18.苦しみを試練と取り、喜びを見出す。人これをドMと呼ぶ。
天の川、まさかお前が裏切るとは思わなかったよ。
......はい。
すっかりと暗くなりました。
只今、いろいろありまして、行きと同様彼女をこの手に抱えております。
すこし、辛いです。物理的に疲れて。
しかし、幸いです。精神的に満たされて。
「あ〜、快適快適〜」
「いつか、仕返しするぞー」
「拓さんに何が出来ます?」
「ぐ、」
確かに、何も出来ない。
そもそも、この状態がWin-Winだ。
仕返しではなく恩返しになってしまう。
「いや、労働を強いてるわけだから何か言い返してきても構わないんだけどね」
「でも、頼りにされてるって、それだけで嬉しいよ。ちゃんと僕のこと見てくれてるってことだから」
「...そういう解釈もあるんだ」
未来さんの口撃が弱まりを見せた。目の前に顔があるから、暗くても照れてるのがはっきりと分かる。
恋人として、奉仕するのは当然ですから。
え、当然だよな。
決して「辛い」が「楽しい」に直接変換されてる訳じゃないから、まだ、正常な、はず...
うん、大丈夫なはず。
.........
......
...
そういえば、今日は4月23日だ。
「もうすぐゴールデンウィークな訳だけど」
「たっくんはいつ空いてるの? こっちは全然空いてるけど」
「大体全部。なんなら土曜の5月2日も休み」
なんか学校的に大事な日らしい。
学生にとってみれば休日が嬉しいだけなので、とやかく言うつもりは無い。
「え、土曜って普通休みじゃないの?」
カルチャーショック。
「で、いつ遊びに行こうか?」
「全部」
「へ?」
「だから、全部遊ぼう」
僕のテンポが悉く崩れていく。
すごく嬉しいし楽しみ、ではあるのだが...
リズムを向こうに取られてばかりいるのは、少しばかり不満だ。僕は、根っからのMではないし。
なら、相手のリズムを崩せばいいじゃない。
「成程、泊まりがけか」
「へ?」
「だから、泊まりがけの旅行に行こうか」
あ、フリーズした。
再起動せな。
一旦地面に立たせて、もっかい抱っこする。
「...え、でも家族の許可要るし」
「取ろう」
「二人だけって危ないし」
「大丈夫。僕が何とかする」
「二人きりって危ないし」
あ、そっちの意味。
「あー、大丈夫。そんな蛮勇ないし」
間違いなくそちら方の家族に殺されてしまう。
家族愛すごいもん。
「そうだった、たっくんウブだもんね、安心した」
その安心のされ方は、男として、なんか悲しい。
とかなんとか言っていると、家の前に到着。
彼女を下ろす。
自分が軽くなり過ぎた気がした。
喪失感。
「ご苦労さま」
「お姫様のためならなんのその」
「良き従者ね〜」
こうして、今日が終わっていく。
今日の最後は、明日の再会を約束して。
「「また明日」」
と、言うわけで、日常編2が終わりました。
ありがとうございました。
今回の匂わせ通り、次は「大デート編」です。
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