表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桃花へ  作者: 海風澪
1/3

1話:発端

コンコン。

病室のドアをノックする音。

「はぁい。」


この時間って・・・。


朱里(あかり)は机上の時計に目をやる。

3時20分。

あ、桃花(ももか)とお母さんだね。



「おねえちゃん!」


やっぱり。


「あ、ももちゃん。元気してた?」

「うん!」

「朱里、大丈夫?」

「うん。このごろ調子いいんだ!」


でもほんとは、あんまり病状が良くないことをお母さんは知ってる。

でも、桃花には心配させたくないから。


「ねぇねぇ。」

ベットの上の朱里に桃花は上目遣いに視線を投げて、そして笑う。


「うみにいこうよ、おねえちゃん!」


「……海?」

「うん。だってほら、そこ。まえにいこうっていってたよね。」


まえ?

そうして朱里は思考を巡らせる。

まえ・・・。この前桃花が来たのは、たしか9月・・・いや8月・・・。


「…あぁ。」


ようやく合点がいった朱里に、桃花の嬉しそうな顔と、母親のあわてた顔が飛び込んでくる。


「だめよももちゃん。おねえちゃん風邪ひいちゃうから。」

「えーっ。」


「いいよお母さん。そんなに寒くないし。看護士さんに許可取ってくれば。」


「そーぉ?」


だいじょうぶだってば、と付け加えて、上着を羽織る。

じゃあ取ってくるね、といって駆けだした母親を見やって、桃花がベットの上に登ろうとしてるのを助ける。

ももちゃんひさしぶりだね、という朱里の言葉をきっかけに、桃花のおしゃべりタイムが始まる。


あのね、ももちゃんね・・・。


そんなお話は、母親が戻ってくるまで続いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ