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第八話 お父様が必死で噂をもみ消そうとしているのですけれど迷惑ですの

「ああもうむしゃくしゃしますわね!」


 わたくしは一人、唇を噛み締めておりました。

 公爵家の娘ですので、決して地団駄踏んだりは致しません。でもそれくらいには腑が煮えくり帰っておりましたの。


 わたくしのお父様である公爵に、わたくしの悪い噂が耳に入ってしまったらしいですわ。

 そして慌てたお父様は、それを必死に揉み消そうとなさっているのです。


 いわゆる口封じ。うちにはこれでもかというくらいお金がありますので、それを使って男爵と交渉し、噂を根本から消し去ろうという算段らしいですの。

 迷惑なことこの上ありませんわ!


「わたくしは構いませんから!」


 そう言ったのですけれど、聞き入れてはもらえず。


「将来王妃となるお前に、あらぬ疑惑がかけられては困る。いいな?」


 どうしてもお父様は、わたくしと王子様を結婚させたいようなのです。

 当然ですわよね。わたくしの婚約を申し入れたのはお父様ですもの。


 でもお父様、娘の気持ちを考えていらっしゃって?

 娘は、婚約者でない者に浮気をしてしまうような不誠実な女なのですよ?


 本来、婚約者同士は一生を共にするのですから、愛し合うのが理想です。

 それでも愛がない夫婦というのはよくありますけれど、浮気などすれば貴族界の笑い者になるので誰も致しません。

 しかしわたくしは、それを堂々とやってのけようとしているわけですの。それも下級貴族ならともかく、公爵家の身分で、ですわ。


 わたくしを溺愛してくださっている王子様のことを考えると胸が痛みますけれど、でも愛せないお相手との結婚なんて、わたくしできません。


 でもそんな胸の内を語れるはずもなく。

 せっかく広がっていた黒い噂は、どんどん縮小していってしまいましたの。


 悔しいですわ――!!!

 なんとしても。そう、なんとしてもわたくしはパトリック殿下と結ばれたいのに!


 エミリ男爵令嬢が噂を流している主ではなかったため、彼女はお咎めなしということになりました。

 ので、彼女にはもう少し奮闘していただき、再びわたくしを追い詰めてくださるよう仕向けないと。


 そうですわ。いい案を閃きました。

 ヒロイン――エミリ嬢のターゲットである王子様ともっとラブラブな『フリ』をすれば嫉妬していただけるのでは!?

 そうすればきっとエミリ嬢は躍起になってくださるはず。彼女は王子様に憧れていらっしゃるに違いないもの。もしそうじゃなければ、わざわざわたくしを貶めようだなんて思うはずがないでしょう? ヒロインたる意地を見せていただかなくてはね。


 お父様にはまた邪魔されないように気をつけた方がいいですわね。

 ここからが肝心ですわよ。王子様と親しい様子を見せつけて、ヒロインにしっかり嫉妬させるのですわ!

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