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第五話『彼女の衣類を買いに行くと思ったら……。』

 朝8時をすぎる頃、了助が起きると結実が朝食を作ってくれていた。メニューは同じく白米、ベーコンエッグ、味噌汁。見ると結実はちゃんと自分の分を用意して食べていた。

 食べ終わり、結実が食器を片付けたのを見計らい、結実を呼ぶ。


「聞きたいんだけど、性癖云々の時にロリからおばあちゃんまでって言ってたけどもしかして体を変えられたりするの?」


 昨日の風呂上がりに髪が伸びていたように見えたので余計に気になった。


「はい、体の容姿を変化させることは可能です。」


 そう言いながら右腕を赤子の腕のように小さくムチムチにしてみたり通常の右腕から老婆のような細い腕にしてみたりする結実。正直不気味である。


「それなら、髪と肌の色を日本人に近い色にしてくれ。流石に出先で髪も肌も真っ白だと目立ちすぎるから。」


 

 了助がそういうと結実は了解しました。といい、容姿変更と唱えた。すると髪の根元から黒く染まり始め、肌は胴体を中心にス〜ッと肌色に変化した。


「おお、すげぇ。アルビノ美人から日本美人になった。」


マジマジと変化した彼女を見る。顔の形の変更はしなかったが、肌と髪の色合いが完全に日本人になっていた。結実は日本人に紛れても、ほとんどの人は美人であること以外は気にしないであろうと思えた。


「他に何かありますか?」


「あー、後は外や他人がいるところで機械であることをバレないようにすることと、俺をマスターと呼ぶのはやめてくれ。」


流石に外でマスターなんて呼ばれたらなんのプレイだと思われる。すると結実は質問をする。


「ではなんとお呼びすればよろしいですか?」


普通に了助でいいよ。と返す。


「わかりました、了助さん。」


 そうそんな感じで。とオッケーを出す。

……名前で呼ばれるとドキドキするな。と思う了助であった。

 さて、行くか。と玄関先まできたところでふと思った。


「そう言えば靴とかはあるの?」


はい、あります。といい着ているワンピースの中から白のスニーカーが出てくる。どこにしまってあったの?ときくと腹部を指す。

 もうなんでもありだなと思う了助であった。

 

 了助が住む地域は地方で、周りは車を持っているが職場も買い物も自転車か徒歩ですむので免許はとっているが車は持っていなかった。そのため徒歩で駅まで歩いて行ったあとに電車に乗って最寄り駅までいく。目的地はデパート。

 結実はすこし左斜め後ろをついてくる。


炎天下のなか数百メートルを歩いていく、暑い。


駅につき、結実の分の切符を買い渡す。改札を通り、時計と時刻表を交互にみていると電車が来た、ツイている。

 席は空いていたので結実を座らせつつ自分も座る。

特に何もなく降車駅に着き、再びデパートまで歩いていく。


「どちらに向かうのでしょうか?」


そう結実がいう。今更かよ。と思ったが、そう言えばちゃんと伝えていなかった。


「デパートでお前の必要なものとか買うんだよ、もう少しでつくから。」


 必要なものというと?と聞かれるので答える。


「不自然に思われない程度の種類の服、財布とかの小物、バック、女の人はなんかみんな肩掛けバックとかを持ってるイメージあるからな。あとはデパートのフードコートとかでベーコンエッグと味噌汁以外にも色々と食べ物をおぼえてくれ。」


他にも必要なものがあれば教えてな、と最後に付け足した。結実は了解しました。と言う。


「しかし、私は料理がベーコンエッグと味噌汁しか作れないのではなく、食材が残っていたのと、マ、了助さんがおいしいと言ってくださったので今まで作っていました。」


 結実からすると初っ端から好印象を勝ち取れた料理だった上、それを出せば喜んでもらえると思考したためだった。


「んー喜ばせてくれようとしていたのかもしれないけど、3食連続で同じ料理は流石にきついな。次はできるだけ毎食違うものを作ってくれ。」


と自分の不満を伝えた。例の如く了解しましたと返す結実。

こうゆうところがコンピュータじみてるなと思った。


よしついたぞ。と目の前の建物を指差し、結実を誘導して中へ入る。


 外の炎天下から一変してクーラーの効いた室内の冷風が2人を迎える。あー涼しい。とこぼす了助。


 まずはどこに行くかと各フロアの案内図を2人して見ていると、私はここに行きたいです。と結実は女性衣類店のフロアを指差した。

了解と、今度は結実が先導を始める。

 エスカレーターをつかい、衣類店がある階層に着き、歩き出していく。

 真っ直ぐに衣類店へ歩かず少しズレた方向に歩き始める結実。違和感を覚えつつ、了助はついていく。

 なんせ初めての意思表示だったので、どんな服を選ぶのか?カップル定番の『この服とこの服ならどちらがいいですか?』などのやりとりもするのだろうか?と興味が出て来ていた。

 着きました。といわれ、妄想の世界から戻り、前を注視すると目の前にあったのはランジェリーショップ(女性の下着の店)だった。


「へ?」


 女性用衣服店に向かっていたと思われていたがその実隣のランジェリーショップに誘導されていた。

 了助はスゥ〜と血の気が引いた気がしつつ、財布からいくらかのお(さつ)を取り出し、結実に手渡す。


「そうかここか、ならこの金で買ってくるといい、俺は近くの…そこのベンチで座って待っているから。」


 周りを見渡して見つけた通路の脇に設置されたベンチを指差して歩き出そうとする了助を肩を掴んで止める結実。なぜですか?と首を傾げながら聞く。

 それに抗おうとする了助は急いでこの場から離れようとするが離れず、少しずつ少しずつ肩の掴まれている力が強くなり始め、痛くなってきたので諦めて止まる了助。


「なぜですか?」


改めて聞く結実。


「なぜかって?男がいちゃまずい空間だろ!?あそこは!」


と返答する了助。


 大丈夫です。そういいつつ、了助の腕を少し強めに抱きしめた結実はランジェリーショップの中に了助も連れて入って行った。

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