林檎に蜷局を巻く蛇
「かくしてアニムスとヴィクターの全面戦争へと着々と進んでいくのであった、とさ」
俺は最後の茶会のお茶と同じお茶を飲みながら停止した記録映像を穴が空くほど見つめていた。
フリートは映像を切り替えるべく画面を操作している。
イ・ラプセル天文台のオペレーター達には劣る程度のスピードだ。やはり天文台の職員は優秀なんだな。
「央海を挟んで対陣するアニムスとヴィクターなんだけど、実はまだまだ全面戦争には至っていないんだよね。でもまだこれからもっと戦いは激しくなっていくよ」
もうすでに何万人の命が失われているんだろうか。それ以上に既に暴れまわっているソルジャーが前線に放り込まれてしまえばどうなってしまうのだろうか。
「この各名士たちが躍動する時代に心が躍ってきたかい?」
この胡散臭い男はどうして人の生き死にを見てこうもテンションをあげられるのだろうか。
正直醜悪な趣味だと思う。でも、どうしてだろうか、もっと知りたい、もっと見たい。
きっとその先に俺のルーツを探すヒントがあると思うから。
「別に心が動かされたとかそういうわけじゃない。けど、それでももっと、見てみたい」
思わず口からこんな言葉出るとは思わなかった。
でも、フリートは実に、実に楽しそうな顔でいそいそと次の上映の準備を始めた。
興味が、湧き始めていた。