第9話
「おはよう、よく眠れたか?」
「……おはよう」
次の日、朝目が覚めるとルタが私の覗き込んでいた。
どうやら約束通り起こしてくれたらしい。
「朝飯食べるか?」
「ううん、お腹空いてない」
「まぁ、食事の習慣は徐々につけていけばいいよな」
ハンモックから降りると早速何かを渡される。
「じゃあ起きたことだしこれに着替えてくれ」
「1人じゃ無理だから手伝って」
「……分かった」
いずれ自分でも着ることができるようにならなくては、と思いつつも分からない部分が多すぎるからまだ1人では厳しいのだ。
「こんな感じかな」
「鏡見せて!」
昨日と同じように鏡を見せられて映ったのは、白と青を基調とした可愛らしいドレスを着た自分だった。
今までこんな綺麗なものを身に着けたことが無くて、思わず見惚れてしまう。
「おー、思ったより似合ってるな」
「本当!?」
「ああ」
「やったぁ!」
嬉しくなってその場でくるりと回ってみる。
スカートがふわりと揺れた。
その感覚が楽しくて何度も回ってしまう。
「おい、そんなに回ると、」
「ぅわ!」
「ほら言わんこっちゃない」
ルタが抱き留めてくれたおかげで転ばずに済んだが、少々目が回っている。
そしてなぜかルタは何も言わずに私のことを持ち上げた。
「え、なに?」
「…軽いな」
「そう?ご飯あんまり食べられなかったからかも」
「じゃあこれからは食べるようにしような。少し肉をつけないと服がずり落ちてくるぞ」
降ろしてもらってから意識すると、たしかに背丈はあっていても服が体のラインに合っていない。
「折角選んでくれたのに……ごめんなさい」
「別に謝ることじゃないだろ。これから健康的になればいい」
「…うん」