考えますと、購入後、大まかに1億の経費は掛かるものと見ます。はっきり申し上げますと、そこまでの改装を行う予定でこの物件を購入するよりも、土地を求めたうえ社屋を新築した方が減価償却的、税金的にもメリットがあると思われます」

「そうなるわよね。青井さん、あなたの所では今現在約3億とおっしゃいましたよね」

「はい、おっしゃる通りです」

「はっきり言うわね、2億5千万まで下げる気はないかしら? このまま売れずに固定資産税を長年払い続ける事を考えれば安いものだと思うのだけど」

「ごっ、5千万の引き下げですか!」

「一旦、持ち帰って検討していただける様にお願いいたします。検討の結果は私、瀬尾までご連絡を。なお、10日間ほどでご連絡いただけなかった場合は、その意思なしとして他を当たりますのでご承知おき下さいませ」

「じゃあ、今日はここらへんで引き上げましょうか。青井さん、ありがとうございました。では、色よい返事をお待ちしていますね」

「分かりました! 早速検討したいと思います、本日はありがとうございました!」


 セオドラさんのド派手な黄色のジープでその場を後にする。


「ってか、かなりグイグイ攻めたな。オレただ居るだけだったけどあれでよかったのか?」

「ええ勿論よ。それと今日は皆ありがとう、おかげで2億5千万でいけそうね。購入準備の方は進めてて頂戴ね。私は会社設立の登記を進めるから」

「了解しましたボス」

「えっ、不動産屋からの返事待ちではないのですか?」


 岩上さんが驚いて聞く。


「と、思うわよね? 大丈夫よ、事前にセオドラちゃんと私で、相手にもギリギリ益が出るラインを計算済みよ。5日も経たないうちにOKの返事が来るわ」

「そういうことです。ボスの頭の切れ具合はズバ抜けています。もはや世界の宝です」

「そ、そうなのか、俺にはよく分からん世界があるな」


 どうなってんだ? っていう顔でオレを見ないでくれ。オレにも分からん!


 物件購入を会社名義で行うため、キラさんは会社設立を進めた。

 物件内覧から数日。キラさんから皆にテレパシーで連絡があった。


≪無事、会社の設立が完了したわよ≫

≪キラちゃんすっご! 有言実行、出来る女はめちゃくちゃカッコいいー! そしてあーしの就職先も決定おめでとぉー! にゃはははっ! キラちゃんマジ感謝っ!≫

≪マジで!? やったぁーっ! これで高校卒業後のあたしの進路も決定ねっ!≫

≪うふふっ、お待たせ二人とも。高校卒業待ってるわよ≫

≪≪んーっ! 大好きっ!≫≫

≪俺は来年の三月に卒業だから、出来れば内定という形で何か書面を貰えると、学校への提出的に助かる。頼んでも大丈夫なのか?≫

≪あーそうか、ショウゴは来年卒業だもんな、早いよなー≫

≪もちろんきちんとした内定文書を出すわ。セオドラちゃんにお願いしておくわね≫

≪私はまだ中学二年なので先になりますね。お兄ちゃんの事よろしくお願いします、キラ姉≫

≪もちろん晶ちゃんが入社してくれるのを心待ちにしてるわね≫

≪キラさん、社名って何にしたんですか? ちなみに僕もその会社に就職したいです!≫

≪ああ、そうだ。オレも会社名気になってたんだ≫

≪ジュンタくんは必須の人材なんだから入って貰わないと困るわよ? もちろんお給料は弾むわ! それと社名はね『ARTISTS JAM』にしたわ≫

≪アーティストジャム! 私にピッタリじゃないですか! 楽しみになってきました!≫

≪かわいいーっ! 早く私も卒業して入社したーいっ!≫

≪あーし、中退して就職しちゃおっかなー? あと一年超先は長いーっ!≫

≪アゲハちゃん、そこはリン君じゃないんだから、ちゃんと卒業してからね?≫

≪はぁーい。……あっ、でも会社出来上がったら遊びに行ってもいいっしょー?≫

≪当然じゃない! みんな気軽に来てくれると私も嬉しいし≫

≪ふっふっふー! アゲハ! オレは一足先に入社させてもらうぜ!≫

≪リン君、何言ってるの? 入社も何も、あなた取締役よ?≫

≪≪……は?≫≫

≪会社形態は株式会社にしたから、株式をリンくん名義で持たせて取締役に置いたのよ。そもそもあなたの存在がなければ何も始まっていないんだから、当然だと思いなさい?≫


 知らない間に会社役員になっていました……。


≪キラちゃん、ちなみに『ARTISTS JAM』ってどっから考えたしー?≫

≪流石アゲハちゃん! 実は聞いて欲しかったのよ! 名前の由来はね――≫


 キラさんは社名の由来を説明した。

 みんなのイニシャルをもじって出来た社名なのだそうだ。

 A・R |天狗≪あまつ≫ (りん)

 Y・A |夜乃≪よるの≫ 蝶羽(あげは)

 T・S 天南(てんなん) さちこ

 M・S |御先≪みさき≫ 小吾(さとる)

 M・A |御先≪みさき≫ (あきら)

 Y・J |八乙女≪やおとめ≫ 絢太(じゅんた)

 S・K |煌≪すめらぎ≫ (きら)


≪――を組み合わせたのよ。それに皆の能力を芸術と見立てたってのもあるわね≫

≪流石キラ姉です!≫

≪もっと可愛く見えてきたっ! 流石キラさん!≫

≪キラちゃん、センスの塊! センスの鬼じゃーん!≫

≪だと、アゲハさんと僕のY、キラさんのKが入ってなくないですか?≫

≪あー、ごめんねー! それは最初『有限会社』で『Y.K』で入れようと思ってたんだけど、今って有限会社って概念がなくなったの忘れててー≫

≪みんなのイニシャルをもじるとか、凄ぇな! オレは気に入ったよ!≫

≪もちろん俺もだ。来年から俺はここで働くのか。気合が入ってきたな≫

≪ふふっ、みんなありがと。ということで、建物の方はもうしばらく待っててね。きっとビックリさせてあげれると思うから楽しみにしててね≫


 子供が大人に変わっていくように、オレらの周囲も日々変化していく。

ご覧いただき、ありがとうございます。


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