29.君がっ!嬉しいと言うまでっ!イジるのをやめないっ!
歩きたくてしょうがない。カロリーを消費したい。ひいてはこの胃に溜まっている重さをどうにかしたい。
そんな衝動に負けたわけではないが(完全敗北して)、これから向かうは、
「皇居ウォーク〜」
「いぇー」
乗り気みたいだ。僕にも負けず食べてたからなー。
自分でも何を提案してるんだろうと思う。散歩とか全然面白くないし。いつでも出来るし。けど仕方ないじゃん。東京らしいもん。風景違えば雰囲気も違うもんでしょ。
「皇居とか好き?」
「あんまり。何も見えないだろうし。」
確かに。見えるのただの森だけだし。提案しておきながらちょっと申し訳ない。
じゃあ他も見て回ろう。
.........
......
...
「おっきいなー」
「おっきーねー」
森しか見えないけど、これだけは分かる。設置面積でかい。流石、日本の象徴の住居ということか。
「こりゃ税金かかるね〜」
「確かに」
象徴のためなら仕方ない。...仕方ないのか?... ...いつかこれについて考えなければならない気がする。
「あ、こっちにも有名な建物あるっぽい」
「行こ〜」
「あいよー」
やはり森ばかり見ていては飽きる。確かに超自然的なパワー的な? は貰えたような気がしなくもないが。
数分後。
「あ、テレビでよく見るやつ」
「そうそう、国会議事堂」
「白くてでっかい。ロスの庁舎みたい」
「あー、形的にかなり似てるよな」
日本の立法の中枢だ。ここで日本の趨勢が決まっている、と思うと、何だか偉大なものを見ているような気持ちに...
「なんか変な答弁ばっかりで全然話が進まないとこだね〜」
「そ、そんなこたぁ無いよ。きっと深い意味があるんだよ」
同意しかけた。凄く同意しかけた。
でもそれは一般市民からバイアスをかけて見た国会であって、実際はきっと国にとって重要なことを様々に推敲して決めていく、素晴らしい場所なのだ。...そうであって欲しい。
だから、そんなに要領を得ない回答は気の所為なのだ。
「でも汚い話題ばっかだよ? 汚職とか賄賂とか。あと予算とか毎回遅らすし」
「もうやめて未来さん! 国会のライフはもうゼロだよ!」
「またドローした方がいい?」
「フリじゃないフリじゃない」
「じゃあ標的を変えよう」
「え」
え?
「ちょっと今日物怖じし過ぎじゃない?」
「くふっ」
でかいダメージ。けど自覚はあるのでまだ耐えられ...
「かっこいいとこ、見れてない気がする」
「かはっ」
...致命的ー。精神的「こぶし」が最大効率で僕の胸に叩き込まれるぅ。
「その痛罵で、一体、何人を......」
「今まで作った恋人の数くらい、覚えてるものでしょ」
「因みに何人?」
気になります。恋人なので。過去の人に嫉妬しちゃう。
「勿論1人。喜んでいいよ〜。こんなにイジった人、ほんとに全然いないから」
「そんな! 嬉しい、もっと罵ってー! ...とはならないよ?」
「ならないか〜。素質あると思ったのに」
「僕を何だと」
「恋人のためなら公衆の面前での恥ずかしいことすら厭わない、かなりの重症者」
そんな訳...否定出来ないぞ。どうすれば...
「もっと罵ってくださいー!」
「よろしい」
もう自分が制御できないよ。
今日の豆知識
(11)古文「AをBみ」は「AがBなので」
これ覚えやすい(?)覚え方があって、英語の「so〜that」と訳し方がほぼ同じなんですよ。
これを機会に。
ブクマお願いしますー(懇願)。




