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Nadia〜スターライトメモリー〜  作者: しふぞー
義勇に躍るマリオネット 編
18/123

パズルのラストピース

 ゴジョウは一人、エルノド・ノヴォの北東部の住宅街へと歩いて進む。そして彼はかつて所狭しと中小製造業者の事務所兼製造所が立ち並んでいた廃墟街の中の一つの建屋の前で立ち止まる。


「ここだ、ここにスーラがいる」

「そうか、ご苦労だったな」


 ポラリスがフルステルスを解除し、ゴジョウの隣に立つ。


「そういえば情報機関員が私を監視しているはずだが大丈夫なのか?」

「問題ない、シーカー達が追跡者を捕捉しそれぞれ幻術で処理している。問題になるような報告は上がることは無い」

「そうか、では入ろう」


 ゴジョウが先導して事務所に入っていく。ポラリスはその後ろをついていく。事務所の中を抜けて製造所に入っていく。事務所は埃が積もっていたが製造所の方はまだ少し整っていた。


「入るぞ、スーラ」


 返事を待たずにゴジョウはどんどん進んでいき、ポラリスも続いて入っていく。最奥に、大量の図面と一台だけ起動状態のまま放置された卓上端末、そしてその前に座り込む一人のつなぎを着込んだ初老の技術者。


「まだ検証を続けているのか」

「ワシは何も間違っとらん、仕様通りにしただけだ。脆弱なつくりにもなっていなかったはずだ」

「客を連れてきたんだ」


 そこでふとスーラがゴジョウの方を向き、そしてその隣のポラリスを見る。


「星の子か、珍しい客を連れてきたもんだ」

「星の子…?紹介する。こちらの偏屈爺がスーラ。マギウラクラスタ建造の技術責任者だ。で、こちらがポラリス」

「冒険者ってナリではなさそうだな。マギウスクラスタを知ってるってことはその用か、回りくどいのは嫌いなんで手短に言ってみろ」

「ならば言うことは一つ。我々はマギウスクラスタの全てを廃棄する。そのためにマギウスクラスタの設計図が欲しい」


 ポラリスは何一つ隠すことなく目的も、目標も一言で語った。スーラもまたその答えに一つ満足したように端末から離れる。


「ゴジョウの紹介ならワシが言うことは無い。ワシが持っているのは半分だけだがくれてやる」

「感謝する。何、もう半分はすでに手に入れている」


 ポラリスはすぐに端末を操作してデータを吸い上げていく。そこで疑問が生まれたゴジョウは素っ頓狂な声を出した。


「…えっ?もう半分ってヴルカが持っているはずだぞ」

「ああ、だから彼女にはもう既に協力してもらっている。だから後必要なピースは君たちだけだったんだ」



 ポラリスは全てのデータを得た後、最後に二人に一つずつ小型端末を渡す。


「これは?」

「我々の端末だ。明日、我々はマギウスクラスタへ突入する。安全は保障できないが、付いてくるなら付いてきても構わん」

「感謝する」

「フン、一応もらっておこう」

「では失礼する」


 ポラリスはフルステルスを発動して消える。スーラはその姿に顎が外れるほど驚いてからゴジョウにマシンガンのように質問を繰り返し始めた。



 時刻はそのあとすぐ。ポラリスはフルステルスで隠れて様子を探っていた。場所は三重防壁の最前線、エルノド・ノヴォの首相、サイラス・クレイエルの執務室には彼の直属部隊が集められていた。その中には隊長としてザウスが、端の隊員としてアルトが並んでいた。

 ポラリスはアルトを気にかけて様子を見に来ていたのだ。そのためポラリスは彼がその場を去ったと同時にセーフハウスに戻っていしまっていた。

 そのため彼らの次に来た客には会うことは無かった。


「どうだい?君の描くパズルのラストピースはもうすぐそろうよ」

「ああ、だが失ったピースも多かった」

「なら集め直せばいいさ」


 ポラリスが率いるシーカー達は確かに高い能力があったが、彼らはポラリスの幻術のように高すぎるレベルの幻術には敵わない。つまりクレイエル首相との会談を行っている人物のことはポラリスに報告されることは無かった。

 



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