6.濁った目も濁り切れば純粋な目と言える、わけないか
日常編、もうしばらく続きます。
ヒロインちゃんを登場させたい欲が高まるー
朝礼5分前のチャイムが鳴り、たいちーとそそくさと教室へ向かう。
「そう言えばさ、昨日小学校以来の人と会ったわ」
「へぇー、良かったやん」
「その娘とさ、付き合うことになったわ」
「へぇ〜、良かったやん!」
屈託のない笑顔で祝福できる、そういう聖人に、僕もなりたい。
けれども、僕はまだ、その域に達していないらしい。
たいちーとはクラスが違うので別れて教室へ。
中高一貫なので、高2は5年と表記されていることに何ら違和感を感じなくなった今日この頃。
「おはよう、じん兄ぃ」
「元気だなぁ、お前は」
「まあ、いい事あったからな」
じん兄ぃ、本名を北川仁と言うが、僕のオタ道の師匠でもある。達観していて、ユーモアのある、グループの親分的存在だ。あと運が頗る悪い。えー、ししょー、またファンブルですかー?*
そして、
「おいおい、彼女でも作ったのか」
「まさか....、一考の余地はあるな」
「くらは俺のもんだ! 誰にも渡さねえぞ」
「おい最後の」
思わず最後のに突っ込んでしまったが仕方あるまい
。
こいつらは僕の、そう、「同士」と呼ぶべき存在だ。
前から順に、黒木、河崎、塩野だ。
河崎は某英雄系の世界にどっぷりと浸かっている。
お陰で彼の歴史の点数はバグっているかのような数値を叩き出す。あと、ドロドロのシナリオが大好物だ。彼の行く末が心配です。
黒木は席が隣で良く喋る。ただの数理なら高性能な理系マンかと思えば、こいつの本質は美少女ゲーム愛好者だ。気が合うな、僕もだ。...おい高校生。
塩野のプロフィールも途中までは黒木と同じなのだが...
こいつ、局所的なバイなのだ。
何故僕に刺さってしまったのか......どうしてだよぉ。
僕も含めるが、こいつらは極めて邪推が好きだ。
ことある事に、恋愛に絡めようとする。
あるはずも無い恋愛に。
男子校故の、不治の病だ。
しかし、今回は違う。
「( -ω- ´)フッ」
「え、こいつまさか本当に?」
「君たちとは、生きている世界が違うのだよ」
くっ、マウントを取りたくなる自分を抑えきれない。聖人には、まだ遠いか。改めて、聖人、いや、神の偉大さに気付かされる。
「昨日まで同レベル帯に居た奴が何をほざく」
「ぐっ」
師匠の言葉が耳に染みるぅ。
*ファンブル TRPGにおける、行為判定での致命的失敗。これをしてしまえば、ただ歩くだけの簡単な行為でもひっくり返ってダメージを負う。対義語はクリティカル。
現在、男女比が6:1と大変男臭くなっております。
小説でこういうのって意外と少なくないですか?(ユニーク感を出そうと必死)
聖人って女の子に入りますか?