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黒猫従魔と旅に出る。  作者: 海伶
第三章
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ォネエさん、また事件です!!

「スーフェ、スーフェはいるか!?」


 一騒動を終え、ベロニカの冒険者登録の手続きを行っていたところ、お父様が冒険者ギルドに飛び込んできた。


「ォネエさん、また事件です!!」


 どうしてか、また事件に巻き込まれる気がしてならなかった。きっと、もう逃げられない。


「スタン様、今度はどうされましたか?」

「あ、マリリンちゃん、とても可愛いくなったね」

「もうっ、スタン様ったら! フェリシア様に嫉妬されちゃうから、褒めるのはほどほどにお願いします♡」


 お父様も、マリリンを見ても全く驚かない。きっともう気にしてはいけない。


「お父様、どうされたのですか?」

「ああ、そうそう、光魔法が使える者が、どうしたわけか全員行方不明になったらしい。だから今、必死でその代わりになる者を探しているんだけれど……」

「光魔法が使える人って少ないんですか?」

「ああ、光魔法の使い手はとても貴重な存在なんだよ。まあ、聖魔法ほどではないけれどね」


 それほどベロニカの存在は貴重らしい。それに続くくらい、光魔法が使える者も国にとってはなくてはならない存在らしい。


「そう言えば、ここ最近では冒険者ギルドにも全く姿を現さなくなりましたね。平和だったから気にしてなかったわ。……そうなると、困っちゃうわ〜」


 マリリンも深刻そうに呟いた。


 どうしてかと言うと、闇属性のアンデッドが出てきた時に、対応できるのは、光属性魔法と聖属性魔法だけみたいだからだ。


 そうなると、ベロニカはロバーツ王国に残った方がいい気もしてくるけれど、冒険の旅に行きたそうだから、そこはベロニカの意思を尊重するつもりだ。


「それで、スーフェに旅をしながら、光魔法の使い手を探してきて欲しいんだ。スーフェは鑑定もできるみたいだし」


(確かに、鑑定で見ればいいだけだから、ちょちょいのちょい、だよね)


「分かりました! 光魔法の使い手ですね。国内にいないってことは、国外ですね。ちょうど次は隣国に行きたいと思っていたんです」


 魔境の森も通れるようにしたし。


「あ、そうだ! 魔境の森に隣国まで続く街道ができたみたいですよ! だから、国でも整備するように進めてください」


 できたみたい、とは言ったものの、わたしが作ったのだけれど。余計なことは面倒になると嫌だから言わないでおくのが鉄則だ。


「ふふ、スーフェったら、魔境の森に街道なんて、できるわけないじゃない」

「スーフェ、マリリンちゃんの言う通り、それは無理だよ。お義父さんにだってできなかったのだから」


 全く信じてもらえなかった。それなら、現地に行って見てもらうしかないだろう。


「本当ですってば! そうだ! せっかくだから、みんなで様子を見に行きましょうよ!」


 みんなで行けばコックス村までは馬車で行ける。ベロニカも冒険の旅に同行することが決まったから、できるだけ楽をしたい。


「みんなでって、もしかして、ベロニカちゃんもスーフェと一緒に行くのかい?」

「はい! 今さっき、無事に冒険者登録が済みました。スーフェと一緒に旅をします」


 ベロニカは笑顔でお父様にギルドカードをチラリズム。


「そうか、それは良かったね。じゃあ、ベロニカちゃんにもこれを渡しておくよ。吸収の魔石だよ。少し小さいのしかないけれど、何かの役に立つと思うよ」

「吸収の魔石ですか?」

「使い方は、後でスーフェに聞いてね。決して直接手で触れてはいけないよ」

「分かりました。ありがとうございます¥」


 ベロニカの目が¥になっている。これはまずい。


「ベロニカ、絶対に売っちゃだめだからね!! 何かあった時のために、防具に付けときな!!」


 わたしはベロニカの手から吸収の魔石の入った袋を奪い取り、ベロニカの防具に固く結んだ。絶対に外されないように。


 ちなみにベロニカの冒険服と防具一式は、つい先ほど冒険者試験の合格祝いにライアン王子が買ってくれたものだ。


 冒険者ギルド一押しのとても良い品みたい。羨ましすぎる。

 

「そう言えば、ベロニカはライアン王子と愛を育まなくてもいいの?」

「ふふ、スーフェったら、障害があればあるほど、愛は燃え上がるものなのよ!」

「……さっきは大炎上してたけどな」


 ルベがぽつりと呟いた。


 ちなみに先程の大炎上事件は、緘口令が敷かれることになった。当の本人(ライアン王子)は何が起きたかさえ覚えていないらしい。


「ライアン王子との婚約とかその辺の手続きは、マリリンとお父様に代理でお願いしようか!」

「そうしてもらえると嬉しいです」

「ああ、マリリンちゃんと相談して良い方向に進めておくよ」

「高等部からは、ベロニカが特待生で魔法学園に通えるようにも、手続きをお願いしますね」


 本当なら、ベロニカが魔法学園に入学しなければ、乙女ゲームの物語が完全に破綻して、わたし的には良いのだろう。


 けれど、それだとベロニカのためにならない。勉強する機会があるってことは、やはり素晴らしいことだから。


「じゃあ、今日は王都で旅支度をすませて、明日の朝、コックス村に向かって旅立とう! カルにも連絡しておこう。わたしは会える時には会いたい派だもの!!」


 その前に、旅の資金を集めるために、空の魔石に聖魔法と清浄魔法を込めて、お父様と冒険者ギルドに買い取ってもらうことを忘れやしない。


 冒険者ギルド用には、手に入りやすい小さい魔石に一回限りの魔法の効果を付与したものを試し売り。


 冒険者たちにも人気が出そうだと、マリリンがとても喜んでくれた。定期購入も視野に入れてくれるという。


 潤沢な資金の入ったお財布を持って、隣国へ旅立つために、王都の街でのお買い物を満喫した。






第三章が終了です。第四章は隣国へ!

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