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転生サキュバス6


「はーい、じゃあ、順番に名乗ってからあの的にファイヤーボール撃ってってねー。

 当てさえすれば的が勝手に計測してくれるから。

 あ、火の適性がない子も並んで、名前だけ言ってってね。表に書き込むのにこんがらがっちゃうから。」


今は魔法実技の授業中。というか、テスト中。

このテストをクリアしないと次の授業に進めない。

分かりやすく言うなら、今の授業が魔法実技1で次の魔法実技2に進むためのテストっていうわけ。

正直不安でしかない。


的との距離はだいたい10メートルぐらいだろうか。

そこまで遠くはない。


「お主、大丈夫なのか?先ほどから落ちつきがないぞ。」

「えーっと、あんまり大丈夫じゃないかな。」


吸精をしない私にとっては今、自分が持ってる魔力は寿命みたいな物。

アイラちゃんからもらってる例のアレである程度補給はしてるけど年々私の魔力は減っていってる。

だからこそ、私がテストのために魔法を撃って、練習する事はないわけで。


「正直落としそう。まあ、この授業時間中なら何度でもやり直せるから一回目は気楽にいくけど。」

「どう見ても気楽に、という顔じゃないんじゃがの。」

「頑張って~」


きゅうちゃんに気遣われ、アイラちゃんに応援されながらの第一回目。

・・・・・・落ちました。

私は基本五属性に適性が普通にあるので全部やったのですけど、全部落ちました。


「先生、何でですか。ちゃんと的に当てたし、威力も十分じゃないですか。」


取りあえず再テストの前にごねてみる。もしかしたらごね得になるかもしれないし。

そんな私に先生は苦笑しながら答える。


「いや、確かに威力的には既定のラインは超えてるんだよ。でもね、準備時間が長すぎるよね。」


うん、知ってた。


「あ、っはい。そうですよね。ちなみにもうちょっと準備時間を短くしたら合格のライン行きます?」

「うーん、ちょっとじゃ無理かな。そこそこ早くしてもらわないと。

 いやね、技術的に見たら先生もできないようなことしてるんだよ。でも、評価の観点からずれてるから」

「そこそこ早く、ですね。頑張ってみます。」


私の魔力は寿命みたいなものなので、とっても貴重です。

だから、私は魔法を撃つときに、空気中にある自然魔力を使えないか、と考えたんです。

それで、使えるようになったんですけど、魔法を撃つ時にしか使えないという。

実際、それなりに威力のある魔法を撃てるほど集まらないし、手間もすごいかかるからいらない技術として

見捨てられた技術なんですけどね。だから、先生はできないだけ、という。

実際、自前の魔力を使った方が万倍はいいし。


で、さっきのテストなんだけどその自然魔力を集めるのに時間がかかって失敗。

ちょっと失敗して余計に時間がかかってしまってたから、ほんとに調子がいい時のタイムなら何とか。






「ムーちゃん、がんば~。」

というアイラちゃんの応援のかいなく、私はついに成功させることはできなかった。

まあ、自前の魔力を使ってテスト事態は合格したんだけどね。


「むー、こうなったらやけ食いしてやる。」


というわけで時間はお昼。

購買で買ってきた菓子パンの束を机にどさどさっ、と置く。


「大量、じゃの」

「大量だね~」


別にいーもん、甘い物いくら食べても太らないし、体調も崩さない。

その点だけはサキュバスに生まれてよかった、と思うかな。


「じゃあ、わしはこれにするとしようかの。」


とか言いながらきゅうちゃんが取ったのはチョココロネ。私も結構好きなやつなのに。


「あっ、どろぼー!私のとーぶん!」


女の子は糖分がないと生きてけないんだよ。いや、私は糖分じゃ生きてけないんだけど。


「じゃあ、私はこれ~」


などと言いながらアイラちゃんまで私の菓子パンを取ってくる。

取ったのはアンパン。上に乗ってるゴマがいいアクセントになってるんだよね。


「ちょ、ちょっと、アイラちゃんまで取らないでー。」


抗議するも、二人は困り顔の私を見て微笑んでいる。

このいたずらっ子どもめ。


「ほれ、チョコケーキ食べたじゃろ。」

「・・・・・食べたね。」

「よろしい。ところで今、何か言ったかの?」

「なんでもないですー」


ぐぐぐ、こんなトラップが。

いや、絶対あのケーキの方が高いからいいんだけどね。

むしろ購買のパンと比べるのが失礼なレベルだったし。

そう考えるとアイラちゃんには例のアレをもらってるんだよなー。うう、なんもいえねー。


「はい、あーん。」


と思ってたら目の前に茶色いものが見えたのでとりあえずパクリ。

うん、アンコおいしい。


「アイラちゃん、アイラちゃん。

 なんの小説で読んだのか知らないけど、アンパンであーん、は普通やらないよ。」


全く、この純粋な子にそんな本を与えたのは誰?こうやってマネするに決まってるじゃん。


「ムーちゃんが貸してくれた本に書いてあったの~。仲がいい人どうしでやるんでしょ~?」


あ、私か。仲がいい人は仲がいい人だけどアイラちゃんが思ってる仲とは違うんだよね。

たしか、恋愛小説を貸したような覚えがある。

もしかしてあの結婚のくだりも私が貸したあの本が原因なんじゃ。

取りあえず訂正しといたからこれからはアンパンであーんは来ないでしょう。

あ、アンパンもっと食べてから訂正しとけばよかった。


「そうなんだ~。」


アイラちゃんは説明が分かってるのか、分ってないのかいまいち判別のつかない返事をしながら

私がかじったアンパンをパクリ。


「あっ」


これって間接キス?

思わずアイラちゃんの唇を見てしまう。いやいや、間接キスを気にするなんてガキじゃあるまいし。


「ん~?なーに~?」」

「なんでもないよ。おいしい?」


食べるところをじっと見てた私が気になってきたのか聞いてきたけどごまかす。

が、ごまかしきれてなかったようで


「あ、この場面知ってる~。間接キス、っていうんでしょ~。本に書いてあったよ~」

「ぶふっ」


もー、何やってるの!私の本はー。



この物語とは関係ないですけど、吸血鬼にもいろいろなタイプがありますよね。ディウォーカー(日光に当たっても問題ない吸血鬼)が強いタイプの作風だとか、人間と吸血鬼のハーフのヴァンピールが強いだったりとか。作者的には日中は弱かったり、ダメージを受けるけど、夜はむっちゃ強い的なヴァンパイアにロマンを感じて好きですね。

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