小話『主人の居ぬまに。』
シャワーでも浴びるかーと脱衣所で服を脱ぎ出す。
「お背中をお流ししましょうか?」
そんな声が脱衣所の扉の外から聞こえてくる。
「いやいい、とりあえず待っててくれ。」
ちゃっちゃと浴びてくるかーと浴室の中にはいっていく。
居間の真ん中で座った結実がチョーカーを出していた。
ちゃぶ台の上にはボールペン、朱肉が置かれていた。
「過去観測開始、アンカー検索、検索完了、23年前7月。」
転送開始。結実の手の中にあった葉書やいくつかの封筒が消える。
「過去再観測、書類の手続き完了。」
「各関係施設、ならびに学士施設等、ハッキングデータ追加完了。」
「免許証、保険証、その他出力。作成完了。」
作り出したそれらの書類をワンピースの中にいれた。
程なく体から何かが閉まる音などがした。
「容姿変更、20代前半。」
結実の身体がわずかに変化する。
「ういー風呂出たでー。」
タンクトップと半ズボン姿で了助が居間に入る。
ん?と了助は少し違和感を感じた。
「結実、お前少し変わった?なんか髪とか伸びてないか?」
「気のせいです。」
そうか気のせいかと思い直す。
「明日も休みで少し出かけるぞ。」
「はい。」
布団を敷きましたので、こちらでお眠りください。と了助は言われたので、布団に入る。
寝てばっかだなコイツ