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Rising Force - Genesis -  作者: J@
成長編

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35/124

強化合宿一日目 訓練は海の底で

「うわぁー! 林に囲まれた緑の中に蔵造りの宿! なのに潮の香りがするー! 凄くいい所じゃない! 晶ちゃんグッジョブ!」

「アーちゃん、こういうとこ探すのセンスあるーっ! テンション上がるねー!」


 女性陣が写真を撮ってはしゃいでいる図を見ると、本当、来てよかったなーと思う。

 ぶっちゃけ、妖艶美女、健康美女、キュート美少女。この三人が笑顔で楽しんでるのを見れただけで、もう満足した感じ。

 毎日オレの手料理を食べてるアゲハの体重も、以前と同じ位まで戻り健康そのものだ。

 こういうのなんて言うんだっけ? そう、眼福!


「外見からして結構高そうに見えるんですけど、四万円で足りるんですか?」

「その時はリンが出してくれるってー! 心配いらんよータっくん! ねっ、リン!」

「アゲハちゃんの言う通り! リン先輩がいれば大抵の事は大丈夫です!」

「今日、それ二回目なんだけど?」


 アゲハはジュンタを「タっくん」と呼び、晶はアゲハの要望で「アゲハちゃん」と呼ぶ事になったらしい。


「その時はよろしく頼む!」

「ショウゴまで!?」

「では、宿に入る前に皆で写真撮りましょうー!」


 修学旅行な感じになってきてるけど、きっといい思い出になるに違いない。

 思い思いのポーズで写真を何枚か撮った。何気にジュンタのジョジョ立ちが最高に決まっていた事に、みんなで爆笑した。

 受付を済ませて部屋に入る。


「おおっ、これぞ旅館って感じだな! いいじゃないか!」


 珍しくショウゴのテンションが高く、さっそく浴衣に着替えようとしている。


「ちょっと待ったーっ! お兄ちゃん? 今日は何をしにココに来たんだっけ?」

「あ、えっと、リンと晶の能力強化合宿……だな」

「そうだよ? なら浴衣に着替えるのは後にして、まずは水着を持って海でしょ!」

「「えっ!」」

「ほらっ! 時間も勿体ないので皆準備して海行きましょう! 海! ねっ!」

「そ、そうだね! 海行こっ! あたしたちの水着、興味あるでしょ? あるよね!?」

「あーしの水着、ちょーカワイイんだから!」


 女性陣から放たれる、有無を言わせない笑顔という無言の圧力に、頷くしかない男ども。


「「あ、はい喜んで」」


 なっ! この返しが出来るとは、ジュンタ! なかなかやりよるな。

 普段着の中に水着を着用したオレたちは、宿の受付に「ちょっと海まで」と外へ出た。

 宿から少し歩くと坂道になり、林がいい感じに目隠しになった。


「ここから海に向けて飛ぼうと思うけど、一旦、近場の見つからない様な所に降りてから歩いて行こうか」

「そうですね、それで行きましょう! じゃ、リン先輩お願いします!」


 あらかじめスマホで良さげな場所を調べておいたので、そこに向かって高速飛行で飛ぶ。

 海に面した温泉街の、周りから見えない場所に降りる。通りに出ると、一段下がった先は、既に一面の海だった。


「「おおーーっ!」」


 午前中にもかかわらず結構な海水浴客で賑わっており、砂浜には逃げ水が出来ている。


「うわー暑そうですね! 行きましょう、行きましょうー!」

「ほらっ、皆行くわよ!」

「サッチごめーん! あーし日焼け止め忘れてきちゃった! 貸してーっ!」


 女性陣のテンション上がり具合が半端ない。

 幸いなことに海の家に貸しロッカーが置いてあったので、着替えはそこに突っ込んだ。

 水着になり外に出ると、眩しいばかりの水着姿の三人が!


「どう、かな? あたしの水着姿。ちょっと恥ずかしー」

「どうですか! 私の水着は! カワイイですよね! ねっ!」

「にゃははっ。水着ってある意味全裸よりハズいんだけどーっ! めっちゃ悩んだし!」


 三人とも眩しすぎて色々な意味で直視するのが難しい! というか、既に周囲の男共の視線を集めてるし!

 天南さんはオレンジ色のパレオがついた黄色のビキニスタイル。

 元気一杯な眩しさを発していて、非常に健康的ではち切れんばかりだ。

 晶は向日葵などの花が抽象的に描かれた白のワンピーススタイル。

 腰に短めのスカートが付いたとてもカワイイ水着。誰もが妹に欲しいと思う事だろう。

 アゲハは天南さんよりも更に攻めた、淡い水色のハイレグなセクシービキニ。

 バスト下とウエスト回りにラインストーンのチャームが輝いている。しかも超ローライズのデニムショートパンツを着用。カッコイイ&セクシーの、オレ的ドストライク仕様だ。

 流石アゲハさん。よく分かってらっしゃる。


「三人とも、ヤバすぎる位すごく似合ってる! ほんと、ヤバすぎる……」


 視線がアゲハに釘付けになっているのがバレたのか、アゲハがその意味を理解し、満足気な笑みで口元に手を持っていき「後でシてあげる」とジェスチャーする。オレの女神最高か!


「分かります、分かります! そんじょそこらのアイドルなんかより全然推せますっ!」

「い、いいんじゃ、ないか。その、よく似合ってる」

「えへへへーっ! ありがとー!」

「私以上の妹キャラ、そうそういないですよ!」

「いやー、ハズいハズい! 変な汗かきそーっ!」


 三人はとりあえず満足したようなので何よりだ。ホッと胸を撫で下ろす男三人。


「じゃ、さっそくあっちの岩陰の方に行きましょう!」

「え? 海に入るんじゃないの?」


 天南さんが疑問を投げかける。


「この人が沢山いるところで潜って、水面に上がってこない。なんてバレたら大事になってしまうじゃないですか。なので岩場の方から海の底へ、です!」

「あ、なるほど! 流石は晶ちゃん!」

「んーっ、アーちゃん賢い上に可愛くて好きーっ!」

「んむぐっ!」


 アゲハに抱き着かれ、胸圧で溺れそうになる晶。


「……っ、ぷはぁっ! ふぅ、それじゃ行きましょうかー!」

「「おーっ!」」


 人混みに紛れて岩場の方に移動し、遊泳禁止エリアに入った。


「ここなら大丈夫そうですね! ベールも全員に付与されています。それじゃリン先輩、よろしくお願いします」

「よし、お願いされた! だけど、岸からかなり離れて相当深くまで潜るつもりだから、かなり暗くなるかもだぞ?」

「あーしは暗くても全然大丈夫。リンにお任せー!」

「出来ればギリギリ見える位でお願いしたいかな。真っ暗はさすがにあたしも怖いし」

「俺もある程度は見えた方が安心する。足元が真っ暗なのは、ちょっと苦手なんでな」

「僕あまり泳げないので、溺れたら助けてくださいね」

「了解した! よし、行くぞ!」


 皆で一斉に海の中に飛び込み、潜水飛行? 開始だ!


 感覚的に岸から100キロも離れただろうか、排他的水域ってやつかな?

 頭上から太陽光が青く差し込み、とても幻想的な光景を目の当たりにする。


「見てください! こんなにたくさんの魚が頭の上を泳いでます!」

「うわっ! ヤバーっ! めっちゃ綺麗じゃん! 海の底ってこんな感じなんだねー!」

「宇宙も凄かったが、深海も別の神秘さがあるな。下は真っ暗で怖いが」

「僕、あの時、勇気を出して声かけて本当に良かったって思ってます! 感動ですよ!」

「ね、ねぇ、もちょっと明るくなんないかな? 暗すぎじゃない!?」

「本当なら、世界一深いって言われるマリアナ海溝だっけ? その奥底まで行ってみたいよなあ。こっちなら日本海だから日本海溝か?」

「でも、それには光の問題をクリアしないことには、これ以上潜るのは不可能ですね。そのうち何とかならないか、僕、考えておきますよ!」

「ジュンタがいると頼もしいな、俺からも頼む」


 陸からも海面からもかなり距離を取った。ここならどんな訓練をしても大丈夫そうだ。


「んで、どんな特訓をするといいんだ?」

「ちょっと待って! その前になんであたしたち普通に会話出来てるの? 普通水の中ってもっとこうアワアエアみたいな感じになるじゃない?」

「あ、それは私がベール内を繋げて声が通るようにしてみました!」

「アーちゃん、ほんと規格外に凄すぎない!?」


 海の中でドヤ顔をし、まだささやかな胸を頑張って張る晶。

 だが、その能力のスペックはアゲハが言う通り凄まじい。


「リン先輩、特訓なんですが以前山の広場で発火と雷が云々とか言ってたやつですけど、私のベールでそれを包んで保護すれば出来きると思うんですよ」

「はっ! その手がありましたね! 早速試してみましょう!」


 晶の案にジュンタは手順を即座に考え説明する。そして早速やってみることになった。


「まずは私のベールをリン先輩の掌に球状で展開します」


 オレの手の上に球状の膜が出来あがる。本当に器用な子だ。


「そして、リン君はその中に超高温の火の玉をイメージ」


 オレはマンガとかアニメでよく見る感じでイメージするが、際現に苦労する。


「流石に何もない空間を燃やすってのは、難しいというか無理っていうか」

「リン君、僕の考察ではリン君も晶さんも、自身の適性というか、ある種の属性に添った能力が発現しているんだと分析しています。しかもそのエネルギーは願いだったり想像だったりという概念から生まれていると思うんですね、晶さんは無意識でなのか、それが出来ているようなので、リン君も同じ様にきっと出来るはずです!」

「リン、あなたなら必ず出来る! そう信じてるあたしを信じてみて!」

「リン、お前ならやれる!」

「リン、成功したらご褒美が待ってるんだからねー!」


 皆の期待と願いを一心に受け! というか、ご褒美と聞いて俄然やる気が出た! ぎゅっと目を瞑り、頭の中で強くイメージする。色濃くよりリアルにイメージを重ねる。


「「……おおおおーーっ!!」」


 みんなの驚く声が耳に入り、瞼越しにオレンジとも黄色とも言えない光が見えた。

 恐る恐る目を開くと、そこには小さな太陽のような、星が生まれる前の高密度熱エネルギーの固まりがあった。


「……マジか」


 オレの口からは、その一言が漏れただけだった。

 太陽の光が僅かにしか届かないこの深海で、力強く輝くそれを言葉に表すのは難しかった。


「流石あーしの旦那だわーっ! 最高にイケてる!」

「やっぱり私のリン先輩です。流石です!」

「やっぱりあたしのリンね! 完璧じゃない!」

「成功ですよ! やりましたね、リン君!」

「当然の結果だな」


 一部、私のーとか、あたしのーとか、聞こえた気がするが気が付かなかった事にしよう。


「で、ジュンタ! コレどうしたらいいんだ!?」


 その後を考えていなかったオレは、ジュンタに助けを求めた。


「海の底に向かって投げてください! そしてリン君が拳をグーに握ったら、晶さんはそのベール解除してエネルギーを解放するってのはどうでしょう!」

「わかりました! 余裕です、任せてください!」

「了解した! やってみる!」


 野球のように振りかぶろうかとも思ったが、能力で射出するなら意味がないと思い、左手で右手首のとこを掴み、右の掌を海の底に向け、輝くエネルギーを超超高速で射出!

 殆ど一瞬で底に向かって飛んで行き、見えなくなった。

 ここの底がどのくらいなのか知らないので、グーを握るタイミングが分からない。

 今か? 今か? と皆がオレの挙動と海の底に目を向ける。

 オレがグーを握ろうとすると、皆がちょっと前屈みになるのが面白くて、何度か繰り返したらみんなに怒られた。


「リンっ!? 遊んでない!?」

「あ、いや、そろそろかなーと思ってるんだけど、踏ん切りが」

「にゃはははっ! 大丈夫! 3……2……1、今っ!」


 アゲハの合図でグッと拳を握ると同時に、晶がベールを解除。


 ――ン……ッゴオーーンッ!!


 水の中って地上より音の伝達が約四倍速いんだっけか?


「あれ? なんか思ったより凄くね?」

「かなりいい爆発音聞こえましたね……」


 ジュンタと呑気にそんな感想を述べ合っていたら、晶が慌て叫び出す。


「リン先輩! 緊急浮上! 即行でっ! 上空までっ!」


 よく理解出来なかったけど、その慌てっぷりがヤバかったので海面上空まで緊急浮上する。

 少し遅れて足元の海面がググっと盛り上がったと思ったら、水面で盛大に爆ぜ、大量の水蒸気を噴き上げた。


「ちょっ! 威力ヤバくね!? 流石にオレもここまでだとは思ってなかった」

「にゃはははっ! ここまでスゴいとヤバい超えてウケるーっ!」

「アゲハ!? ウケる超えてヤバいレベルだと思うんだけどー!?」

「よく私のベールが耐えられましたね……。でも流石リン先輩です!」


 何でもかんでも褒めちぎってしまう晶の言葉は嬉しいが、この威力はちょっと……。

 これは、やり方をもっと考えないと被害甚大すぎるだろ!

 という事で、今後の課題だなという会話になった。


「まあ、ですが、起きてしまった事にどうこう言っても始まりませんので、まず、今日やれる事をやってしまいましょう!」


 ジュンタが思考切替を促した。


「そ、そうね、今更よね! じゃ、次行ってみよーっ!」

「そうですね、次、行ってみよーっ!」

「ダメだこりゃ! 次行ってみよーっ! にゃはははっ! 面白ーい!」


 天南さんに続いて晶まで、というか、アゲハが言うと「ド」が付くほどの大爆笑になった。

 でも、この技の威力はオレが欲しかった威力だ。

 オレとアゲハの復讐。組織を圧倒的な力でねじ伏せ潰す為に、この合宿で必ずモノにする!

ご覧いただき、ありがとうございます。


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