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第十一話『帰宅しようと思ったら……。』

「あああああ‼︎疲れた!」

そう言いながら帰宅した了助は居間に横になる。

数時間散策した2人は20時頃に帰宅した。

了助はスマホを見る。

充電は1%、ただとんでもない疲労感ともうひとつ感じているのはどことない爽快感であった。


「確かに、外歩いてみるのも悪くないんだな。どことなく閉塞的だったメンタルがなんかスカッとしてる。」


その声に反応して弁当箱を片付け始めた結実も話し出す。


「それならよかったです。また定期的に外出をして軽く運動をしましょう。了助さんに健康でいてもらうのが私としても嬉しいです。」


結実がふりむくと完全に眠ってしまった了助がそこにいた。

結実は水道を止め、手を拭き、了助の元に行くとスマホを充電ケーブルに差す。画面には0%の表示が出ていた。

布団を近くに静かに敷き、軽々と了助を持ち上げて布団と枕に身体を置き、掛け布団を掛けたあと、居間の照明を落とした。


─────────────────────



─────なぁ。

私の目の前の老人が書物に囲まれた状態でキーボードを高速で打ち込みつつ話しかける。


「キャサリン、初日から約半年間の観察記録、対象からの記憶を読み取った結果報告してくれるのはいいんだが、もうかれこれ1時間ほど続いてる。このまま報告を続けるならば約6時間もかかってしまう。」


私も暇ではない。

老人、木淵啓介は前の私に目もくれずディスプレイに夢中だ。


「失礼、このプロジェクトは最重要事項だと思っていたので一刻も早く報告したほうがいいとの行動だったんです。」


「……まあいい、書面に起こしているのであれば置いて行ってくれ。1100日もの記録の閲覧とその整理ご苦労だった。」


私は言われた通りに分厚くまとめたファイルを3冊分を資料や報告書で山積みになったデスクに置き退室した。

疲れた体をひきづりながら事前にもらった約1ヶ月の休みをどう使うか考えながらロッカー室にむかった。


────────────────────────────────



小娘め、やっと帰ったか。と思い私はファイルから紙面を全て取り出し、上部をクリップで止める。


パラパラと紙をコマ送りにして内容を読む。


「ここからか……200……250……300……365日、次はっと……。」


2冊目、紙を取り出しパラパラと読み始めるとところどころで興味深い記述が書かれていた。


「ふぅむ……やはり自我が芽生えているようだ。私たちがプログラミングした対人システムは2年目では完全に動いておらんようだな。」


秋の山へのデートからか?提案を迫るようなことはしないと思うんだが……。そう訝しんだ。

3冊目。パラパラと読み始める────。

手を繋いだ、抱きしめられて固まった、キスの場面で頭ポンで終わった……異世界の若い兄は中々に奥手でウブなのだとしみじみ感じされられる。


「まあ、プロジェクトの成果としては上々だろう。あとは私本人が直接話して終了とするか。」


老人は立ち上がり部屋を後にした。


──────────────────────


人形が動き出す。

それは工学的なアプローチで生物代謝のようなエネルギー運用を行えるというコンセプトで造られたテスト機。


人類史上超最高効率で稼動する。


それは食事を摂るだけで炭水化物、タンパク質、油質を分解して極小の燃焼を繰り返していく。

それはやがて大きな電力や火力にもなる。

材料があればさまざまなものを作り出す製品工場のような機構も備えているため、使用者が望めば最高の兵器にも、最高な快楽を与えてくれる最高な娼婦にもなれる。

難点なのが機体(ハード)は自在に変化していくがAI(ソフト)はどこまでもいっても入力をしたこと以上のことはできない。高性能のAIもインプットを繰り返した結果に起きる産物(けっか)でしかなく人の機微を敏感に感じ取るわけではない。

メンタルヘルスなどの人に寄り添うことはできないというわけではないが効果が薄いのが現状だった。


そのため、とある人物の脳内の外的特徴を精密にスキャンし、()()を元にその人物の思考パターンをシミュレーションしてAIに人格を植え付けようとした。


しかし─────。


「我々が作り出したシステムでも結局お粗末な結果でしかなく、人に1対1で対応させれば最適化されていくものかとお前たちを送り出した。

なぜお前は人格シミュレーションシステムを停止して今なおそこまで人に近い感情表現ができている?

そして他に送り出した姉妹機たちは全て3年以内に破損して機能停止したんだ?」


「なぜでしょうね?」


平然を装っていたが目の前の機械は困惑をしていた。

()()()()()自分の知らぬ地でひっそりと壊れたと聞き、彼女達を思い動揺を隠さずにいた。


「では話を続けるとしようか───。」

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