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Nadia〜スターライトメモリー〜  作者: しふぞー
義勇に躍るマリオネット 編
15/123

常識の補足

「さて、第一幕が終わったね」


 フリートは映像を停止させながらこちらを向いてくる。正直なところ用語がまったくわからないため話はあまり上手く入ってきていない。


「うーん、君は大分重要な記憶を失っているようだね。少しこの時代の常識について補足しておこうか」


 目の前に座るフリートはから恐ろしいほどの洞察力でこちらの状況を見透かしていた。ちょっと怖いな…


「この世界はね、かつて一つの政府の元にあったんだ。ギャラクシーと呼ばれるその国家は政治経済司法文化すべてを一度セントラルに集約し、セントラルはありとあらゆるものを支配した。しかし同時に全てを認めることに全力を尽くした。ゆえにすべてが集約した首都イ・ラプセルはすべてが認めらるにもかかわらず全てが支配されたディストピアとなった。わかるかい?かつて「天上の都」と呼ばれた都市の中心で、どんなことを叫んでも、近くを通るものは皆耳を傾け、そして彼の考えを認め、そして自分の生活に戻るんだ。誰もが正気の、狂気の都だった。だが滅びた。公用語を統一し、公用文字を統一し、そして全てを集約したセントラルでは人類の限界まで高まった技術、知識、そして人材があった。それでもなおギャラクシーは滅びたんだ」


 フリートは昔を懐かしむように瞼を閉じる。フリートもきっとその場に居合わせた一人だったのだろう。


「消失点…特異点はやがて崩壊点となり、崩壊点はやがて消失点となる。急激に進展したその厄災はあっという間にすべてをつなぎ留めていたセントラルを失ったギャラクシーは盛大に空中分解、各地は混迷の時代へと突入し、多くの地方では文明を一度失うほど後退したんだ。そして時は流れて現代にいたる。言語と文字が同じだから地域間交流は上手く生きやすいことも手伝って国際関係は再び成熟しつつある、しかしそれはギャラクシーの規模には遠く及ばない。かつての栄光には誰も届かなかったんだね」


 ギャラクシー。一体どれだけすさまじい政治力があったのだろうか、想像もつかないな…。だが消失点もまた国際文明を完全に崩壊させるなんて何をしたら可能なのか想像もつかない。


「それともう一つ重要な技術…ギアについて説明しておこうか。ギアはね、ギアはギャラクシーの時代に開発された道具なんだ。普通の道具って、物理学の範疇で作られるだろ?でもギアは既存の物理学的障壁を全て取り除いて動くんだ。例えば物理学的な破壊力は基本的には速さ×重さで算出されるがギアは違う、出力と性質によって算出される。技量次第で物理的に破壊することもあればギアの火力で力押しで破壊することもできるんだよ」


 便利な道具だな。


「うん、便利なんだ。技術が発達してるからね。ギアは基本的にはエーテルエネルギーを用いた道具全般を指していてね、家事を自動で行うギアや公共交通機関のギア…そして軍事兵器のギアも存在する。ポラリス達が持ち歩いているのはギアデバイスといってね。通信、記録、計算など端末機器機能の他ギアウェポンやギアガシェットを構築する機能など様々な複数の機能が搭載されているんだ。ギアデバイスはまさにギャラクシーの技術の極致だと言えるだろう。これはポラリス達現代を生きる者たちへの大いなる遺産なのさ」


 古代の遺産を用いた、最強の組織力と最強の兵士(ソルジャー)達のアニムス。きっと彼らは軽々と常勝不敗をなしえてきたことは想像に難くない。


「では、続きを見ようか。これからも怪しいところは私が補足しよう」


 再び目前の映像が動き出す。



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