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転生サキュバス5


「全くもう、一緒にいてくれるのは嬉しいんだけど二人は過保護すぎるって。」


翌日になってまた、朝の教室。二人が一緒にいてくれたことは素直にうれしいんだけどね。

けど大丈夫だって分かったんだから教室戻ろうよ。


「そういわれても~。」

「仕方なかろう。おぬしが虚弱なのが悪い。また、いつ倒れるか心配でならんわ。」


うー、私、よく倒れるからなー。あんまり強く言えないんだよね。


「あ、そうだ~。はい、例のブツだよ~。」


そう言ってアイラちゃんに渡されたのは一つの水筒。


「いつもすまないねー。アイラちゃんには苦労をかけるよ。」

「いいよ~、じゃなくて、それは言わない約束だよ~。」


アイラちゃん、結構私に影響されてるのかも。

ところどころこういうネタ振ってくるし、ネタに反応してくれるようになってるし。

きゅうちゃんはいまだにこのネタやノリについてけてないからまたやってる、って顔してるし、

まだそんなに私に影響を受けてないんだね。


ちなみに、この水筒の中身はアイラちゃんがドライアドの固有スキルで生成した液体が入ってる。

本人曰く樹液、みたいな物、らしい。

特に名前はないらしく、アイラちゃんは一貫して例のブツとか例のアレ、って呼んでる。

まあ、その名前のせいで怪しさ満載なんだけどね。


「今回はハーブとかも入れて味整えてみたから~、感想ちょうだいね~。

 感想次第で調整するから~。」

「びしばし、感想言うから覚悟しといてよー。」

「ふふ、首を洗ってまってるよ~。」


あれ、首を洗って待っとく、ってそんな使いかたしたっけ?まあ、ノリで分かるからいいけど。


ちなみにこの例のブツ、私のほぼ唯一の魔力補給源だったりする。

サキュバスっていう種族はカロリーで生きてるんじゃなくて魔力で生きてるんだけど、

その魔力を得る方法が吸精なわけで。

吸精はしない。食べ物からはほとんどエネルギーを得れない。

そんな私が生きているのはこれのおかげと言っても過言じゃないわけで。


「あれ、私、アイラちゃんなしでは生きてけない体になってる?!

 アイラちゃん、責任とって!」


いつものおふざけでアイラちゃんに詰め寄る。

アイラちゃんなしでは生きていけない、ってところが過言じゃないのがちょっとやばいんだけどね。





「いいよ~。結婚する~?」




っていうアイラちゃんの返事が教室中に響いた。

えっと、あるじゃん。あの、なんか会話の隙間が重なって妙な静寂が生まれるの。

なんか、妙におかしくてその後どっと笑っちゃうやつ。

あれが起こった時にアイラちゃんの返事が響いたわけで。

それはむっちゃ注目されるよね。

え、あの二人って、ってなるわけで。

えーっと。


「見世物ではないぞ」


きゅうちゃんが周りを威嚇してくれたから注目が薄れてぽつぽつと会話が戻り始めたんだけど、

まだちらちら、と見られてる気がする。


「ムーちゃん、顔まっか~」


うるさいやい。誰のせいでこうなってると思ってるの。


「爆弾発言したのんびり娘もじゃが、お主がそんなに顔を赤くしてるから気にされるのじゃぞ。

 全く、お主、一応サキュバスじゃろうに。初心すぎやしまいか?」

「仕方ないでしょー、種族がそうなだけなんだから。」


アイラちゃんは冗談言いう時もトーン変わらないからそのまま受け取っちゃうんだよ。


「だいたい、私、恋すらしたことないんだから仕方ないでしょー。」

「む、ないのか。」

「・・・・・・だって、生きるのに必死だったし。」


吸精をしない、ってことは人間でいえばご飯を食べない、ってことで。

むしろアイラちゃんと会うまではそれで生きてこれた魔族ってすごくない?

吸精しないでも生きてけるように色々と努力はしてきたんだけど、あんまり成果はないんだよね。

文字通り恋なんてしてる暇なかったんだよねー。


「もうね、恋って何、おいしいの?ってレベルなんだよ。」

「お主、そこまでか。」


「そういうきゅうちゃんはどうなのさ?恋、したことあるの?」


あ、なんか恋バナしてる感がすごい。なんかすっごく学生っぽい。


「ふむ、ないな。」

「ないんじゃん。」


人の事を初心とか言っといてきゅうちゃんも初心じゃん。


「じゃが、お主程初心ではないぞ。少なくともあの程度の冗談で動揺などせんわ。」


あ、っはい。さいですか。確かに動じなさそうだけど。



「ん~?冗談じゃないよ~?」

「「・・・・・・・」」


きゅうちゃんと顔を見合わせる。


「ふふ、二人とも面白いかお~。」


えーっと、どう反応すればいいんだろう。

冗談だと思うんだけど。いや、ほんとに冗談?

きゅうちゃんと目線で相談するけど何にもいいアイデアが浮かんでこない。


「ところで~、結婚って何するの~?」


「あ、アイラちゃんが一番子供だね。」

「うむ、驚かせおって。そこまで無知だとは思わなんだ。冗談を言ってる気配がなかったのも納得じゃ。」

「私も冗談に聞こえなかったからどう反応したものかと悩んだよ。」


アイラちゃんに結婚の意味を説明するもいまいち、ピンと来なかったようで、

「ムーちゃんのこと好きだよ~」っていうお返事をいただきました。

きっとアイラちゃんの中では赤ちゃんはコウノトリが運んで来たり、キャベツ畑で取ってくるんだろうな。

と、思って聞いてみたらなんと、木から生まれるんだよ~、っていう回答が。

実際、ドライアドは木から生まれるそうです。

魔族はお母さんから生まれる、って限らないのか、と今更ながら理解したり。


アイラちゃんに振り回されっぱなしで、なんかまだ授業始まってないのにつかれたよ。


この物語とあんまり関係ないことですけど、ファンタジー系の物語ってよく学園が出てきますよね。学校と学園とでは呼び方が違うだけなのか、いろいろと意味も違うのか分かってない作者です。

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