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第十六話『なんかいいものが拾えたと思ったら……。』

 了助がアンドロイドを背負って歩き始めてから2日たった。



─────


「あー村のためにとはいえ、この時代にデケェトラックで物資を運ばにゃならないなんてな、だっりぃなぁ、都会は何でもかんでも転送転送ってできるからいいよなぁ。」


羨ましい、そう声が漏れる。

資金に余裕のない俺の村では特産品を大量に作って売り、その金を元手に物資を手に入れることが存続の方法だ。

大型トラックを荒野の真ん中を走らせていると本来見ることがない人影が見えた。


ん、誰だあれ?とトラックの窓から顔を出して眺める。

見たところ、若そうな兄ちゃんが何か白いモノを背負ってフラフラと歩いている。


近づいてトラックのクラクションを長く鳴らす。


歩いている兄ちゃんはこちらを確認すると同時にバタリと倒れる。


「おいおい、めんどくせえなぁ、金になりそうなもんだけ拾ってトンズラこくか?」


トラックを停めて降り、間抜けな兄ちゃんの近くへ寄る。

そこには白いベッピンだけど顔とか色々削れたロボットと男。


「ん?コイツの顔、アイツにそっくりだ……。親戚かな?ならアイツから金をふんだくれるかな?」


俺はロボットを後ろのコンテナに、知人に似た男を助手席に乗せて村へ走り出した。


────────────


医者に行き倒れしてた兄ちゃん拾ったと見せにいき、治療をしてくれるように頼んだ。

聴いたところ水分不足と過剰な疲労で限界突破したらしい。

すぐに点滴を投与されていた。

俺はというと顔が似ている知人の付き人に連絡を入れる。

しばらくしたらこちらの村まで来るとのことなので、先に自分の仕事へ戻る。

俺は村の物資を配給所に運びに行った。


帰ってくると診療所に何人か人がいた。


「おいジャメル!何でよそ者なんか連れてくるんだ‼︎」


見てみると友人のウマルと村長の娘のサラだった。


「いいじゃねぇか別に、たまたま帰ってくる時に見つけて拾ってきたんだよ。ソイツ誰かに似てる気がしないか?」


俺は話題を変えた。

うちの村はタダでさえ物資不足なのによそ者を連れてきて貴重な医療品や起きた後の食糧を食べられることを考えるとウマルの反応もわかる。


「……数年前に隣の村へ降ってきた男か?それがどうした?」


「アイツ、今、都会で金儲してるらしいからコイツを治療したり介抱したとしたら結構な額ふんだくれると思うんだ。」


どうだ?って質問をする。


「親戚みたいだからってか?わからないじゃないか!ただ肌が黄色いって特徴しかわからないだろ!」


「俺は前に隣の村で見たんだよ!アレはそっくりだって下手したら兄弟はあるぞ!こんだけそっくりならな‼︎」


俺もウマルもテンションが上がって殴り合いが始まるタイミングでサラが俺らの頭に拳を落とす。


「いい加減にしなさい!拾ってきたものはもうしょうがないし、治療費を請求できなければここで働かせればいいんだから、今こんな喧嘩することないでしょ!?ジャメルも!ウチの村は裕福じゃないんだからそんな軽率に他所の人間を拾ってくるんじゃないわよ‼︎」


「サラ……。」


「……ごめん。」


今の騒ぎで拾ってきた兄ちゃんが目が覚めたようだ。


********(ここは…どこだ)?」


なんだ、なんていったんだ?


「おい、お前、何で荒野でぶっ倒れていたんだ?」


アマルが話しかける。


*****(な、なんだ)?」


どうやら言葉は通じないようだ。


「言葉がわからないようだぞ、どうするんだ?」


ウマルはいつでも殴りかかってもいいような雰囲気だ。


「どいて。」


サラが俺ら2人を押し除けて兄ちゃんと話始める。


「言葉が通じないんじゃ働きようもないんじゃないか?」


「まあ、まて、サラは村の外で生活してたこともあったし、もしかしたらがあるだろ?」


そうこうしているとサラがこちらを振り返り話し出す。


「何とか意思疎通ができる言葉があったわ。でも、だいぶ古臭い文法で慣れてない話し方をしてる。」


俺ら2人はサラの博識っぷりに喜んだ。


「それで、どこからきたかわかったか?」


「それが…わからないことを言っている。」


「は?自分がどこからきたかわからないのか?」


サラはいいえ、と否定した。


「なんか、JAPANって言ってるけど、どこだかわかるかしら?」


3人して聞き覚えがない国名。


「サラが知らないんなら俺もジャメルも知らないよ。」


ウマルと同意見なので頷いとく俺。


「とにかく、もう夜になるから、今日はここでみんな帰りましょ?彼にはこの診療所で寝てて貰えばとりあえず大丈夫だと思うから。」


あ、そういえばとサラは続けて話す。


「彼と一緒にいたロボットはどこにいるの?彼が気にしていたみたいなんだけど。」


あぁ。と声が漏れる。


「それならアイツのベッドの下に入れた。あんな重いのもって倒れるまで歩いていたわけだから一緒にしてやりたかったからな。」


そう。とサラは一言いい、診療所を後にする。


俺らも顔を合わせた後診療所を後にして家へ帰る。


今日の飯は何だろうか。


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