強化合宿二日目 バレた
「焼きもろこし美味しかったわよ、ごちそうさま、リン!」
約束通り、全部オレのオゴリだと思って、みんな結構しっかり喰ったな!
「よし! 折角の合宿だし! 腹ごしなえもした! もう一回潜って訓練いこうぜ!」
≪それに、コイツを使えば問題点だった連携も、もっと良くなるだろうしな≫
「「確かに!」」
≪それに、みんなも覚醒したことだしー? 特訓は必要だよねーっ!≫
≪私とアゲハちゃん以外は、テレパシーの習得もありますから!≫
「「が、頑張ります……!」」
≪コツが必要な時はいつでも聞いてねーっ! アーちゃんが丁寧に教えてくれるよー!≫
≪私……、アゲハちゃんもですよ!?≫
「わっ! 晶ちゃんもアゲハも凄っ! お願いっ! あたしにも教えて!」
「俺も負けてられないな!」
そして昨日の岩場から海中へダイブし、深い所までやってきた。
≪じゃあ、皆それぞれ自分の能力把握と理解から訓練を始めてみようか≫
「「了解!」」
≪んじゃ、あーしはみんなのアドバイスとバックアップしておくからー!≫
≪サンキュー、アゲハ! 助かる!≫
オレは連弾と散弾を練習するにあたり、昨日と同じく晶に協力を頼んだ。
連弾は発射用の球状ベールを常に二つ準備し、撃っては補充、撃っては補充を繰り返す。イメージはライトマシンガン。ある程度の連射力に威力も乗せた感じにして、約0.2秒間隔で連射する感じにしたい。
晶にイメージを伝え試してみたが3連射以上は失敗する確率が非常に高い事が分かった。
≪リン先輩! ベールの補充と着弾時の解除処理が忙しすぎて、ちょっと無理かもです!≫
≪了解! なにか解決策が出るまで一旦この二つは保留しておこう!≫
≪私もっと頑張りますね!≫
≪出来る範囲、無理のない範囲でだぞ!≫
晶は無理し過ぎる傾向があるからちょっと心配である。
他の三人を見ると、ショウゴは不動で目を瞑って瞑想。天南さんは水上に見える青く差し込む太陽光と海の底を交互に見つめている。
「ジュンタは……っと」
両手を前にして何かを持っているような恰好をしている。
どんな訓練してるのかちょっと興味があるので近くまで寄って見物する。
何かを持つような動作や、両掌を上に向けたり片手で何かを掴んでみたりという動作を繰り返している。不思議な練習法だな、イメージトレーニングか?
「ジュンタ、これって何をやってる感じ?」
「えーっとですね、昨日僕がした適性とか属性、想像っていう話は覚えていますか?」
「ああ、もちろん覚えてる」
「それなんですけど、僕の得意な事って想像する事なんですね。で、想像力豊かっていうのが僕の適性そのものだと仮定して訓練をしているんですが……なかなか要領を得なくて」
「タっくんは、想像っていうか発想が豊かなんだよねー?」
隣にアゲハがサポートに来てくれた。そして続けてこう付け加える。
「こう考えるのはどーかな? タっくんの『得意なのは想像すること』これを『特異なのは創造すること』に脳内変換して『想像を創造』するイメージで、よりリアルに、よりカラフルにして強めてみるってのは?」
「特異なのは創造すること……想像を創造!? なんか行けそうな気がしてきました!」
ジュンタのやる気に活が入ったように見えた。
「アゲハってそういうの上手いよなぁ、柔軟性が高いっていうか視野が広いっていうか」
「こう見えて、あーし結構気が利くんだよー? いい奥さんになるよー? にゃははっ!」
珍しくアゲハの顔が赤くなり、照れ隠しなのか、いつもの笑いで誤魔化した。
「あーし、しばらくタっくんのサポートしてるから、リンは他見てあげてー」
「了解、頼んだ!」
さっきまで瞑想っぽい事をしていたショウゴが、空手の正拳突きのような事をやっている。
「お兄ちゃん、どう? 何か掴めそう?」
「ん? お、おう! 何となくだがな! 少し判ってきたかもしれない」
「お、ショウゴの方も着々と進んでる感じか!」
ショウゴは今の段階で理解出来たことを話した。
「まずは自分自身と対話をしてみた。そしたら俺の中には、昔、晶を助けられなかったという悔しい想いがまだあって『強くなりたい』『大切な人達を護りたい』という根本があった」
ショウゴが自分語りをするのは大変珍しいが、オレと晶はウンウンと頷きながら答える。
「うん、お兄ちゃんは昔からずっとそうだよね」
「なんだショウゴ。根本に持ってるものオレと一緒じゃん! なら時間の問題だな!」
ショウゴはフッと優しい笑みを浮かべて続ける。
「そしてその『強くなりたい』という理想像が、リン、お前だったんだ。だから俺の願いはお前の様に『強くなる』事……いや、『強くある』事だ。きっとこれが俺のカギだと理解した」
「うん、きっとそれで間違いないと思うよ、お兄ちゃんなら大丈夫!」
「ああ、ショウゴは凄いやつだからな!」
「リン、待ってろ。すぐに追いつく!」
「そん時は、オレも少しだけ先にいってるぞ」
オレとショウゴは拳を作ってコンッと合わせた、その上に晶も手を乗せた。
その瞬間ショウゴの身体からオリーブ色に近い濃い黄色の光が周囲に放たれ、ユラユラとショウゴの身体に纏わり付いた。……いや、光を纏ったといったほうが適切かもしれない。
「……これは!?」
「お兄ちゃんが覚醒した時に出て来た光に似てるよ!」
光に驚いた天南さんとジュンタ、アゲハも寄ってきた。
「やったんじゃないですか? ショウゴ先輩!」
「うわー! ミサキ先輩に先越されたー!」
「ショウゴ先輩もやるじゃない! しかも、多分これ強化系みたいな感じするよー?」
「なにっ! 本当か夜乃っ! それなら最高なんだが! よしっ、気合入った!」
表情から十分な気の入れ具合が感じ取れる。そしてショウゴは自身の能力と対話を始めた。
「よし、僕も頑張らなきゃ!」
「あたしだって負けないんだからっ! アゲハ、あたしのサポート頼んでいい?」
「サッチの頼みとあらば、モチのロンよ! あーしに任せろしーっ!」
しばらく皆、コツを聞いたりしながら個々でそれぞれの訓練を行っていた。
≪え! これマジ!?≫
突然天南さんからテレパシーが発せられ、皆、それに驚いて視線が集まる。
「え? あれ? 皆どうしたの? あたし何かやらかしちゃった!?」
「やらかしもなにも。今、天南先輩、テレパシー飛ばすの成功しましたよね?」
「しましたね!」
「流石サッチ! やれば出来る子だねーっ!」
「え! ホントに!? あたし今どうやったの?」
「ってか『これマジ!?』って結構大声な感じで飛んできたぞ」
「あ! そうそれっ! これからジュンタ君が凄い事になるんだからっ!」
「へっ!? 僕どうにかなっちゃうんですか!?」
天南さんが言うには、これからジュンタが凄い能力を発揮し、オレたちに必要不可欠な要となる的な内容だった。
「マジですか……。責任重大になりましたね。頑張らないと!」
「……さちこ先輩、今、予知の能力発揮したんじゃないですか?」
「え!? ……だねぇ!? 突然映像が見えたから驚き過ぎてよく分からなかった! アハハっ」
「でっ……、出来たーっ!」
ジュンタの声が深海に響き渡ると同時に、淡い光が辺りに広がった。
「ペンライト? そんなの持ってきてたんですか?」
「違うんですよっ! これっ! これ、今作ったんです!」
「あ! もしかして『想像の創造』が上手く行ったの!? マジ? あんな……」
「そうなんですよ! やりました! ありがとうございます!」
「……あんなアドバイスで本当に成功するとかマジかー」
ボソっとアゲハが呟いていたことは内緒にしておいてあげよう。
「ねぇ、例えばさ! ルームライトとかって作れそう? ほらっ、海の底って暗いから!」
天南さんがリクエストしてみる。
「やってみます! ……ん、んんー……っ!」
――ポムっ!
ファンシーな演出と共にルームライトが現れ、海中を優しいオレンジの色で照らした。
「わっ! ジュンタさん! ヤバ過ぎませんかその能力!」
まず「ポム」って音に突っ込もうぜ!? と突っ込みそうになる。
「ありがとうございます! これ、僕が思うにも相当ヤバい能力かもしれません! さっき天南先輩は『ルームライト』と指定しましたよね。でも、僕が想像したのは『明るく輝いているルームライト』でした。これっておかしくないですか? 電源はどこなんでしょうか?」
「「……電池!」」
女性陣の回答にズッコケそうになるが、ジュンタの続きはこうだった。
「結果的にいうと、光も創造したものです! 証明としては……こう……ですかね?」
ルームライトの光が強くなったり弱くなったり、また規則的に明滅したりする。
「僕の想像通りに操作できるみたいです! これが証明になるかと」
「ジュンタさん、もっと鍛えて色んなもの作れるようになりましょう! これは凄いですよ」
半ば自分の世界に入ってしまいそうなジュンタと晶を横目に、皆「こいつぁーヤベー」みたいな顔になっていた。
「天南さんがさっき言ってた、ジュンタが凄い事になるって、これかー」
「あたしが視たのはもっと凄いっていうか、あたしたちにとって重要になる事だと思うよ」
「ちょっと私も考えないと想像つきませんね」
「ジュンタの頭の中はどうなっているんだろうな」
「ほんとそれー! ツッコミどころありすぎー!」
「そろそろ時間も時間だし、少し早いけどそろそろ宿に戻らないか?」
「あ……えっ!? リンの言う通り、早目に宿に戻った方がいいかも! 一体どう言う事? 誰か、あたしたちの帰りを待ってるみたい!」
こっちに知り合いなんて居ないし、誰にも宿なんて教えていない。
みんな「誰?」ってなったけど、天南さんの能力を信じて急いで宿に戻る事にした。
急いで宿に戻り、フロントに声を掛けると「お友達がお待ちになっております」と休憩スペースに行くように言われた。
「「お友達?」」
とりあえず皆で旧ケースペースに向かうと、タンクトップに薄手のパーカー、短パンを履いたボーイッシュボブの女性がオレたちに気が付く。
「やっと来たわね、ここじゃちょっと出来ない話だから、あなた達の部屋に案内しなさい」
「え、いやちょっと待って。……どちら様?」
アゲハが組織の関係者かと思ったのか、一歩前に出て壁になる。
「……誰? あーしの知らない顔だけど。名前と所属を言え」
「……? 私は『煌 星』よ。まあ、悪い話じゃないわよ」
彼女はここら辺に住んでいる21歳の女性で、肩書は株式トレーダーだという。
先日の地震の際(まぁオレの仕業だが)津波や周辺の状況を調べる為、近場の監視カメラに入り込み情報収集を行っていたらしい。
「……監視カメラに入り込んでって、それってハッキング!」
ジュンタが突っ込んだが、彼女は「ちょっと借りただけ」と軽くいなして話を続ける。
その監視カメラに、俺達が街中に着地する様子が映り込んでいて「なんだこれは」と手当たり次第に調べたらしい。結果、この旅館に行き着き、宿泊システムに入り込んだら六人組の宿泊客はオレらだけだったので接触を図ったのだそうだ。
ちなみに街中に着地する様子、飛び立つ様子、旅館付近に着地する様子、飛び立つ様子がほんの一瞬ずつではあるが、彼女が持ち込んだタブレットにバッチリ保存されていた。
「宿泊システムから氏名、年齢、住所は既に把握済みよ。天狗 䮼君、御先 小吾君、八乙女 絢太くん、御先 晶さん、天南 さちこさん、夜乃 蝶羽さん」
「なっ! 私達を脅迫するのが目的ですか!」
「っちょ! 晶さん!」
ジュンタが制止する前に晶が話した事で、彼女は一瞬キョトンと驚いた顔をした。
「今の発言。この映像に映っているのは私達です。と自白したようなものよ?」
ジュンタは時既に遅しと額に手を当てている。
晶は、やってしまったとばかりに顔を引き攣らせる。
≪やってしまいました! ごめんなさいっ!!≫
「えっ! 何いまの!?」
彼女は声を上げ、突然の出来事に手を頭に当てると、その場にぶっ倒れた。
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