強化合宿一日目 おやすみ
羽黒神社から宿に戻ったオレたちは、浴衣に着替え、温泉に入ってきた。
湯上りの女性陣はほんのり上気していて、浴衣も相まって、何やらやけに艶っぽくなっているのでドギマギする。
女性陣は旅館のお土産屋を物色してくると言って離れて行ったので、オレら男性陣は休憩スペースでくつろぎながら、今日の訓練で判った改善点を話していた。
「……なので、最後にベールを解放して爆発させるときは、ベールで爆発する範囲を限定して爆発させれば周囲に被害は及びませんし、ベールの中の威力も上がると思うんですよ」
ジュンタはいつもいい点に気が付いてくれる、頼りになる奴だ。
「なるほど! 確かにそうだな、でも晶との連携をかなり綿密に訓練しないと、タイミング的に難しそうだよな」
「そうなんですよね、何か解決方法があればいいんですが。あ、それとあの電気玉の方も同じ様に範囲を限定した方が威力は出ますけど、違う使い方で扇状に放出するってものアリだと思うんです」
「って言うと、広範囲に拡散させるイメージか?」
「そうですね、感電目的というか、広範囲をスタンさせる目的で使えると思いますよ」
「それもやっぱり晶との連携がネックだよなー、何かいい方法があればなぁ」
「なるほど、なら、こういうのはどうだ?」
今まで黙って聞いていたショウゴからアイディアが出る。
「それぞれに技名をつけて、撃つ時にリンが叫べば、晶も次に何をしたらいいのか判断し易いだろう? どうだろうか」
「ショウゴ……天才か!?」
「その発想はありませんでした!」
「そ、そうか? ならよかった!」
珍しくショウゴが照れている。
「そうなると色んなバリエーションを作る事も可能ですね! 例えば単発の爆撃じゃなくて連弾とか散弾とかみたいな感じとか。炎の壁とかも出来そうじゃないですか!」
「お、おう、かなり練習が必要になるだろうけど面白そうだな!」
「ですよね! ってことで今日出来た火の玉と電気玉? それに名前つけましょう!」
そうなると男共の厨二心が刺激されたのか、ファイアーボールとかそれっぽい名前が出てくる出てくる。マンガやアニメ、ゲーム好きなのはみんな一緒でなんか安心した。
何だかんだ、あーでもない、こーでもないと悩んだ結果、いいネーミングが出来た。
「ということで、威力が凄過ぎるところから火の玉の名称は『超新星爆発』に決定です!」
「「おおーっ!」」
旅館の休憩スペースに男三人の拍手がパチパチと鳴る。
「何面白そうなこと話してたの?」
女性陣が戻って来たので、さっき話していた内容を説明した。
「なるほど! それは判り易いですね! お兄ちゃんにしてはナイスアイディアです!」
「お兄ちゃんにしては、って」
ショウゴの若干納得がいかない様子に皆が笑う。
「でもさ、その技が必要になった時って、相当大きな声で叫ばないと聞こえなくない? リン叫ぶの?『喰らえーっ! スーパーノヴァーっ!』って」
アゲハのそれを聞いて、めっちゃおかしくてまた爆笑した。
「でも確かに。そうなるような場面だと聞こえない場合もあるだろうし、そもそも近くに晶がいる前提になるか。んー、難しいな」
「うーん……」
何か方法はないか、皆で頭を悩ませる。
「まずはアレじゃない? まずはその電気玉の方も名前つけてあげようよ!」
天南さんの提案でまた皆の厨二心が刺激され、色々な案が出るわ出るわ。
「あたしはあの青と紫が混ざったような色が印象的だったから『紫電』かな? なんて」
「私はあの音が印象的だったので『轟雷』でしょうか」
「なら、サッチとアーちゃんのを合わせて『紫電轟雷』で決まりじゃん!」
「「おおーっ!」」
「だな! それで決定!」
「「やったーっ!」」
ハイタッチで喜ぶ三人を見てたら、オレまで嬉しくなった。
部屋に戻るまで延々とスーパーノヴァ! とか紫電轟雷! とかポーズを取ってイジられたのは言うまでもない。
晩御飯の時間になったので、皆で大広間へ向かう。
結構な人数のお客がいて、若者のオレ達はちょっと気圧されたが、豪華な料理にそんな事も直ぐに気にならなくなった。
「はい、皆さんグラスは持ちましたね! お酒はまだダメなので、オレンジジュースとウーロン茶ですが、まずは合宿一日目、お疲れ様でしたーっ! カンパーイ!」
「「カンパーイ!」」
合宿リーダー晶の音頭で夜の宴が始まるのであった。
もはや合宿というより、観光して楽しんでる感が強くなってきたな。
お腹も満たされ部屋に戻ると綺麗に布団が敷いてあった。
当初はオレがアゲハと天南さんに挟まれるらしかったが、布団は三組の二列。
結局、女性と男性に分かれて寝る事になった。
皆好き勝手に布団の陣取りを始める。
そこからは今日撮った写真とか海の底とか羽黒神社の話で盛り上がり、いつか湯殿山と月山にも行こうという約束をした。
気が付くと皆寝転がり布団に入っている。
「しかし、リン君には本当に凄い体験ばかりさせてもらってますよ。宇宙に行ったり、海深くまで潜ったり。こうやって皆と合宿したり。僕、本当に感謝してるんです」
「ああ、そうだな。 俺も同じだ、本当に凄い体験ばかりだ」
「リン先輩がいれば、大抵の事は不可能じゃなくなります!」
「いや、そこは晶がいたからこそ、不可能が可能になってるワケだけどな?」
「えへへへっ!」
「そうね、晶ちゃんもリンも本当に凄い。あたしだって感謝してる。いつもありがとう」
「あーしもほんとそう思う。人生が一変した。みんなのおかげ。だから、ありがとね」
「それを言うならオレの方だ。皆がいなかったら、俺はまだ闇の中だ。感謝してる」
「私こそ……ありがとう……です……スー……スー……」
「寝ちゃいましたね」
「寝たな」
「寝ちゃったわね」
「晶らしいな」
「アーちゃん可愛い」
そういってオレは照明を消し布団に潜る。
「今日はお疲れ様、おやすみー」
そう言うと皆から「おやすみー」の返事が返ってくる。
しばらくすると皆寝付いたのか寝息が聞こえ始めた。
結構怒涛の一日だったから、そりゃ疲れただろうなと思うが、中々寝付けないオレ。
時間は深夜一時位にもなっただろうか。ゴソっと音がしたと思ったら、オレの対面に布団を陣取ったアゲハの手が伸びてきた。
オレも手を伸ばしたら指を絡めてギュっと握ってきたので、アゲハの方を向く。
ニコっと笑い、声を出さず口パクで「おふろ」と言ってきた。
意図を理解したオレは頷き返し、音を立てない様に二人で静かに廊下に出る。
皆には少し申し訳ないけど、折角の温泉。アゲハと二人の時間も大事にしたい。
地下の大浴場の他に、屋上に露天風呂もある。そもそもこの時間になるとお風呂の使用時間外で鍵が掛かり中に入れないのが常だろう。
だがそこはオレ。掛けられた鍵など関係ない。廊下の窓から屋上露天風呂まで飛べばオールクリアだ。
「あ、男湯の方でいいのか?」
「リンと一緒ならどこでもいいんだよー」
そんな可愛い事を言うアゲハをお姫様抱っこしながら、屋上に飛んだ。
脱衣所は外から入れるみたいで、そこで浴衣を脱ぐのだが……。
「ちょっと待った! アゲハのその浴衣姿、すごくいい」
「んふっ、でしょ? リンも凄く似合ってるよー。好き。そういえば、まださっきの約束してなかったよね。今していい?」
オレが返事を返す前に、アゲハはオレの浴衣を開け、オレのオレを口いっぱいに頬張った。
浴衣の間から覗くアゲハの白く伸びた太ももが、視覚から脳を刺激してきて、既にはち切れんばかりに膨れ上がったモノは、アゲハの喉奥で喜び暴れ出す。露天温泉の湯舟から零れ落ちる湯の音と、アゲハの口元から湧き出る音が重なり、しばし日常を忘れた。
オレから漏れ出た声とともに、アゲハの口内に迸った滾りは、一滴も漏らすことなく、ゆっくりと嚥下され飲み干された。満足気に恍惚とした表情で口を開けて見せるアゲハ。
そんなのを見せられたら我慢できるはずもなく、立たせたアゲハの浴衣を捲り上げ、後ろから好きなように押し入った。
アゲハも我慢していたのだろう。いつもより激しく溢れ出す蜜は、オレにこれでもかと絡みつくに足りず、床にその雫を零し、足を伝い、脱衣所に差し込む月光に煌く。
抱えるように体勢を入れ替え、繋がったまま湯舟に向かって歩く。
蜜が伝った足を、オレの肩に掛けるアゲハ。目の前に艶めかしい匂いを放ちながら差し出された蜜。それをしつこく舐め取りながらも、動くことを止めない。
アゲハから漏れる押し殺された甘い声。リズムよく波打つ露天風呂のお湯。煌々と輝きを増す月の下、俺たちは、お互いの猛りが満足するまで求め合う。
収まりきらなくったオレの迸りが、アゲハの蜜と混ざり合い、そして溢れ出して行く。
「リン……もうお腹一杯にリンがいるよぉ」
優しい声と力の籠った抱擁に、同じように大事に包み返し、頭を撫でた。
湯舟に浸かり、しばしの間目を閉じて、夜風と湯の音に耳を傾ける。
落ち着いた二人の時間はゆっくりと流れ、決して離れまいと肩を寄せた。
あまり遅くならない内にと部屋に戻り、皆を起こさない様に静かに静かに布団に帰る。
アゲハと手を繋ぎ「おやすみ」と声を掛けると、安心したのか、さっきまでの寝付けなさが嘘のように消え、あっという間に二人とも眠りについた。
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