第6話
最後にもう一度シャワーで流されると、今度はリンスというものをつけられた。
「ん?お前の髪って地毛で白なのか?」
「ううん、前に拾った食べ物に薬品が混ぜられていたみたいでそれ食べたら髪の毛が白くなったの。それからもう戻らなくなっちゃった」
「そうだったのか。戻すか?」
「うーん。この色気に入ってるし良いかな」
「そうか。じゃあ流すからもう1回目閉じろ~」
再び頭からお湯をかけられる。
髪が長いせいで流すのも大変だと思うが、何せ伸ばした方が高く売れるんだから許してほしい。
「はい、終わり」
「えー、もっとやってよ」
「毎日入るんだから今日はもういいだろ。ほら、まだ体も洗わないといけないんだから」
「体はどうやって洗うの?」
「タオルにボディーソープをつけて洗うんだ」
言われた通りに体を洗っていく。
途中で背中が洗いづらいことに気が付き、後ろを振り返る。
しかしルタははこちらを見ないようにしながら壁に寄りかかっており、私の視線に気づいてくれない。
「ルタ」
「どうした」
「背中洗えないから洗ってほしいんだけれど」
「……は?」
「だから、背中をルタに洗ってほしいの」
「……あのなぁ、これはお前が幼いから許されていることだということをしっかり覚えておけよ」
「うん?分かった」
「絶対分かってないだろ。まぁいいけどさ」
そう言いながらルタは私の背中に近づき、石鹸のついたタオルで優しく背中を擦り始めた。
その力加減がとても丁度良くて、思わず眠くなってきてしまう。
そんな私に気づいたのかルタの声が後ろからかかってきた。
「おい、寝るなよ」
「うん…頑張る」
しばらく無言のままルタが背中を流す音だけが響いていたが、やがて彼の手が止まり、終わったぞと声を掛けられた。
「じゃあ体流すからじっとしてろよ」
ルタが再びお湯を出して体に付いている泡を流してくれる。
少ししてお湯が止められ、ルタは仕切りの向こうに行ってしまう。
大人しく待っていれば大きなタオルを持ってきてくれた。
「体を拭いたらそこに置いてある服に着替えてくれ。前の服はあまりにも汚れているから捨ててもいいか?」
「新しい服あるの?」
「…貴族の家から貰ってきた」
こちらを見ずにルタに思わず笑ってしまう。
貴族から盗んでくるなんて大胆すぎる。
けれど今の状況では仕方のないことだ。