9.悪意は、無い方がむしろ人を傷つけることがある。
奇異の目でご近所さんに見られ、
手はガクガクと震える。
それでも愛ゆえに、そう、愛ゆえに、彼は成し遂げたのだ。
実に5分に及ぶ苦闘は、しかし、彼の強固たる意志を砕くには能わなかったようだ。
お姫様抱っこ編は、主人公の完全勝利に終わったのだった。
本編、始まります。
なんやかんやで公園に到着。
ふいー
軽いとはいえ、人の身体を支えるのは一苦労。
何か言われそうなので、敢えて言うことはないが。
とりあえずブランコに腰掛ける。
こんな小さかったっけ?
僕も成長したんだなー。
思いつつ、漕ぎ始める。
何か、話題話題。無難なやつ。
「では、互いにインタビューをしたいと思います」
「なんだかおかしいと思うけど......
でも、色々お互いを知れると思うし、いいよ、乗った」
「じゃあ、まず、僕から」
「どうぞ」
「本当に答えにくいものだったらパスで良いよ」
「でもたっくんの番のときは答えてくれるよね?」
「不可侵条約ぅ」
不平等なものになってしまったけどいいや。僕のことをもっと知って貰えるし。この心が数本折れる程度、安いもの(?)だ。
好きな人のことが知れるに勝る幸せは無い。
もっと好きになれるんだから。
4年分の「知らなかった」を喜びに変えていこう。
そんな気持ちを胸に、第1問。
Q1:スr...
A1:パス
ニヤニヤしてらっしゃる。
エスパーですか?
くそぅ、いけると思ったのに。
まあでも、そこら辺の知識ないから答えられても何とも言えないけど。
Q2:最近の趣味は?
A2:動画鑑賞
お。
ありきたりだけど、だからこそ共通点があるかも。
ちょっと突っ込むか。
Q3:好きな動画は?
A3:バドミントン
「経験者?」
「...違うんだけど、好き。状況を見て素早く動いて的確にラリーする所とか」
「わかる。攻守の交替が鮮やかでな」
「そう。同じネットスポーツなのに、範囲がちまちましてる卓球とは全然違う」
「せ、せやな」
婉曲でディスられた。
天然罵倒の方が心にきます。
卓球だって動くんやで。
戦術があるんやで。
兎も角、共通点が1つ見つかり嬉しい。
「今度、一緒にやりに行こ、バドミントン」
「いいよ」
未来への楽しみも、1つ増えた。
Q4:家族は元気?
A4:元気元気。母姉妹で仲良くやっております。
お義父さんも入れてやってー!(切実)
現代の女尊男卑は斯くも厳しいものなのか...
元谷家は三姉妹で未来は真ん中だったはず。
家族関係が良好な様で何より。
Q5:学校はどう?
Q5:.楽しいよ。授業がちょっと辛いけど。
ん?気の所為か?ま、それよりも、
「勉強分からなかったら聞いて。平均的な僕に分かるかはわからないけど」
「いやたっくんの学校凄いでしょ。優秀な家庭教師を雇えてしまいました」
そうか?あんな変態、もとい変人の巣窟、見掛け倒しだと思うんだけど。
「あんまりあてにしてもらったら困るな」
張り切っちゃうじゃないか。
またひとつ、一緒に居られる口実が出来てしまった。心の中の自分が狂乱している。いかん、鎮めるんだ。
「じゃあ、次はこっちが聞く番ね」
「よし来い」
質問会で満たされた。
もう何も怖くない。
あ、でもオタバレだけは避けなきゃ。
キモがられて嫌われるのだけは御免だ。
まあ、直接的に聞いてこない限り、はぐらかせると思うし、やすやすとやられるわけ......
「第1問、たっくんって『オタク』ってやつ?」
あかん。交際生活、2日目で破局するかもしれん。
出来れば、本編は主人公一人称現在視点だけで物語を作ろうと思っています。(過去語り除く)
ちょっと主人公の特異さが垣間見えましたね。
次回、大倉拓、(社会的に)死す。
ぜってーみてくれよな!
ブックマーク、よろしくな!
オラ、現金(元気)になるぞ!
5/21 文脈がおかしかったので修正しました。