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第八話『お近づきになりたいと思っていましたが……。』

 アンドロイドと自称した女の子がきてから2週間が経過した。

 結実(アンドロイド)は朝、夕方の食事を用意してもらうほかに家の家事全般をしている。

 そのほかにも3日に1度で結実自身の腕を変形させ、了助の腕に纏わせて体調管理のための身体計測をされている。血圧、血中の酸素濃度、疲労度などを測っているようで食事のメニューもそれに合わせて作られているそうだ。

 最初の2日間同じメニューだったのもなにかの意図があったようだが、了助には分からなかった。

 わからないといえば、色々な買い物をした後にとった、まるで服を脱ぐような動きは10日間続き今はなにもしていない。

 了助は疑問に思っていたが質問せずにただただ家のことを概ねやってくれている状況に感謝をしていた。


──(設定言語変更:English→日本語)────────


 主人に求められる女計画の第1プラン、失敗。

10日間に渡り了助さん(マスター)に服を脱ぐ仕草を『地表面からみた日の出と同じ速度』で行ったが了助さんの反応はなく、何をしているのだろうと言った表情をしていた。


即座に篭絡できるほどの情報を当機が持っていないことが判明。


 そのため、11日目から情報収集へと移行。了助さんが見ているアニメなどを見て彼がどんな恋愛観を持っているかを予測するため、有料のネット配信チャンネルを開き、アニメを1話ずつ履歴を遡り試聴を開始。


 収集データを解析して後日再度実行。


─────────────────────────


 了助が今シーズンのアニメを見ようと思い、ネット配信チャンネルを開くと見終わったアニメの履歴が先頭に現れる。

見返した記憶もないため、なぜだと疑問に思った。


「なあ、結実、あれ、俺いない時にアニメ見てる?」


了助は2週間、指示を出す時以外は話しかけないので、少々詰まりながら質問をした。


「はい、昼間、家事の合間に見ていました。」


ダメでしたか?と首を傾げる結実。


「ダメじゃないさ。」


そうかーアニメ見るのか〜。と意外そうに続ける。

 どんなアニメを見ているかをみるとラブコメ物を見ていた。男女2人が冬の寒空に出会い、一目惚れをした主人公が告白するが、はぐらかされた後の数年後に再び出会い、最終的には結婚してそのまま生活して行くアニメで、見ていて胸がキュンキュンするアニメだ。

 一緒に見るか?と誘うと結実はコクリと頷いた。


 日も暮れてきたので冷蔵庫にあったビールを1本と戸棚にあったポテチを取り出してアニメを再生させる。


 アニメを再生している間は特に話すこともなく無言で2、3話をみていた。


 区切りがいいところで夕飯の支度をするといい、立ち上がるアンドロイド。了助はふと手元をみる。ポテチと酒の中身は終わっていた。

 了助は元々見る予定だったアニメを再生した。


 2人は食事をたべおえると、再びラブコメアニメを見はじめる。了助はまた酒をとりに行き、飲みながらアニメを見ていた。最終話まで見終わると了助はいい感じに酒が回っておりフラフラと風呂場に向かった。


 シャワーを浴びて寝間着を着て出てくる。居間を覗くと結実は食器の片付けを終えて布団を敷いていた。台所で水を飲んだあとトイレに行く。

 もう寝るか。照明を消し、敷いてくれた布団に入って左に寝返りを打ち、スマホを見る。

 時刻は23時半をすぎる。


 了助がウトウトし始めた時、突然背中に圧迫感が発生する。そっと後ろを見ると結実が背中合わせに横になっていた。

 ふと思い浮かぶのはアニメの内容、婚約した男女が背中合わせに横になり、お互いに今後のことを語っていたシーン。


「どうしたんだ?」


「いえ、何もありません。」


 初日から結実は今の今まで寝ている様子がなかったので、了助は布団のことをすっかり頭から抜けていた。


「やっぱり寝るのか?布団が必要なら明日買いに行こう。」


「いいえ、必要ではないです。」


 なんなんだよと思いつつ背中に意識が向く。機械(アンドロイド)というので肌は冷たいモノだと思っていたが人肌ほどには暖かい。なにやら背中と背中の間に布のカタマリがあるのを感じる。ついその先を思い浮かべる。……ブラの金具かこれ。そう思ったら急に女性と同衾しているという感じがでてきて心臓の音が大きくなる。


「『やっぱり実感湧かないな、君と結婚なんて……///。』」


「まんまアニメのセリフじゃん、しかも男側のセリフだし。変にアニメの真似しても微妙だからな……。」


そう言いつつも心臓の鼓動がおおきく動き、やせ我慢のように思えてくる。

 いっそ後ろから抱きついて甘い言葉でもかけられたらいいのだが、そんな度胸もなければ相手からの反応がどんなものかわからないのが恐ろしい。いきなり胸でも貫かれたりしないだろうか、などが頭に()ぎる、そもそも甘い言葉なんて何を話すのかとも思った。

 話すこともなくなり何かをすることもないままそのまま目をつむり、体を落ち着かせようとしているうちに意識を暗闇に手放す了助。

 1台(ひとり)の機械はどのタイミングだろうか、寝返りをうつ。寝てしまった男の腰にそっと腕を回す。アニメのワンシーンに似たような場面があったと想起をする。


「これからもよろしくお願いします。」


夜は更けていき、朝へとむかう。

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