幕間:One day in junior high
「まさかここまで進むとはな」
「3位決定戦か」
「こんなに試合で残ったのって初めてじゃね?」
ちょっとびっくり。
「さっきだって負けたけど接戦やったしな」
「まず1回戦のシードを倒したところから凄い」
「あれはエースに勝ったキャプテンがMVP」
「いや、相性良かっただけだって」
「謙遜するなよ将来の部長」
「趣味以外は容姿も成績も完璧なのに」
「上げて落とすのやめろよ」
将来の部長がなにかほざいておる。金政ぶちょー、お茶買ってきてー、とかパシられそう。
「かずちゃん大丈夫?」
「さっさと終わらせてさっさと家帰って寝る」
「マイペースだなー」
「朝もずっと気分悪かったし。デフォルトだけど」
「ほんと大丈夫か?」
かずちゃんの病弱属性に拍車がかかる。
「たいちーいけそう?」
「ちゃんと動けるように素振りしとくわ」
「えらいなー、杉名は」
流石。周到だ。1年後には崇められてるかもな。
「亀梨、ラストは任せた」
「なんで俺ばっかり最後? プレッシャーヤバいんだけど。お前らも一回やってみろよ」
「でも亀梨なんだかんだ最後勝つじゃん」
「キャプテンはどう思う?」
「それでいいだろ。大体相手のキラー、ジョーカーになるし」
「それでいいなら。...で、お前らは勝つよな?」
「当然。な、いののん?」
「まあ、堅実にな。あと大倉、前から思ってたけどその呼び方なに?」
「いやだって井上莉音ならいののんでしょ」
「だっての意味がわからん。ま、いいや。楽しもう」
「おー。残り2勝は誰かが頑張ってな」
「善処するわ」
かずちゃん、それ、出来ない時の台詞。
このチーム、いつも通りぐだぐだだけど、今日は行ける気がする。
「じゃあ整列するぞ」
キャプテンの合図でゆっくり並び始める。
「なんか円陣みたいなのやる? 相手さんやってるけど」
「俺らそんなキャラじゃないだろ」
「ゆるゆるやしなー」
「まあ、いつも通りでいっか」
『それでは、これからT学園と、H中学の試合を始めます。オーダーの確認を......』
どうでもいいかもしれない、でも、どうでもよくないかもしれない過去。




