第十五話 さらに溺愛されてしまいましたがとても幸せですわ
あの卒業パーティーは、王国の歴史に残るものになってしまいましたわ。
公爵令嬢のいじめ事件が冤罪だと判明し、かと思えば隣国の皇太子が男爵令嬢に告白して、さらには第一皇子と公爵令嬢が愛を伝え合ったのですもの。
内容盛りだくさんで、まさに伝説ですわね。
わたくしはエミリ嬢ときちんと仲直りした上で、彼女とパトリック殿下を隣国へお見送りいたしました。
留学生であった彼は、学園を卒業した以上は国へ帰るのですわ。殿下の妻となることが決まったエミリ嬢も、もちろんのことついていきましたの。
「じゃあ俺たちは帰る。アンドレ王子もプレンデーア公爵令嬢も達者でな」
「プレンデーア様、色々とご迷惑をおかけしました。アンドレにい……アンドレ様もバイバーイ」
見送りは少し寂しいような気もしましたけれど、わたくしは大切なものを手に入れたので何も怖くはありませんでした。
アンドレの腕に抱かれながら、わたくしは何の後悔も致しておりませんでしたわ。
さようなら、わたくしの恋したお方。
わたくしはわたくしの愛しい人と共に、この国で一番幸せな女になってみせますわ。
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わたくしの婚約破棄断罪劇は失敗に終わりましたけれど、おかげでわたくしは真の愛を掴み取ることができましたわ。パトリック殿下とエミリ嬢にはきちんと感謝しませんとね。
わたくしはまもなくアンドレと結ばれ、晴れて妃となりましたの。
結婚の際にアンドレに王位が譲られたので、つまりは王妃。……やはりわたくしには重荷ですけれど、それでも屈して逃げはしませんわよ。
ああ、アンドレと呼び捨てにするのはすっかり慣れてしまいましたわね。王子様だなんてよそよそしい呼び方をしていた時が嘘みたい。
ちなみにあの方はやはり愛称で呼んでくださるのですけれど。
結婚してからというもの、アンドレの溺愛っぷりは今まで以上になってしまいましたわ。
何かにつけ愛の囁きをなさいますし、夜の時間は本当に熱くて……おほんおほん。
本当に可愛い人なんですのよ。
「君の銀髪は本当に美しいね、デーア。食べてしまいたいくらいだよ」
「あらあらアンドレったら。食べてしまいましたら涎だらけになってしまうので、そっと撫でてくださると嬉しいですわ」
そんな冗談を言うと、アンドレはわたくしの頭を優しく撫で回してくださいます。
わたくし、この瞬間がとっても幸せですの。
「溺愛されるのも悪くありませんわね」
これにて一旦完結となります。
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