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第十三話『私の主人に会いたいと思ったら……。』

 動き出す。

現在地、某国、地下研究施設。

目の前には自分の体専用の保管カプセルの内壁。


─────自己診断開始

全機能オールクリア、ハッキング、システム改竄、電子ウイルスや発信機等、検知なし。

記憶領域のみ漁られた痕跡あり─────。


物理的に手足の拘束を破壊、カプセル内壁を蹴り上げ起き上がる。

カプセルの外にいた研究員数名が慌てて走り去る。

欲しいものは2つ。

私の主人の身柄、研究所内生物資料の保管庫にある小早川 結実(わたしのオリジナル)氏の肉体情報物質。


システムや警報器は一時的に作動しないように細工をした。

その際にこの施設のマップと設備情報を入手したが、施設外から施設内、施設内から施設内へショートワープはできないように設定されていることに気がつく。

徒歩で行くしかない。

私は部屋を後にする。


廊下を走っていると撃退型ドローンが現れる、学校でもないのに走ってはいけないらしい。

私の停止信号を発信してた。

帰ってきた時はそれを受けて緊急停止状態になったが、今は受け付けないように自己改造したためなんの変化もない。


ドローンはしばらく走っている私を追従しながら停止信号を送り続けていたが、無意味であることを観測者に悟られたらしく武装を開始した。

的確にわたしの足に標準を合わせてくるが、左右に動き、フェイントを混ぜながら走っている。

階段に差し掛かった。

コの字型に作られた階段の隙間めがけてジャンプして下階へむかう。

ドローンは律儀に追従してきた。


飛び降りる際に肩甲骨に銃弾が4発当たる。

体内の金属を盛り上げて弾を排出する。


狙いは排熱に使用する隙間や駆動する関節部、稼働エネルギーを管理している胸部中心の基盤であろうことが予想される。

目当ての階の手摺りを握り、乗り越えるように降り立つ。

手摺りは壊れ、もっと下降しようとしていたドローンが、手摺りに当たり落下していく。


流石に見つかるとまずいので速度を上げて走る。

『-G034』の標識を見つけたので立ち止まり部屋へ入る。

認証コードを偽装して扉を開く。

そこにはさまざまな生物資料がホルマリン漬けになっていたり、希少生物の冷凍保存がされていた。

部屋の奥へと歩いていく。


「見つけた。」


700mm×500mm×1000mmの冷保存の金庫が目の前に現れた。

電子ロックを解除し、『"Reproduction"The uterus-An ovary』と書かれた保存容器(れいとうカプセル)を取り出し体内の4次元保存域へ入れる。

高らかに警報器が鳴った。

丁寧に金庫を閉め、冷却機能が稼働しているか確認して走り出す。


部屋を後にして走り出すと、今度は複数台のドローンが現れ背後から発砲してくる。

流石にうざいので小型EMP装置を生成し優しく転がした。

ドローンたちがなんだなんだと群がった後、EMPが作動。直径2mの範囲での電子機器が止まる。

浮遊物3つは静かに墜落した。


階段を駆け下りていき、数段下の階層を降りる。

最下層からみて2階上の階層へたどり着いた。

『Project:Revive(テンサイ) the() genius(もういちど)』の報告書から地下18階の14番の部屋に私の主人が幽閉されているという。


くだんの部屋に入ると私の主人は私が入っていたようなカプセルの中に電極を付けられた状態で寝かせられていた。

私はカプセルをUSBケーブルで自分と繋げて稼働しているプログラムを改変する。

そしてアタッチメントを作成して取り付けて4次元空間へ入れる。

カプセルが手の中に収まって消えると扉が開く、正面には啓介氏と武装した兵士がが4人立っていた。


「お前はせっかく私に届けてくれた貴重な実験材料を奪うのか?」


なあ機械。そう目の前の老人は苦々しく言う。


「元々連れてくる必要がない人を私が勝手に連れてきてしまっただけです。貴方も元々はここに連れてくるつもりも解体して中身まで調べ尽くすつもりなんてなかったのですよね?」


フン!と目の前の老人が鼻を鳴らす。


「元々人体を転送することを想定した運用はできないと思っていたからな。でなければお前にDNAなんて採取させるようなこともさせるつもりはなかった。」


しかしお前が土壇場で転送を成功させてしまったからな。とか細く呟く。


「さあ、返せ。わたしには兄が必要なんだ。」


老人が合図をすると兵士たちが私に向かってアサルトライフルで発砲を開始する。


私は両腕からブレードを出し、無数に飛んでくる弾を弾き返す。

金属音が木霊して明後日の方向へ落ちていく。


「驚いたな、その口径の球は防ぎようがないと思っていたがな、次はどうかな……。」


今も銃弾を撃ち続ける兵士の奥で独り言を言う老人を見て、私は嫌な予感を感じた。


咄嗟に右に避けると左の視界が消え、左の重さがなくなっていた。

右手で左半身を触ろうとすると

そこには何もなかった。

顔と左側の胴体がぱっくり穴が空いでいるようだった。


「あながち勘というのは嘘ではないようだな。こっちはお前の記憶データが入ったチョーカーさえ無事ならいいんだ。さあ、消えてなくなれ。」


私は大きく左へ転がる、今度は避け切れたようだった。

立ちあがろうとするが兵士に蹴飛ばされ、銃を突きつけられた。


静かに目を閉じる、これで終わりたくない。


私はそう思いつつ、自分の保持するエネルギーの大半を使用して追加アタッチメントとプログラムと高速作成した───────。

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