第26話
ようやく動き出したのはお昼ご飯のタイミングだった。
お腹が空いたと訴えれば、ルタは欠伸をしてから目を開けた。
「んじゃ飯にするか。先に行ってカーテン閉めてきてくれないか?」
「分かった!」
どうやら家を改築したときにカーテンを付けたらしく、家にあるすべての窓にカーテンが取り付けられていた。
家中のカーテンを閉め終えてから2階にいるルタに声をかける。
「ルター!カーテン全部閉めたよ!!」
大声で叫べば、ゆっくりとルタが下りてきた。
人間と昼夜が逆転しているのか眠そうに目を擦っている。
「今日は料理するところ隣で見てていい?」
「別にいいけど急にどうした」
「興味あるの。あと、もしも家に私しかいないときにお腹がすいたら困ると思って」
そう言いながらキッチンに立つルタに近づく。
並べられている食材だけでは何を作るか分からない。
「危ないからあんまり近づかないようにな」
「うん」
ルタは術を駆使してどんどん調理を進める。
凄さは分かるが、術を使われては覚えても真似ることができない。
「ほら出来たぞ」
「…何も分からなかった」
「俺が術なしで作れるようになってから覚えてくれ。それまでは腹が減ったら俺を呼べばいいだろ」
「そうかもしれないけどさ」
完成された料理は焼かれたお肉とサラダと昨日の残りのスープというバランスの良さそうなものだった。
テーブルに運び、手を合わせてからご飯を食べ始める。
「美味しい!」
「そりゃ良かった」
ルタは向かいに座りながらまた欠伸をしている。
「眠たいの?」
「吸血鬼は本来夜行性なんだよ。俺の場合、数日に1回寝れば動けるからあんまり関係ないけどな。その代わり寝る時はめちゃくちゃ寝る」
「吸血鬼って大変だね」
「まぁな。その代わり術が使えたり、弱点さえ見つからなければほぼ無敵だったりするからな」
話しながら食べ進めていくにも関わらず、お腹が空いていたようであっという間に平らげてしまった。
「ごちそうさま。片付けは私がやるよ」
「じゃあ頼むわ。流しに置いておいてくれればいいから」
食器をまとめて流し台に持っていき、置いておく。
振り返ればルタはもう限界なのか、椅子に座りながらこくりこくり、と舟を漕いでいた。
「ルタ、ここで寝たら体痛めちゃうよ」
「んー…」
「ベッド行こうよ」
「お前はどうすんだ」
椅子から立ち上がり2階に向かうルタの後を追う。
「一緒に寝る」
「暇じゃないか?」
「今日はゆっくりする日だからいいの」
先にベッドに入ったルタの隣に入り込む。
すぐに腕枕をされ、そのまま抱き寄せられて眠りについた。
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