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「──そして、かの魔法を極めし四人の賢者と一人の王が魔王を封印し、アディントス王国は悠久の平和を取り戻したのじゃった。」
「すごーい!」
「千年前のその頃は今よりももっと魔法が発展していたと聞く。」
「ねぇねぇ、おじいさま、僕も魔法が使えるようになりたい!!」
「そうかそうか。心配せずとも、15歳になれば教会で神よりお力を分けてもらえるのじゃ。それまでは魔法に関する勉強じゃな。」
「15歳まで待てないー」
「これこれ、知識もなく力を持てば災いが起こる。全てにおいて、順序というものは大切なのだ。」
「そっかー」
「ほっほっ、そんな残念そうにしなくとも、我がスラヴァリア伯爵家に生まれたのじゃ。お前の魔法は強く素晴らしいものであると約束されたようなものじゃ。」
「そうなの!?」
「事実、お前の父も叔父も、ランディール伯爵家から嫁入りしたお前の母も、みな強い属性魔法を扱うではないか。」
「そっか、そうなんだ!」
「お前の兄達もきっとそうであろう。我が家は実力主義であるから、お前も修練を積めばこの家の当主になることも可能じゃろう。」
「僕、お勉強がんばるよ! それで、このアディントス王国一の魔導師になるんだ!!」
「うむ。しかし何よりも大切なのは、諦めないことじゃぞ。」
「うん!」
──これは俺がまだ、両手で数えて足りるような歳の頃だった──