17.瀬を早み
短めです。
すみません、キリがいいので。
「ぜえ、ぜえ、」
死ぬかと思った。
山内おぢいちゃん、強すぎるて。
ラリーを続けるだけで精一杯。
「なんとか言ってもラリー続いてるし十分いいよ」
って言ってくれるけど、皮肉にしかならない。
もう足がボロボロ。
もう明日は筋肉痛確定だなー。
しかし、今日くらいは持ってくれよ。
練習が終わった今は5時半。号令が終わると、今までになく早く着替える。
6時半とは言ったが、ゆっくり着くといった発想は毛頭ない。
全力だ。
「お疲れ様!」
部員にかける別れの挨拶が、多少ぞんざいになるのも許してくれ。
.........
......
...
朝は登った坂を全速で下る。
元から上がっていた息は更に苦しくなる。
足など言うまでもない。
でも走るのはやめない。
会えない方が、苦しいから。
結局、全力で走ったところで、電車が1本早く乗れるだけ、10分早く会えるだけ、意味ないって?
「だけ」じゃない。「も」だ。
10分も早く会える。充分過ぎる動機だろう。
動悸が早まるのは、息切れが理由の全てでは無いはずだ。
.........
......
...
予定の20分前に目標に到着。
そんな僕に投げ掛けられる言葉。
「思ったよりちょっと遅かったね」
辛辣ぅー。
改札の向こう側から彼女の姿を拝めた。
いつから待っててくれたんだろう。
申し訳ないけど、同時に嬉しい。
「これでも頑張ったんですよ?」
「私に対する愛はその程度?」
「滅相もない。これからも、尽くさせてください」
「宜しい。では、彦星様、こちらへいらっしゃい」
天の川のくだりか。まだ続いてたんだ。
「仰せの通りに、織姫様」
そして、
ビンボーン
セイサンシテクダサイ
感動の再会(?)は、天の川に遮られた。
タイトルは、百人一首の77番から取らせて頂きました。再会というのにマッチしてたので。
皆さんはどの首が好きとかありますか?
私は、「浅茅生の」が大好きです。
暇だったら調べてみてください。
あ、その前にブックマークとかして下さると嬉しいです。(自分本位)




