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Rising Force - Genesis -  作者: J@
結成編

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44/124

ゴミは臭うもの、華は香るもの

 現状で判る情報からみんなが色々と調べてくれた。

 反社から暴力団、メディアからウェブ、SNSまでかなり手広くやってくれたらしい。


≪相当な時間を掛けた割に、分かったのは申し訳ないくらい少しだけだったわ≫

≪私の方はSNSから少し気になったもの、って感じです≫

≪僕の方も少しですけど、ダークウェブから得た情報を≫

≪あたしはーゴメンっ! そういうのホント向いてなくて≫

≪すまん俺もだ≫

≪あーしの方は色々試行錯誤してるとこー。何か分かったらその時に報告するねー≫


 実はアゲハからは組織についてかなり情報を得ている。とは言っても、まだみんなにそれを公表するには時期尚早ってオレが判断し、言葉を濁らせている。


≪身動き取れなくてすまない。やれる事は限られるけど、何か分かったら共有する≫

≪情報が軽そうな私から報告いいでしょうか。大した事なくて申し訳ないんですが≫


 晶の報告は、SNSなどで事件関連の投稿を調べていくと、見ている人の意識誘導を行っているのではないかと思われる節の投稿が散見されること。

 投稿者のIPを辿っていくと、いずれも海外を経由したものになっており、投稿元の場所が特定出来ないようになっていること。

 そのようなプライミングを行っているであろう投稿は、どのSNSを調べても投稿日時が近寄っている為、組織的な行動が連想されること。

 もしかしたら、地下組織との関連があるのではないか? という内容だった。


≪本当にきな臭い感じがしました≫

≪だと、僕の報告も混ぜて考えた方がいいかと思います≫


 ジュンタは「ディープウェブ」や「ダークウェブ」で、例の事件に絡んで反社・暴力団、それと地下組織について情報を探ってみたらしい。

 結果から言うと末端の反社や暴力団についての情報は得られなかったが、地下組織については数多くヒットした。不正確な情報も混ざっている事を前提に「武器売買、人身売買、諜報、篭絡、誘拐、殺し」など手広くやっていることが伺える。という内容だった。


≪地下組織っていうと大体そんな感じのイメージはあるわね。でもそれが身近に関わってくるとなると、落ち着かない感じね≫

≪ですね、私としては出来れば場所もしっかり炙り出して潰しておきたいところです≫

≪僕も作ったアイテムで特定出来ないか試したんですが、ちょっと無理でした≫

≪それよりもジュンタ君。ダークウェブに入って大丈夫だったの? ちゃんと防御した?≫

≪そこは、はい。大丈夫なはずです≫

≪そんな組織に手を出すというのは危険ではないか? 放っておいていい連中ではないが≫

≪あたしは。あたしたちが安心して暮らせる世の中になればいいなって思う≫

≪そうね。メディアの異常な偏向報道もそうだけど、もしかしたらあちら側にはコッチの情報が少なからず把握されている可能性もあるわ。何にしろゴミは臭ってくるものだし、ちゃんと掃除してキレイにしないと充満してくるわよ≫

≪確かにその通りだ。岩上さんからの情報でも、あの事件の元凶は地下組織って判明してる。だとしたら狙いを定めて、作戦を練った上で徹底的に潰しに掛かるだけだ!≫

≪あーしもリンに同意だし! 潰せる時に完全に潰しておくべき!≫

≪今後私たちにとって障害となるなら、ゴミ処理せざるを得ませんね≫

≪分かった。なら、今後俺たちはどう動くといい?≫

≪あくまでも私の考えだけれども、何も気づいていない振りをした方がいいと思う。連絡取り合う時も重要な内容はテレパシーで。そうでない会話は電話の方がいいかもしれないわね。どこで傍受されてるか分からないし≫

≪なるほど、了解です。相手の動きを待って誘い出す感じですね≫

≪分かりました。じゃあ私の方はSNS方面の監視は継続しつつ、今までの行動から大きく外れないようにしておきます≫

≪あたし何にも役に立ってなくてごめんねー。でもあたしの勘も今は動かない方がいいって言ってる気がするの≫

≪なるほど、情報は取りつつ、行動は今までと変わらないようにしよう。決して気取られないように。見えない相手が尻尾を出すように≫

≪≪了解した≫≫


 BUGS本部の場所はアゲハから聞いている。組織のデカさも人数の多さも。あとはどう作戦を練るかだ。何にせよもっと情報が欲しい。

 そんなことを考えていたらキラさんからテレパシーが飛んできた。


≪そういえばリン君、あなた学校辞めたんですって?≫

≪あれ? オレ言ってなかったっけか≫

≪私はさっちゃんとアゲハちゃんから聞いたわ。今後、金稼ぐ当てはあるの?≫

≪いやー、実をいうと特に何も考えてなくて、しばらくはバイトかなーって≫

≪そんな事だろうと思ったわ。もし何も今後の予定とか考えていなかったらだけども、その問題ちょっと私に預けてみない? 悪いようにはしないわ≫

≪オレは全然構わないけど、いいのか? なんか丸投げしてるみたいで申し訳ないけど≫

≪私は大丈夫よ。ちょっと今後を考えたら必要になってくるだろう事だから。それに、皆の為にもなるかもだし、もちろん私にとってもね≫

≪うん、了解した。なら、おんぶに抱っこだけどよろしくお願いします≫

≪任されたわ。時間のかかることだから気長に待ってて頂戴ね≫


 まあ、キラさんに任せておけば何も問題は起きないだろうと思う。


 後日、ジュンタから連絡が来た。


「リン君、明日の土曜って何か用事とかあったりするかな?」

「いやオレの方はいつも時間を持て余してて、ぶっちゃけ暇だ。ショウゴも呼んでAPEX'sの練習でもやるか?」

「それもいいね! あ、いや、ちょっと付き合ってほしいところがあってさ。明日の10時ちょい前頃に文化会館前で集合とか大丈夫? ちょっと気になる子達を見つけちゃってさ」

「おっ! 何! 好きな子でも出来た?」

「全然そういうんじゃないんだけど、ちょっと見て欲しいライブがあって」

「ライブ? バンドとかの?」

「うーん、まあそんな感じの」

「へぇー! ちょっと興味もあるし、わかった明日な! 了解!」

「よかった! ありがとう助かる!」


 珍しくジュンタからの誘いだった事もあるり、生ライブってのも見てみたい感じがする。

 まぁ、素人バンドが集まった感じだろうけど。とりあえず明日行ってみることにした。

 そして翌朝、オレは少し肌寒くなってきた秋の午前という事もあって、いつもの黒パーカーとハーフのカチューシャでジュンタとの待ち合わせ場所に向かった。

 文化会館入り口横にジュンタが立ってた。


「よっ! おはよう、早いな。見せたいライブってこれ?」


 入り口の前にポスターが貼られておりアマチュアグループの合同ライブと書いてある。


「朝早くからごめん。あ、はいこれリン君の分の入場チケット」

「オレ人生初ライブ体験なんだけど、普通に入っていいもんなの? てかこのチケット代いくらだった?」

「高いもんじゃないし、気にしなくても大丈夫。それより聞いてほしいグループがあるんだ」


 ジュンタは先導して歩いて行き、小ホール入り口でチケットを渡す。

 オレも同じようにして後をついて行き会場内に入った。

 300名は入るホールに満員状態で人が立っており熱気が凄い。


「んで聞いて欲しいって言ってたのってなんて名前のグループ?」

「アイドルグループなんだけど『Artemis(アルテミス)』って名前で、僕が何を言いたかったのかは、実際見てもらったほうが早いと思う」


 会場が暗くなり、ドラムのバスドラが心臓の鼓動のようなリズムを取り始める。

 照明が明滅し回り出すと、一斉に歓声が上がり場内のテンションが上昇する。


 10グループ程が演奏を終えただろうか、まあそれなりだったがやはりアマチュア。たどたどしかったりミスやグダった所も多々見られた。


「ここまでは忍耐でしたね、次がリン君に聞いて欲しかったアルテミスです」


 グループ名が呼ばれると会場の熱量が一段階上がり、ステージ照明が暗転する。

 照明が左端の一人を照らす。

 短いアクションに「華は香り」のセリフが入り、ポージングを決めた。

 次いで、右端の照明が一人を照らし「森は育み」と続く。

 五人組なのだろう。一人一人にセリフがあてがわれ、紡いでいく。


「人は(こが)れ」

「星は(きらめ)き」

「そして、月は輝く!」


 暗闇の中、センター上部の照明が、観客に向かって点灯する。


「我ら、Goddess(純潔) of() Purity(女神)  Undulation(波動) Resonance(共鳴)! Artemis(アルテミス) !」


 五人の声帯が共鳴するような力強いハーモナイズを合図に、ステージは一気に色とりどりの照明で輝き、アルテミスのライブが始まった。

 これまでは「アイドル」とかって、煌びやかで派手でフワフワしたイメージで見ていた。

 だがこうして目の前で高い歌唱力や完成されたパフォーマンスを見せられたら、オレの中にあった固定観念は理由なしに吹っ飛んだ。

 疾走感、高揚感、浮遊感、様々な感覚を覚える旋律。

 ぶっちゃけ、カルチャーショックを受けた。


≪ジュンタ、連れて来てくれてありがとう。率直な感想だけど、ヤバイな!≫


 感謝を伝え隣のジュンタを見たら、やけに真剣な表情でアルテミスに視線を送っている。


≪リン君、このアルテミスなんだけど、歌に能力が乗ってる気がするんだけど、どう?≫


「えっ!?」


 思わず間抜けな声を出してしまった。しかも丁度、曲が一瞬切れた所で。

 それに気が付いたアルテミスメンバーの一人が、オレに訝し気な視線を向け直視する。

 ライブ中であるのにも関わらず、オレを見て驚いた感じでまじまじと見られた。

 すると突然表情が明るく変わり、歌いながら他メンバーとコミュニケーションをとる。

 さもライブパフォーマンスの一環に見えてしまうのは、日々の練習の成果だろうと思った。

 その後のライブはメンバーが入れ替わり立ち替わり、オレらの前付近に来てはやけにこっちに向けて手を振ってくるように感じた。


 そんなこんなでライブステージは控え目に言っても最高だった。

 色々勘違いしそうになってしまったけど。

 全てのライブが終わり、会場を後にして建物の外に出ようと歩いていた。


「いやー、ジュンタ! オレさ、アイドルのライブとか初めて見たけど、ぶっちゃけ凄いな! ほんと新鮮で感動したわ! 連れて来てくれてありがとうな! いやーよかった!」

「あはははっ! 喜んでくれて僕も嬉しいよ、アイドルいいよね! んで、誰が一番推せそう……じゃなくてーっ! 彼女らの歌だよ! 歌! あの歌声……」

「あの、すいません。ちょっといいっすか? 出来ればこっちでお話を伺いたいっす」


 オレとジュンタは、マスクに帽子、サングラスという怪しい恰好の女性に引き留められ、出口とは逆の方に連れて行かれるのであった。

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