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Rising Force - Genesis -  作者: J@
成長編

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強化合宿二日目 思念伝達

 合宿2日目の朝、起きたら天南さんの足がアゲハの腹の上に乗っている。

 そして晶はその天南さんを抱き枕にして寝ていた。

 ショウゴは微動だにしておらず、ジュンタは入口ドアの方まで転がっている。


「皆、寝相どうなってんだよ」


 カーテンを開けると日本海側に向いた窓の為、朝日は拝めなかったが海が見えた。

 朝の海というのも中々に乙なものだなと思う。


「んーっ……にゃぁーもう朝ぁー? おはよーぉ、ふわぁーっ! 早起きだねー」


 天南さんが寝ぼけ眼で背伸びをして起きて来た。

 それに釣られるように皆が起き始めたので、オレは朝食バイキングの前に朝風呂に行ってくると言い部屋を出る。

 少し人がいたが、ゆっくりと入る事が出来たので、昨日行った一連の訓練を思い出しながら目を瞑った。

 イメージを濃くし、強めることで昨日よりも今日、今日よりも明日、もっと上手く扱えるようになるだろう。

 しかし現代においてこのような能力を使う場面が本当にあるのか?

 だが、アゲハが大怪我し、倒し切れなかったと言う組織の戦闘力。決して侮ったらダメだ。

 その時は必ず来る。そもそもこちらから打って出るつもりだ。

 その時に後悔しない為に、今出来ることをやるしかない。

 一撃で敵を屠れる、圧倒的な力を身に着ける!

 麗、アル、アゲハ。みんなの悔しかった思いを、何万倍にして返してやる!


「……だよな」


 顔にタオルを当て、フゥと体から熱気を抜くように、一つ溜息をつく。

 ちょっと長風呂になったのか、頭がフワフワする感じを覚える。

 部屋に戻ると皆起きており、オレの布団も折り畳まれていた。


「リン先輩、おはようございます!」

「ああ、おはよう晶。布団ありがとう。みんなおはようー」

「「おはようー!」」


 バイキングで朝食を済ませ、強化合宿二日目の準備に入る。


「今日の予定は、昨日話し合った方法で訓練をする為に、また海に潜るつもりです」

「昨日のって、あれね! 叫ぶやつ!」

「そうです! そして今日こそ私は焼きもろこし、焼きそば、焼きイカを食べるのです!」

「あたしは焼きもろこし!」

「あーしはまだねむーい!」


 本当に、皆朝から元気で何よりである。

 海へ出向くと、今日も朝から気温が上がっているからか、人出が多い。

 すでに太陽に照り付けられた砂浜は熱く、熱気で視界の先の海や人が少し歪んで見える。


≪イケメンってなかなかいないんだよねー。なんで他の女見てるのよ。おいおいもっと俺に注目しろよ。あの子胸でっか。なにあいつキモイ。海サイコー。声掛けてくんないかなー。クソあっちー。早くしろよ。あんたの彼と実は私浮気してんの。イケメン発見。帰ったら別れよ。俺が。私は。違う。もっと。クソかよ。#%$&\!*+@$#≫


「え!? ちょっ! うるさ……」


 視界の端が段々と暗くなっていき、視界が回ったかと思ったらブラックアウトした。


 ――ドサッ!


「えっ!? ちょっ! リン!?」

「リン先輩!?」

「やだ、リン!」



    ◇◇◇



 気が付くと海の家の中で横になっており、隣でアゲハがオレの手を握っている。


「あ、あれ? オレどうなったんだ?」

「砂浜に着いた途端、いきなり倒れたの。どこか痛い所とかない? 一応アーちゃんが直ぐ回復施してたから、もうじき回復するとは思うけど」

≪昨日の夜の温泉で体調崩しちゃったのかな? 心配≫


「リン、ほんとに大丈夫? 無理してもいい事ないからね? キツイ様なら合宿終わりにしてみんなで帰ったってそれまでなんだし」

≪顔色、あんまり良くないみたい≫


 頭はハッキリしてるし、手足に痺れとかも無い。とりあえず大丈夫なようだが。


「ああ、心配かけてごめん、オレも何が起こったのかよく分からないんだ」

「今、晶さんが氷と飲み物を買いにいって……」

「リン先輩! 気が付いたんですね、よかった!」

≪よかった、目が覚めてる! 心配し過ぎて泣きそうだったんですから!≫


「晶も皆も、心配かけたようで悪かった。今は、大丈夫だ」

「リン、無理し過ぎてるんじゃないか?」

≪無理し過ぎてるんじゃないか?≫


「体調不良なんて、リン君にしては珍しいですよね」

≪何が起きたんだ? 晶さんのベールは付与してあった。なら、要因は体調不良じゃない?≫


「まだ顔色悪いわよ? もうちょっと寝てなさいよ!」

≪なんならあたしの膝枕でもいいんだけど、アゲハに変わってって言うのも恥ずかしいし≫


「いや、このままで充分というか」

「なんなら私の膝枕に変更しますか! 回復も掛けられますし!」

≪ついでに頭ナデナデしますけど≫


「ちょっと待て! ちょ、ちょーっと待てーっ!」

≪もしかして私に膝枕するのはそんなに照れ臭かったんですか?≫


「え? あ、うん、そうだけど……って、あれ?」


 今、晶の口動いてたか? 動いて……ないよね?


「はっ! リン先輩もしかして!」

≪なるほど理解しました! ってことは、もしかしてコレも聞こえている訳ですか≫


「ん? あ、ああ、聞こえてるけど?」

「……リン先輩、一旦旅館に戻る事は出来そうですか?」

「とりあえず問題ない。大丈夫だ」

「えっと皆さん、一旦旅館に戻りましょう、話はそれからです」

「分かりました、僕はOKです」

≪なるほど、何となく読めました。流石リン君。規格外ですね≫


「ああ、俺ももちろんOKだ」

≪ああ、俺ももちろんOKだ≫


 ショウゴの声がステレオで聞こえる。


「えっ、なに? どういう事? 理解出来てないのあたしだけ?」

≪えーっ、誰か状況説明してー!≫


「あーしもアーちゃんの考えに賛成ー!」

≪流石ね。あーしも見る目あるなー! ね、そう思うでしょ? リン≫


「え、あ、うん」


 返事を返したら、アゲハから頭を撫でられた。

 俺が倒れてから目を覚ますまでは、ほんの数分だったらしい。

 非常に申し訳なかったが、海に来てすぐトンボ返りする羽目になった。

 旅館に戻り晶が説明を始める。


「簡単に言いますね。リン先輩が思念伝達の力、所謂『テレパシー』に目覚めたようです。とは言っても、今は受信してるだけのようですが」

「「えええーっ!」」

「やっぱりねー。そんな気がして頭の中で話しかけたらさー、ちゃんと返事返すんだもーん! リンはカワイイねー! ホントに」

「僕もその可能性があると気がつきました」

「あ、確かに。さっきジュンタ、読めた、規格外。って言ってたもんな」

「いえ、口では言ってませんけどね。当たりでしたね!」

「えっ! 分かってなかったのあたしだけー!?」

「安心しろ天南! 俺も状況が分かってない」


 何のフォローにもなっていないぞショウゴよ!


「あれ? そういえば声聞こえなくなったぞ?」

「はい! さっきベールに改良を加えたので、今はもう無差別に読まれる事はありません!」

「晶ちゃん凄い! ありがとうーっ! 心の中なんて読まれたら恥ずかしくてムリ!」

「むぐゅっ……!」


 晶が天南さんの胸に押し潰された。


「という事は……リン君! ちょっと試して欲しい事が浮かびました!」


 ジュンタが目をワクワクさせて言ってきた。


「オレだってまだよくわかってないのに、大丈夫なのか?」

「根本は全部一緒だと思いますよ、だから大丈夫です! 多分!」

「……ぷはぁっ! こう見えても私、結構ジュンタさんの事は信頼していますから、ジュンタさんが大丈夫って言うなら私も大丈夫だと思います! 多分!」

「どっちも最後に『多分』って付いてるわね……まあ、なるようになるって事じゃない? 多分!」

「にゃはははっ! そうそう、なるようになるってことーっ! 多分!」

「ちょっ、多分が増えただけじゃねーかよ!」


 でも確かに、なるようにしかならねーよなと考えを切り替える。

 ジュンタの説明はこうだ。


「要はヘッドセットを付けて話している感覚をイメージして、それを頭の中だけで完結させればいいんですよっ!」


 って、ものすごく大雑把に言われたんだが?


「まあ、そんな感じで今ここにいる皆に、頭の中でボイスチャットするイメージで話しかけてみてください。ゆっくりでいいので慌てずに」

「よ、よし、ならやってみるけど、何がどうなるか分からないぞ?」

「だ、大丈夫よ! いいわよ、リン!」

「俺ならいつでもOKだ」

「僕もOKですよ」

「さぁ! リン先輩!」

「あーしはいつでもいいんだよー!」


 アゲハさん!? それ絶対違う意味に聞こえるように言ってますよね?

 それはさて置き、目を瞑りヘッドセットで会話するイメージ……。


〈どうだ? 聞こえるか?〉

(聞こえますかー?)

『聞こえるかー?』


 何度も呼びかけてみたが中々に難しい。

 ヘッドセットって言うより、無線のチューニングだなこりゃ。


「くそっ、難しいな」


 期待の目で待ってくれている皆を、どうしても驚かせてやりたい。

 夢見てる時って夢の中で会話する事あるよな? あれって、実際口は動いてないのに会話が成立してるけど、そういう感じでいいのかも?


【聞こえますかー?】

≪これほんとに聞こえんのか?≫


「んん゙っ!? き、聞こえたんだけどーっ!」

「聞こえました! バッチリですよリン君!」

「……驚きの連続だな。コレなら俺も使ってみたい」

「成功して当然です! なんてったってリン先輩ですので、当然の結果でしょう!」

「さっき倒れた時は、ほんとあーし心配したんだからねーっ! まさかこんなことになるとは予想外だったけどー」

「お、おう! オレも凄く驚いてる」

「ちょっと試したい事を思い付きましたので、リン先輩、もう一回お願いします」


 オレも練習したいなと思ったとこだったから、晶の誘いに乗る。


≪晶、もしこれが聞こえたらアゲハにハグしてみてくれ≫

≪それはむしろ私がアゲハちゃんに弄られるやつじゃないですかー!≫


「はぁっ!? えっ!? マジか晶! 今のどうやったんだ!?」


 当たり前のようにテレパシーで返事が返ってきたので、声に出してしまった。


「どうもこうも、リン先輩がやった事と同じようにして返事をしました! 私のイメージは糸電話でしたが」

「しょ、ショウゴ!? 晶って一体どうなってんの!?」

「俺にも分からん! だが、それが晶だ!」

「な、なるほど!? そういえば、みんなにはどういう風に聞こえ……」


 さっきのオレと同じように、天南さんがバタリと畳に倒れ、次いでジュンタ、そしてショウゴと、三人が突然気を失ってしまった。

 慌てたオレたち三人は、座布団を枕代わりにして皆を寝かせ、起きるのを待った。

ご覧いただき、ありがとうございます。


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