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転生サキュバス4


「過度の空腹時に急激な魔力行使、それとストレスが原因ね。

 しっかり食べて、しっかり寝て、しっかり遊びなさい。大体それで解決するわ。」

「あの、先生。私の事情分かってて言ってますよね?」


サキュバスだから吸精しないといけないのに吸精した事がない私。絶対にしたくない私。

どうにかできないかと相談に来たことあるし。

食べて、の所が絶望的なんだよねー。普通の食べ物食べても雀の涙程度しかエネルギーにならないし。


白衣を着た女性。ただし、犬の耳としっぽがついています。

間違えた。狼の耳としっぽがついています。

はい、人狼です。別に満月じゃなくても耳としっぽはついてます。

満月の時は超、毛が生えて獣っぽくなるらしいけど。

魔族の種類としては戦闘系に分類されるからこういう医療系に関わる彼女はレアだったりする。


「知ってるわよ。けど保険医として言えるのはそれだけよ。

 なに?カウンセラーでもしてほしいの?肉体言語でもいいなら付き合ってあげるわよ?」

「いえ、結構です」


やっぱり、戦闘系だわ。

この人なら本気で病人とどつきあいしそうで怖い。


「・・・・・・冗談よ?冗談だから殺気をおさめてほしいのだけど。」


そんな先生もきゅうちゃんの威嚇でタジタジに。

あ、きゅうちゃんは吸血鬼だよ。

こっちの物語では人狼は吸血鬼の配下、っていう話が多いけど力関係的にはそう見えるかも。


「はい、のんで~。どれだけ効くかは分からないけどストレス緩和系、身体機能の補正系のお薬だよ~」

「ん」


アイラちゃんがコップを傾けて薬湯を飲ませてくれる。

自分で飲むぐらいはできるんだけど。


「はー、やんなっちゃう。医療系の知識で私、その子にかなわないんだもの。

 私のする事なくなっちゃうじゃない。まあ、堂々とさぼれるからいいんだけど。」


先生が仕事を取られてふてくされてる、と思ったら仕事をさぼれてラッキー、って感じだったみたい。

適当だなー。


「私はアイラちゃんの薬の方が好きだなー。甘いし。それに先生の薬は苦いんだもん。」

「しょうがないじゃない。良薬は口に苦いのよ。

 まあ、それもその子に任せたら良薬もおいしくなってしまうのだけどね。」


そう、アイラちゃんが作った薬湯はおいしい。

苦いものと相場は決まってるはずなのに、普通に普段から飲みたくなるような味のものなの。


あ、ちなみにアイラちゃんはドライアドね。だから、自然の恵みである薬草とかにとっても詳しい。

ドライアドに医療系は結構天職なんだよね。


「ところで、先生。なんで二人までここにいるんですか?

 もう授業始まってますよね。普通は教室に帰すところじゃないんですか?」

「だってしょうがないじゃない。この二人にここに残る、って言われたら逆らえないもの。」


それって二人っていうか、主にきゅうちゃんだよね。

今は薄れてきてるけど魔族は力至上主義的なところあるからなー。しょうがないか。

いまいちなじめないけど、そういう文化だし。


「と、いうわけで私はもう教室に戻りますね。」

「だめよ」「許さん」「だめだよ~」


ちっ、自然に教室に戻ろうと思ったのに。友人二人は過保護だし、先生も許可してくれないし。

というより、私は大したことなかったんだから二人は戻った方がよくない?

絶対戻った方が良いよね。やっぱりおかしいって。


「おお、そうじゃ。そういえばちょうどいいのがあったわ。」


どうやって教室に戻ろうか、と画策している私を邪魔するかのようにきゅうちゃんが何か取り出した。

木の箱で入れ物からして入ってるのなんか高そう。


「おぬし、前おいしいチョコケーキが食べたいと言っておったじゃろ。

 今回の行った先でちょうど売っておったから土産に、と買って来たんじゃ。

 健康にいい物も入れておるらしい故、今食べるといいじゃろ。」


ケーキ!

ここら辺、あんまりおいしいスイーツがないから前ぼやいたのを覚えててくれたんだ。

いや、ここら辺のも普通においしいんだよ。けど、普通の範疇を越えない、っていう感じで正直微妙。


きゅうちゃんの教室に行かせない、という魂胆は透けて見えるどころか丸見えだけどこれはつられる。

女子は常においしいスイーツを求めてるんだよ!


「た、食べよう。あ、けど高かったんじゃない?なんか入れ物からして高級そうだし。」


ちょっとそんな高いの食べるの気が引けるかも。きゅうちゃんにも助けられてばっかだし。


「まあの、スイーツにしては高かったの。じゃが、所詮スイーツの値段じゃからの。

 わしにとってははした金にすぎんかったから遠慮などせんでいいぞ。」

「そ、そうだよね。たぶん見たらびっくりする値段だと思うけど所詮スイーツだもんね。」


というわけでご相伴にあずかることに。

きゅうちゃんが付属の銀ナイフで切り分ける事に。

チョコレートケーキは1ホールあるからもう、好きなだけ、って感じだね。

ああ、ちなみに先生もその場に居合わせた幸運で分けてもらえることになった。とっても嬉しそう。

まあ、さすがに遠慮して(?)小さめに切ってもらってたけど。


フォークはどうしよ、って思ったけど、それも木の箱の中に入ってた。

さすが高級なのは違うね。


「んーーーー、おいしいっ!なにこれ、中にいろいろ入ってる。

 場所によってちょっとずつ味違うし、全然飽きが来ない。甘め、苦め、すっぱめ、どこもおいしい!」


なんかね、ベースのチョコレートケーキは同じなんだけど、中に入ってる小さな粒の味が

ちょっとずつ変わっていて、それによって生地の味わいが変わってとってもおいしいの。


「・・・・・これは~、秘薬の原料、けど、これとこれの相性は悪いはずなのに、あ、これで間を取り持ってるの。そうなってるからこそ・・・・・・・・・・・・・」


なんか、アイラちゃんがすっごい考察してる。

ってことはこのケーキ、薬効レベルで体にいいんだ。すごいなー。

こんなにおいしいのにアイラちゃんを感心させるレベルの薬効があるなんて。


おいしすぎて1ホールあったのに四人で全部食べちゃった。

まあ、私が半分ぐらい食べちゃったんだけどね。

だって、吸血鬼もドライアドも元々食べ物を食べる種族じゃないし、

よく食べる人狼の先生も遠慮してたんだもの。

まあ、種族的な事を言えばサキュバスも食べないんだけどね。


ちなみに、私はこの時全く気付いて無かったんだけど、このケーキは馬鹿にならない程高かったらしい。

どれぐらいの値段かというときれいな細工が施されている銀のナイフ、銀のフォークが

おまけとしてついてくるほどの値段、と言っておこうか。

うん、スイーツの値段としてはおかしいよね。

木製の使い捨ての食器が入ってるの感覚でおまけで銀食器がついてくるとか。

ケーキの値段はいくらなの、って聞きたくなる。

いや、やっぱ聞きたくないや。聞いたら目ん玉飛び出そう。



「ふぅ、はぁ」


ん、なんか、体が熱くなってきた。

軽くなってるような、体の中で何かが解放されてるような。


ケーキの薬効が効いてきたのかな。どんな内容の薬効なんだろう?

まあ、きゅうちゃんが持ってきたってことはいい内容なんだろうけど。


なんか、今はこの感覚に身をゆだねてたい気分。

くー、きゅうちゃんの策略にはまったかな。はまってもいいや。

もう、保健室でゆっくりしてこっと。



そのままその感覚に身をゆだねてた私はどうやらいつの間にか眠っていたようで。

起きた時はすでに学校が終わっていた、というオチまでありましたとさ。

しかも二人はその間ずっと保健室にいたという、なんとも笑えない結末に。

私が謝り倒したのは言うまでもない


この物語のあらすじに書いてあるとおりサキュバスに生まれたけど人間の価値観を持つが故の葛藤があると思うんですよね。だから生存することが大変だという。

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