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幕間:The other day in junior high

なんでもない一日に、そう見えた。

「あれはないわ」


「まあしゃーないでしょ、顧問あんなんだし」


「だからって全部サーブ違反って言う?」


「まああの人だし」


亀梨が若干キレ気味。まあ、あれはないわな。高々部内戦で真面目ぶって。一々一旦制止してからトスするとかのサーブのルール守る奴とかいないって。その程度の違反なんて誤差みたいなもんだし。その誤差で負けたんだからさぞ不公平に思ったことだろう。

顧問ならそんな細かいルールを審判の立場で批判するより実際の試合で大事な技術の方を教えて欲しいものだ。俺だってそう思う。



「でも実際、結果は結果だから」


いののんが言うが、それもそう。ルールはルールだからケチの付けようがない。しょうがない、といった面も存在する。


「いや俺それまでお前に勝ってただろ」


「丁寧さも実力のうちでしょ」


つまり、この2人が先程の試合の結果如何について口論しているというわけだ。


まあ、部内リーグ戦だし勝敗が重要なのはわかる。レギュラーかどうかが決まるしな。

でもお前ら十中八九勝ち越すだろ。そんな意味ないじゃん。

上下をはっきりさせたいのか。プライド高いなー。俺がその立場なら面倒だから勝ちを譲るよ。皮肉になるから言わないけど。たまたまにしても今回俺2人に勝ってるし。


といってもこのいがみ合い、どうするか......



「先輩ってこういう時どうしてました?」


取り敢えず高2の先輩に聞いてみる。中高一貫のいい所その1。中3でも先輩がいる。使い所が雑な気がするけど。

一番接しやすい北熊先輩に聞いてみる。


「そーやな... うちの学年は分裂したから何とも言えへんけどな」


「あー、そうでしたね」


先輩の学年元はもっといたもんな。中1の時色々教えて貰ってたのに。少なくなったのは少し寂しい。


「じゃあ今ならどうします?」


「亀梨と井上やろ? しばらく見守ってみたら? またすぐいつもに戻るやろ」


「確かに。静観してみます」


「でもやばかったら割って入るんやで」


「りょーかいです」


とか言いながら先輩のサーブを受ける。この人のバックサーブ下回転だと思った奴まで全部上だからな。軌道で判断しなきゃ。



と、


「おーい大倉。試合やぞ」


うちのキャプテンの金丸が仰せだ。うわ、次リーグ戦アイツか。勝率五分五分なんだよなー。


「えー、もうやるの?」


「いつかはやらなだし」


「はぁ。わかった行くよ。先輩、抜けますね」


「あいよ。頑張ってこいよ」


「アドバイスもありがとうございます」


「ええよこんくらい。今年で最後やしな」


高3は受験だしな。


「来年まで残っても良いんですよ?」


「無理」


「はは、ではー」


先輩は頼れるなー。




さて、キャプテンとの試合だ。負けたくねー。


こいつは根っからのパワー系だ。ゴリ押し。スマッシュ速すぎて取れない。無理。如何にそれをミスらせるかに勝負がかかっている。

自分から攻撃? はは、苦手なので。自分、カット(防御)主体です。相性が絶望的。気合でラリーを繋いでミスを誘発する以外に俺の取り柄ないし。

しかし、その気合で今まで乗り切って来られたのだ。今回もそれでなんとかしてみせよう。


「じゃあやろっか」


「せやな」


じゃんけん。勝ち。幸先いいぞ。


「「お願いします」」


やったるぞー!




.........

......

...


負けました。


うわー、今日はボッコボコだったな。ラリーに持ち込んだまではいいけど決定打が無かった。その点、向こうにはスマッシュという必殺があったというのが敗因といったところか。そろそろ俺も攻撃出来るようになろっかなー。


帰りはいののんと一緒。


「キャプテンに勝てないー」


「俺もお前の後にやってやられたわ」


「いののんも? やっぱカットマンにゴリ押し戦型は辛いなー」


「ああいうのは調子にムラあるけど今日は上振れしてたな」


「ちょっと今日は勝てる気がしなかった」


「これで趣味が普通だったら...」


男子校ゆえ、致し方なし。


「そういう俺らも言えたものじゃないけど」


「まあボカロはマシでしょ」


「まあ、比較的な」


あ、そういえば、


「亀梨とはどうだった?」


「あー......こっちの勝ちってことになったよ、一応。」


「あいつは?」


「納得出来てない感じ。もう結果なんだからどうでもいいじゃん。なんで...」


「まあまあ、受け流せよ、向こうは向こうで理不尽食らってるし」


「いやサーブがなってなかったのは向こうの怠慢でしょ。ちゃんとしてたら注意なんてされないし」


「それもそうだけど」


「兎に角、アレの話はやめよう」


「はいはい」


こっちもそこそこ気が立ってるみたい。これは下手に刺激しない方がいいかな。こっちにもとばっちりがきそう。


「あー、あのイベントのガチャどうだった?」


「俺またあのキャラ引いたわ。二体もいらん」


「その運ちょうだいよ」


いつものゲームの話題に移る。まあ、こいつも気を紛らわした方がいいだろ。



なんだかんだ今日も終わる。


明日になったら、また、今日みたいな日常が繰り返されていくんだろう。あの二人も、また元通りになるんだろう。


なんとなく、そう思った。

何気に先輩を出すのは初です。

また使うかも。

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