第18話
取りやすい位置にある絵本に手を伸ばす。
表紙は綺麗なお城の絵だった。
ページを捲ると、最初のページには主人公らしき女の子が描かれていた。
その人物は笑顔を浮かべており、明るい印象を受けた。
次のページを捲る。
すると主人公は暗い表情をしており、何か悲しいことがあったことがうかがえた。
さらに次のページを捲る。
今度は主人公が泣いている場面だった。
なぜ泣いているのかは描かれていないが、きっと悪いことがあって悲しくて泣いてしまったのだろう。
ページを何枚も捲ると次第にその表情は明るくなり、最後のページは男の子と手を繋いだ絵で終わっていた。
何となくの流れは分かるものの、話が何も分からない。
でも面白そうなので他に気になった数冊と共にルタの所に持っていくことにした。
「選んだよ」
「おう、見せてみな」
そう言うとルタは私から本を受け取り、パラパラと流し読みする。
「……お前これが気に入ったのか?」
「絵しか分からないけれど何となくそれがいい」
「まぁ、お前が気になったならこれにするか」
ルタは私が持ってきた本に彼自身が見ていたらしい本を数冊重ねた。
それらはどれも私の選んだ本の半分ほどの大きさしかないのに、何倍も分厚かった。
「ルタはどんな本を買ったの?」
「内緒」
「えー!いいじゃん、教えてよ!」
「中身を知りたかったら文字を読めるように努力して自分で読め」
煽るようにそう言われると悔しくなる。
文字を読めるようになってルタに褒められたい気持ちが大きくなる。
「他に気になる本はあるか?まぁ、無理して買う必要はないけどな」
「うん、それで十分」
「そうか。じゃあ会計行ってくるな」
ルタは奥にある会計に向かったためお店の外で大人しく待っておく。
お店を出ればまだ日は高く、人通りも多かった。
しばらく待つとお店の中からルタが出てきた。
「待たせたな」
「ううん。会計してきてくれてありがとう」
「どういたしまして。ほら、行くぞ」
そう言ってまた手を差し出してくれたので、それを握る。
そのまま2人で並んで歩き出す。