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Rising Force - Genesis -  作者: J@
成長編

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27/124

訓練開始

 今日は、初めて3人に付き合ってもらって能力強化訓練をする。

 場所は、杢蔵山(もくぞうさん)側に市民スキー場があるのだが、そのさらに奥の方。周囲が木々で覆われているので見つかり難く、ちょっとした広場になりそうな場所を晶が見つけてくれた。

 山の奥の方ということもあって、熊に出会う危険があるかもわからない。

 とりあえず皆で一緒に行く事にし、駅裏の駐車場で待ち合わせた。


「リン先輩! おはようございます!」

「みんなおはよー! あたしこんな恰好だけど大丈夫かな?」


 ショウゴは無言で片手を上げ挨拶する、まだ眠そうだ。


「おはよう! 今日はよろしく頼む! 一応山だから、しっかり長袖長ズボンの恰好じゃないと、虫とか怪我とか嫌だろ?」

「絶対嫌っ!」

「ムリです!」


 オレはバックパックに水分と軽食、タオルや救急セットを持ってきた。

 晶もオレと似たような装備で、荷物をショウゴに背負わせている。

 天南さんに至ってはショルダーバッグにスマホとお菓子という、ちょっと山を舐めた感じ。

 これは間違っても一人で行かせたらダメなやつって思った。

 自転車を走らせ山に向かうが、もちろん行きは登り。女性陣は「ヒーッ!」なんて声を上げながらペダルを踏んでいる。


「よっし。そろそろスキー場だ」

「や、やっとだあぁぁーっ! 着いたらちょっと休憩ーっ!」


 到着した駐車場で地面にへたり込み、誰も居ないのをいいことに大の字になる。


「えーっと、スキー場のさらに奥に行くには……っと、あの小道か」


 ふと気が付くと、スキー場のふもとに一人の男性が立っている。

 こんな朝から? しかも夏場にスキー場?

 よく見ると、何やら手にコントローラーのようなものを持ち、空を見上げている。

 上空には小型のドローンが浮かんでいるのが見えた。


「あそこに一人、ドローンの練習? やってる人がいるな」

「あ、ほんとだー」

「人、いましたね」


 ドローンも自由に飛ばしちゃダメなんだったか? 縛りが多くて生き辛い世の中だよな、ホントに。駐車場に自転車を置いて、オレらは小道に入り、また少し山登りをした。

 天南さんと晶が全く喋らなくなったなと思い、後ろを振り返ると、ショウゴに手を引かれて歩いていた。


「中々いい運動になるだろ?」

「全然、よくなんか、ないんですけどっ! 明日絶対、筋肉痛だよーっ!」

「きっ、キツくなんか、ありません、からっ! だ、大丈夫、ですっ!」


 もちろん二人の手を引いてるショウゴは余裕の表情だ。


「と、いうことでここら辺じゃないか? 晶が見つけてくれた場所」


 周囲は木々に囲まれ、街からもスキー場からも見えなく、かつ、その場所だけは木も生えておらず適度に広い場所になっている。

 ただ、辺りは背の高い草が生い茂っていて、何かに使用するには手入れが必要だ。


「多分ここ……ですね、草だらけ……。ごめんなさい! こんな場所使えないですよね!」

「いや、こんなにいい場所他にないだろ。ありがとな晶」

「ううっ、リンせんぱぁーい!」


 晶がオレに抱きつこうとした間に、天南さんが割って入り受け止める。


「ムグっ!」


 天南さんの胸に顔を埋める格好になった晶。


「で? この草どうすんの? みんなで草むしりするにしても無理がある広さだけど」


 その疑問はもっともだけど……。


「問題ない。まあ見てな。オレの場合は、こうするんだ……よっと!」


 オレは、能力を使い一気に全ての草を引っこ抜き、山の奥に飛ばした。そしてボコボコになった地面を一気に整地する。

 流石に土埃と土臭い感じが凄いが、まあ、地面が乾けば全然問題ないだろう。


「「うええぇぇーっ!?」」


 そうだろう、そうだろう。オレも上手く行き過ぎてビックリしてるくらいだからな。


「……ん?」


 知らない声が混ざってたような気が……。

 オレたちが入ってきた小道の所に、さっきドローンを操作していた人が立っていて、某海外アニメキャラような驚き方で固まってる。

 って……アレ? 見られた? そう気が付いた時には手遅れだった。


「ちょちょちょ、ちょっとーっ! 今のどっからどう見ても超能力だよね!? ねっ!? あっ僕『八乙女(やおとめ) 絢太(じゅんた)』って言います! ってか、若い男女がこんな山の中入って行くのが見えたから事件かと思って後を追って来てみたら一瞬で草抜けて地面平らになってとんでもない事になってるしこんな楽しそうなイヤ面白そうな事やってるなん……あ、酸欠」


 一気に喋り過ぎたのか、興奮しすぎて息を忘れてる。中学生か?


「えっと、君はどこの中学生? んで、今のを見てどうするつもり?」


 怖い笑みを浮かべながら、天南さんが詰め寄り問いただす。


「ぼ、僕は北高の1年です、これでも一応16歳です!」


 ちょっと後ろに仰け反りながらそれに答える。


「……で? 今のを見て、君はどうするつもりなのかって聞いてるの」


 天南さんが語気を強め、もう一度同じ言葉を繰り返す。


「どうするつもりって……。はっ! 僕も仲間に入れてくださいっ!」


 予想外の返答。


「えぇーっ!? そう来るかーっ!」


 見られてしまったからにはどうする事も出来ず、まずは話をしてみる。


「あの、僕が思うにですが、皆さんはおそらくここでその力に関する何らかの練習というか訓練と思われることをしに来たのではないですか? ということは、何かが上手く行っていないか、屋内では出来ない新しい何かをしようとしている。故に人目の付かない場所に来た。という事で合ってますか?」


 さっきの一瞬の出来事と、今彼が置かれている状況の中、よく正しく判断できるものだと、ちょっと興味が湧いた。


「あのさ、えっと八乙女君だったか?」

「絢太でいいです」

「わかった。なら、ジュンタ。まず聞きたいんだが、オレたちの行動とさっきの出来事でそこまで一瞬で想像っていうか、考えたのか?」

「えーっと、はい。想像もそうですけど、理解したといった方が近いです。えっと、僕、趣味がドル活で、推しに関する想像とかすごい好きで得意なんですよ。どういう構成で、どういう衣装で、どういう演出でやればもっと良くなるのにとか。とにかく好きな事や萌える事、面白い事や楽しい事に対して、想像力、発想力、行動力がすごい発揮出来るんです。なので、あなた達が何をしようとしているのか、それは何故かという事を理解しました。なので、きっと僕はあなた達の悩み解決に貢献出来ると思うんです! どうでしょうか!」

「め、めちゃくちゃグイグイ来るわね君……えっと、ジュンタ君」

「はい! だって、この出会いというかチャンスを拾わなければ、僕の今後の人生において最大の機会損失となることは明白ですから! こんなにワクワクする事なんて、ドル活の他にありますか? いや、ないですよね!」

「私、ちょっと選挙演説を思い出しちゃいました。苦手なんですよねアレ。ですけど、リン先輩を凄いと感じて憧れるのには共感します」

「……覚悟はあるのか?」


 今まで黙って成り行きを見ていたショウゴが口を開く。


「かっ……覚悟って、なんでしょうか」


 ショウゴの見た目が発する威圧感にビビったのか、若干声を震わせながら聞き返す。


「仲間を裏切らず、この事を決して誰にも漏らさず、墓場まで持っていく覚悟だ」

「今ここで答えなさい。どうなの?」


 晶を胸の間に埋めて抱き締めたまま、天南さんがクロージングに入る。


「もちろんあります! というか、誰に話すとかの前に、僕、友達いませんからっ! お願いします、僕を仲間に入れてくださいっ!」

「……そっか お前、友達いないのか」


 ちょっと親近感が湧いてしまった。


「よろしくな、ジュンタ」


 ドンマイとばかりにジュンタの肩をポンと叩くと、ちょっとビクっと体が跳ねた。

 オレがジュンタを受け入れると、皆の緊張した表情も解れた。


「さっきは脅かしてごめんねー、あたしは『天南 さちこ』よろしくね!」

「俺もさっきは悪かった『御先(みさき) 小吾(さとる)』だ、よろしく」

「そしてコレの妹の『御先(みさき) (あきら)』です」

「んで、オレは『天狗(あまつ) (りん)』だ。よかったな、友達増えたじゃないか」


 ジュンタはそのままペタっと地面に腰を落としてしまった。


「ぼ、僕、基本ビビリなんで、ちょっと腰が……」


 そう言いながらズレたメガネを元の位置に直す。

 その仕草に、皆も肩の力が抜けたように笑い出した。


 結果的に、ジュンタを仲間にしたのは大正解だった。


「じゃ、次は高速移動しながら自分の背中を能力で押して、推進力を底上げするイメージで走ってみてください」

「了解!」


 新メンバーと言ったらいいのか新しく仲間に加わったジュンタは、自負するだけあってアイディアとか想像力が豊かだった。

 今オレが出来る事、それらを組み合わせて能力の強化や新しい技を獲得することが可能と言い切り、早速その実証実験を行っている。


「こう……か? う、うおぉぉーー!」


 今までは時速100km位が限界と思っていたのに、後ろから能力でブーストするとアホみたいな速度が出た。体感で倍以上の速さ。時速200km以上は出たんじゃないか?


「やりましたね!! 音が遅れてないのでマッハ到達とまではいかないですが。生身でそこまでスピード出すと体が追い付かないと思うので、今はまだ無理しちゃダメですね」

「リン先輩、あちこち怪我だらけですよ! あんまり無茶しないでください! 見てるこっちは心配で心配で」

「それこそ骨折なんてしたら訓練禁止だからね!? 楽しいのも分かるけど、無茶して大怪我でもしたら、皆つまらなくなっちゃうんだから」

「多少の怪我なら超回復であっという間に治るから、とりあえずは大丈夫だ!」

「それでも心配なものは心配です!」


 晶はちょっとあれだ、心配性というか過保護だな。

 それにしても、ジュンタの発想からくる訓練で一気に幅が広がった。


「しかし凄いな! 格段に進歩した感がある。ジュンタのおかげだ!」

「僕の想像力は自分でも驚くぐらい湧いてきますから。役に立てたなら良かったです」


 嬉しそうな顔をするジュンタだが、まだ何か言い淀んでいるようにも見える。


「どうした? 実はまだ何か考えがあるんだろ? 顔に書いてあるぞ」

「え! あ、はい。多分可能だと思うんですけど、制御が難しそうというか、無茶すると大怪我しちゃうかもしれないんで、言わないでいたんですけど……」

「「却下」」


 天南さんと晶から、すかさずNGが出された。


「まあ、聞くだけでも聞いて、やれるかどうかはその後の話で」

「とか言って、聞いたらやりたくなるでしょう!? あー、もう好きなだけやっちゃいなさいよ! でも怪我したら怒るからね!」

「リン先輩? 大怪我したら私、付きっ切りでお世話しますので、そのつもりで」

「あ、はい」


 出来れば笑顔のまま怒らないで欲しい。なんか怖い。

 それに、やらない後悔より、やってから反省したほうがいい。


「と、いう事でジュンタ、さっきの話の続きを」

「はい、リン君は物体を浮かせられるじゃないですか」

「まあ、そうだな」

「なので、リン君自身を一つの物体と捉える事が出来れば、多分、空を飛べます」

「えっ、はっ!? マジでっ!?」

「もう一つあります。物体って、どんどん小さく見ていけば、原子とか電子になるじゃないですか? それらが集合した物が大きな物体なので、それを能力で干渉して動かせるのなら、原子や電子も能力で動かせる道理になりませんか?」


 皆、分っているのかいないのか、とりあえず頷いて聞いているが、これはヤバい話だ。

 オレ達とは違った視点で物を見て、可能性を探ってくれたジュンタに感謝したい。

 今日、たまたま山に居てくれてありがとう。お前と出会えて良かった。


「つまり、高速で原子同士を回転させ摩擦熱で物体を発火させたり。同じように、電子を超加速して発電・帯電・放電させたりって事が可能かもしれないって話です。ですが、原子同士を高速で衝突させるのは、核融合につながるのでもちろん危険になります。何かしらの対策が担保されるまでは、発火に留めておいた方が無難ですね。発電・帯電・放電についても、そのエネルギーをその場に留められる方法が分かるまでは、手を付けない方がいいと思います。それに、もしそれが出来るようになったとしたら、更に出来る事の選択肢は広がると思います」


 ここまでくると、なんて出鱈目な力なんだろうと思わざるを得ない。

 だが、オレが欲しかった圧倒的な力。復讐に必要な力は、まさにこういう力だ。

 アゲハ。お前は今どこで何してる? オレは一歩先に進めそうだぞ。


「とにかく凄いってのは分かったけど、夢中になるとめっちゃ喋るね! ジュンタ君」

「ジュンタさんは、頭の回転がどうかしてますね。私と話が合いそうです」

「……ジュンタ、難易度で言うとどの順序になる」

「一番簡単で危険が少ないのが飛ぶことですね。次に発火。難しいのは電気というか、ほぼ雷を起こすこと。最後に一番危険なのが核融合ですね」

「了解した。なら、まずは低空で飛ぶ訓練からいこう。どうすればいい?」


 オレの中では、復讐するべき奴らをグチャグチャに潰せる一歩を踏み出した、という感動が高揚し、ブレーキが効かなくなってきている感じだ。

 そんなオレを見る天南さんと晶は、楽しんでいると捉えたのか、仕方がないとでも言いたげな、若干乾いた笑いを浮かべていた。


「リン、もし空を飛べるようになったら俺を背負って飛んでくれないか。頼む!」


 我慢出来なかったのか、先走るショウゴ。


「お、いいぞ? そん時はすんごい高っかく飛んでやるから、楽しみにしとけよ」

「あっ! これも多分ですけど、リン君が単独で飛べるようになったら、みんなにも同じように能力で干渉すれば飛べるというか、飛ばせるはずです!」

「ま、マジでぇーっ!?」


 ショウゴを驚かそうとして、次々に出て来るジュンタの発想に逆に驚かされた。

 そして、あーでもないこーでもないと飛行訓練が始まるのであった。

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