表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nadia〜スターライトメモリー〜  作者: しふぞー
義勇に躍るマリオネット 編
9/107

星幽

 崩壊点(コラプサー)が生み出す非生命の敵性体「星幽(アストラル)」は崩壊点(コラプサー)崩壊点(コラプサー)たる所以である。

 特徴の一つとしてその存在の維持は生命活動によるものではなく例えるなら充電式の電池で動く電化製品である。何かしらの崩壊が発生することで充電し、崩壊点から供給されることでも充電される。更に負のエネルギーが実体を持った存在であるため内包するエネルギーを全て喪失するまで再生し、活動を継続する。明確な核は存在しないため純粋にダメージを与えることでしか基本的には倒すことが出来ない。

 その上シンプルなフィジカルは生物のそれを遥かに凌駕する。驚異的なスピードとパワーとスタミナを併せ持つ星幽(アストラル)の戦闘力は非常に高い。多くの場合、並の兵器を以ってしても打ち破るのは困難を極める。

 周辺領域の環境に極端に変化を与える存在を特異点(シンギュラー)といい、これだけでも歴史を変える影響力があるものの特異点(シンギュラー)のエネルギー量が増大していくと空間を変質させ異質な存在が発生し始める。これが崩壊点(コラプサー)への発展と星幽(アストラル)の大まかな発生のメカニズムである。

 無論手練れの冒険者が集まれば星幽(アストラル)は倒せない存在ではない。しかし崩壊点(コラプサー)の影響が強くなればなるほど星幽(アストラル)の数も質も増し処理が追いつかなくなる。そして本当に倒すべき崩壊点(コラプサー)は最終段階たる消失点(ヴァニッサー)へと到達する。

  

「人が…星幽(アストラル)に…?」


 スピカが見せた生体基幹情報(バイオメトログラフ)は人間のものではない、確かに星幽と見れるデータがそこにあった。しかしポラリスにだけ聞こえる声は確かに人間の声であり、ポラリスはその声から彼女を人間だと認識している。つまり導き出される結論は、


「マギウスクラスタなる代物は人間を星幽に変えるものである…ということか?…こんな代物なら政府が必死になって情報を秘匿するのも納得だな」

「ええ、それに被害者が彼女一人というわけでもないはずです。おそらくはもう既に駆逐された…もしくはどこかに捕獲されている人もいると思うのですが…心当たりになるようなところはないですか?」

「…可能性があるなら…防警局の特殊部隊も駐留している防衛壁内基地だろうか。星幽に限らず珍しいモンスターなどを捕獲した場合、同じ部署に搬入されているそうだ」

「そこに何かしらの手掛かりがある見てよさそうね」

「ああ、今の時間なら職員や警備も手薄だろう。今から潜入しよう」


ポラリスは立ち上がってギアデバイスを手に取る。それを見てスピカはポラリスのその手を掴んで止める。


「待って、今度は私が行くわ」

「お前は()()()()だろう?まだ俺の方が潜入には向いてる。だから外から援護してくれ」


 ポラリスに指摘されて自分で思い当たる節があったスピカはしゅんとしながらすごすごと引き下がる。ポラリスはそのいじましい姿をみていたたまれずスピカの頭に手を乗せて優しく撫でる。


「お前に助けてもらう機会はこの後にもある。一度や二度の機会でそうくよくよするな。それにお前にはこれまでも何度も助けられているしな。だから援護を頼む」

「…わかりました」

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ