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2話:城ヶ崎海岸にて――朱里視点――
「またきっと、あえるよね。だいじょうぶ。いつでもわたしは・・・、あかりは、ももかのそばにいるよ。」
海岸には、穏やかな風が吹いていた。
車椅子に乗って外に出た朱里は、空気をいっぱいに吸い込む。
潮風を、水面のきらきらした光を身体中で感じる。
ふと思って、車椅子を降りて。
桃花の走っていった水際のほうで、朱里は、叫んだ。
「ももか!ここまで、かけっこ!」
その声に桃花は振り返り、ようい、どん!の、ようい、の姿勢をとったあと、走り出した。
風を切って走るその姿が、まぶしくて、目を細める。
そうして、懐に飛び込んできた桃花を、ぎゅっっと、抱きしめた。
―――――――――そのじかんはまるで、スローモーションのように。
思わず朱里は、呟いていた。
「またきっと、あえるよね。だいじょうぶ。いつでもわたしは・・・、あかりは、ももかのそばにいるよ。」
そのとき。
朱里は、桃花のかすかな
「うん。」
を、聴いた・・・・・・気がした。