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第5話


「おい、起きろ」


体を揺すられて目が覚める。

見上げるとルタが立っていた。


「おかえりなさい」

「ん、ただいま。悪いな起こして」

「ううん、気にしないで。今帰って来たの?」

「少し前にな。さっきまで狩ってきた動物の血抜きしてたんだ」


そう言いながらルタは肩に掛けていた大きな袋の中から何かを取り出した。


「ほれ、結構いい肉だろ」

「大きなお肉だね。これ本当に良いの?」

「そのために獲ってきてやったんだから食えよ。まぁ風呂に入ってからだけれどな」

「分かった。じゃあお風呂入ろ?」


椅子から降りてお風呂場に向かう。

しかし湯船に張られているお湯が冷めてしまっている様子はなかった。


「あれ、お湯が冷めてない?」

「水になったら意味がないから温度が変わらないように術をかけておいたんだ」

「すごく便利だね」

「でも生物を食わなかったらこれもできないから一概に便利とは言えないな。ほら、こんなことは良いからさっさと服脱げ」


ルタに促されて服を脱ぐ。

擦り傷や切り傷の多い体を見てルタは顔を顰めた。


「それ、痛くないのか」

「もう古いものだから大丈夫だよ」

「…俺が見たくないから治させてくれ」


ルタが指を鳴らすと淡い光が体を包み、あっという間に傷が消えた。

心なしか、常時していた頭痛もすっかり無くなっていた。


「ありがとう!すごいね!」

「俺が気になっただけだからお前は気にするな。服着てないと冷えるだろうから早く湯舟に浸かれ」

「ルタは脱がないの?」

「俺は後で入るからまずはお前だ」

「一緒に入った方が楽しいと思うよ?それに1人で入るより2人の方がずっと暖かいよ」

「自分で頭と体を洗えるようになってからそういうのは言ってくれ」


ルタは呆れたような目をしながら溜息を吐いて袖を捲った。

私は初めて入る湯舟に少し緊張していたが、入ったら体が温かくて思わず声が出た。


「ルタ、これすごいよ!温かくて気持ちいい!」

「分かったから振り返るな。目に泡入るぞ」


そう言われて慌てて前を向いて目をきつく閉じる。

ルタの大きな手が頭を撫でるように動くたびに、今まで感じたことない心地良さが襲ってくる。


「ルタの手、大きいね。それに気持ちいい」

「そりゃ良かった」

「この液体って何?」

「これはシャンプーって言うんだ。狩りが終わって帰ったらお前が寝ていたから、服とかシャンプーとか必要な物を遠くの貴族の家から拝借してきた」

「盗んだの?」

「…ほら、頭流すから口閉じろよ~」


誤魔化す様に言ってシャワーを出し、頭に付いたシャンプーを流し始めるルタ。

私は言われた通りに口を閉じたまま話さないようにする。

するとすぐに髪についた泡が流れ落ちていき、同時に汚れや埃が取れていくのを感じる。



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