表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

カモがネギをしょってやってきた3

翌日 早朝


トントントントン


包丁が軽やかなリズムを刻む。

グツグツと音を立てる鍋からは、すでに良い香りが漂っていた。


「おはよう。ママ」


エプロンで手をふきながら、ママが顔だけを振り返った。


「おはよう。マーちゃん♪今日は早起きさんなのねえ」

「ええ。少し話したいことがあって」

「あら、珍しい」


ママは微笑むと、ちょっと待ってねと、刻んだ野菜を鍋へと放り込む。

スプーンで少し味を見て、もう一度すくうと、


「マーちゃんも味見してみて」


マーガレットにスプーンを突き出した。

マーガレットは苦笑すると、素直にパクリとスプーンを咥える。


「少しお塩が欲しいかしら」

「やっぱり?」


笑って、ママは目分量でぱらりと塩を降り足した。

鍋をかき混ぜて、再びスプーンですくう。


「ふむふむ」


言いながら、再びマーガレットにスプーンを向ける。

マーガレットも再度ぱくりとスプーンを咥えた。


「ふふ。美味しい」

「そうね!」


ママも満足げに笑うと、鍋の火を止めて蓋をした。


「さて」


ママは体をマーガレットの方へ向けると、


「座ってお話ししましょうか」

「ええ」


二人、向かい合って、席につく。


「それで?お話って?」

「ママ。実は、ルシアを違う世界で王様にしようと思うの」

「・・・」


ママは大きな瞳をくるりと大きくした。


「・・・」

「・・・」

「ふむふむ」


しばし、じーっとしていたママだが、しばらくすると、頭が働きだしたらしく、空を見上げながら、ふーむと何事が考えている。


「・・・」


ママの様子をマーガレットはただ静かに見守る。


「・・・うん。わかったわ」


にこり。


ママは微笑んだ。


「ちゃんと仲良く過ごすのよ?」

「ええ」

「なら良いわ」


それだけ言うと、ママは再び立ち上がる。


「さて。そろそろパンも焼いて、朝ごはんにしましょう。ママ、朝から一仕事したからお腹が減っちゃったのよね~」

「手伝うわ」

「じゃあ、冷蔵庫の中のパンの種を出して、焼いてくれる?」

「お腹すいたし、魔法でチャチャっとやっちゃっていいかしら」

「助かるわ~お願い」

「今日は、コーヒーも私にいれさせて」

「あら、大サービスね」

「たまにはさせて頂きます。ママは座ってて」

「じゃあ、お願いするね」


マーちゃんの焼いたパン久しぶりだわ~楽しみ~と歌うママに、マーガレットは、


「ママがママで幸せだわ」

「ママも、マーちゃんがママの子供で幸せよ」


背中合わせで、二人は、小さく笑いあった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ