Side Story 強化合宿一日目 二つ目の技 ~おみくじの結果は?~
羽黒神社を訪れたオレたち。
入口の鳥居をくぐると長い下り階段が見えた。降りると小川のせせらぎと共に清涼な空気と見渡す限りの緑に覆われた。全ての杉の木は見事な巨樹であり、上空には青空が広がる不思議な空間。
「ここは、何というかスゴイな、神秘的というか……」
「まさに神様が住む場所って感じがしますね、僕、好きですねこういうの」
ショウゴとジュンタは言葉数が多くなっているのと反対に、女性陣は言葉少なく
「わぁー……」とか「……すごい」とか聞こえてくる。
階段を降りきると小川に橋が掛けられており、手すりの朱色と緑のコントラストが神性を語りかけているようにも感じられる。
その先の木と木の合間から五重塔が見え隠れする。
「あ! 見えました! 五重塔ってあれですね!」
「まってまって! あたしも行く!」
オレの手を放し、天南さんと晶が走って見に行ったので、オレはアゲハを背中におんぶしたままその後を追いかけた。
完全な木造建築でここまでの物が建てられるのかと見上げたそれは、永い時を経てなお、いや、永い時を経たからこそ見る者を圧倒するのだろう。
「言葉が出ませんね」
「ああ、そうだな」
ジュンタとショウゴがずっと上を見上げながらそう言い浸っている。
その後ろで天南さんと晶がスマホで写真を撮りまくっていたので、オレの背中から降りたアゲハが早速混ざりに行った。
ジュンタとショウゴの感動は、五重塔をポカーンと見上げる図で保存される事となる。
そこから頂上というか本殿までの階段の長さといったら、上り階段を二十分以上歩いてやっと頂上に着くくらいの段数があった。
でもそこは晶のベールが優秀で、常時回復により疲労なんて殆どないチート仕様だ。
「これ、皆でフルマラソンでも出たら面白いんじゃないか?」
「あっという間におかしいってバレるのでやめておいた方がいいですよ」
ジュンタに釘を刺されつつ、階段を上り切った。
頂上にはでかい本殿とお守りとか売っている建物。その他あちこちに建物があり、目ぼしい所を回ってお賽銭を入れて手を合わせて来た。
オレは、皆が永く幸せでありますように、アルが目覚めますようにとお願いをする。
復讐の成功をお願いするのは違うだろと。流石にそこは自重した。
「ありました! おみくじ!」
「マジ? みんなで引こ! んで一番ダメなの引いた人が後でなんか驕るってどーよ?」
アゲハの提案に、ジュンタは既に即戦意喪失。
「僕が引きそうな感しかしないんですが!?」
「あたし、こう見えてもくじ運いいのよ? 負けないんだから! アゲハ!」
何故アゲハと張り合う必要がある。何となくだけど、アゲハも相当に運いいぞ?
おみくじを買い、順に開いて見せる。内容は伏せて結果だけね。
「ふっふっふー! やはりここは私からですよね! ジャーン!」
晶のおみくじの結果は。
「中吉!」
「やった!! どうですか! 中々出ませんよ中吉!」
「アーちゃんも引き強そうだもんねー! やるじゃん!」
「なら、次は俺が行く。 どうだ!」
「小吉ー!」
まずまずの結果を見て胸を撫でおろすショウゴ。
「くっ、ショウゴ先輩もやりますね! 次は僕が!」
ジュンタがガサゴソとおみくじを開き皆に見せる。
「末吉ー!」
「んなっ!」
ガクっと負けた感で肩を落とすジュンタ。フラグ回収ってやつだな。
「ジュンタさん、勝負は最後まで分かりませんよ? がっかりするのはまだ早いです!」
勝者の余裕を見せる晶が腰の両脇に手を置き笑い仰け反る。
「よし、じゃ次はオレ……」
「あたしの番ね!」
有無を言わさず天南さんの番になった。
「開けるよー! じゃーん! ……どう?」
「だっ……」
「だ?」
「大吉ぃー!?」
まさかと言うか、自分で引きがいいと言うだけあって最強を引いた。
「あ、やっぱり? 何でかこういう引きはマジで強いんだよね! やった!」
「大吉とか都市伝説かと思っていましたが、まさか存在していたとは、くっ!」
晶がめっちゃ悔しがっているが、中吉でも十分すごいんだぞ!
「よし、次はオレ……」
「あーしの番だねっ!」
あ、はい。アゲハさんどうぞ。
「いきまーす! ほいっ! あ、大吉ーっ! さすがあーし!!」
「アゲハちゃん……。強いっ……」
「アゲハ。やるじゃない! ひとつ引き分けね!」
「大吉!? マジ!?」
「さあ、残るはリンだけだ、観念しろ」
「年貢の納め時です、リン君」
「オレがビリ引くの確定なの!? そんなはずは……ないっ!」
と勢いでおみくじを開き、自分で見る前に皆に見せる。
と、皆の肩がプルプル震え、爆笑しだした。
「え? 何? どゆこと!?」
「流石はリンね! なかなか引けないわよそれ?」
「リン先輩流石です! 笑い過ぎてお腹痛い!!」
「リンは見ていて飽きないな!」
「リン君、ありがとうございます!」
「ドンマイだし、リン」
嫌な予感がしておみくじをクルっと裏返して結果を見ると
「大凶!?」
オレが裏返った声で叫んだもんだから、また皆に爆笑された。
色々と話しながら本殿のある敷地から本来の入り口の方に向かって歩くとお土産屋が見えた。
「あ! あそこ! あそこ行こっ!」
「さちこ先輩、私も行きます!」
「待って、あーしもーっ!」
女性陣は足早にお土産屋の前に走っていった、というのも店先に甘酒と玉こんにゃくが売っていたからだ。
早くおいでと3人に手招きされ、甘酒と玉こんにゃくを罰ゲームの戦利品としてねだられた。
「俺は、晩飯が入らなくなるから甘酒だけで」
「僕は玉こんにゃくを貰ってもいいですか」
「「ごちそうさまでーす!」」
ま、美味しく食べてくれるならそれが一番だなと思い、オレも甘酒を頼んだ。
「羽黒神社は大方回ったんじゃないか?」
ショウゴがそう促すと晶がチッチッチッと言って指を振る。
「お兄ちゃん? 出羽三山っていうのはね、この羽黒神社の他に、湯殿山、月山、この3つの山で出羽の三山って言うんだよ? なら湯殿山と月山も行かなきゃダメじゃない?」
「確かに気になるわね!」
「アーちゃん詳しーっ!」
オレもいつかは全部回ってみたいよなと思う。
「でも、そろそろ宿に行って温泉も入りたい感じじゃないですか? 浴衣も着てみたいし」
ジュンタがナイスな意見を飛ばした。
「「浴衣!!」」
女性陣が反応し、今日のところは宿に戻る事になった。
見つからない様にお土産屋の裏に移動して、そこから飛んで宿まで戻ってきた。
さあ、次は温泉を楽しもうか!
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