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サキュバス少女1


私の朝は妹を起こすことから始まる。


「クーちゃん。起きて、朝だよ。」


ベッドに近寄りながら声をかけるけど、クーちゃんがこれで起きてくれたことがないんだけど。

もうわざとやってるんじゃないかっていうぐらいに起きてくれない。

私も学校があるからそんなにゆっくりはしてられないんだけどなー。


「クーちゃん。クーちゃん。」


仕方ないので肩をゆさゆさしながら声掛け。まあ、この段階でも普段起きてくれないんだけどね。

けど、我が妹ながらすっごい整った顔してるなー。まつ毛も長いし。(語彙不足)

なんかお姫様みたい。

こんな子がもうすでにしている(・・・・)だなんて信じられないぐらい。


「んー、あと5年~」

「長いっ、ながいよ!さすがにそれだけ待ってらんないよ。ちょっ、起きてー」


くっ、やりおる。次は私が布団を引きはがしてくると分かってるからきっちりと布団をつかんでる。

私、軟弱に育ったとは分かってるけど、寝ぼけ気味の妹に力で負けるとは、屈辱。

そんな落ち込み気味な私の状態に気づいたのかクーちゃんがしぶしぶ提案してくる。


「もー、しょうがないなー。キスしてくれたら起きるー。」


しょうがないはこっちのセリフだよ!というか、貴様は眠り姫か!あ、すっごく似合いそう。

悔しいけど、経験則でこっちが折れるしかないのは分かっている。

だって、この子、前にこっちが折れずに起きて来なよー、って放っておいたら私が帰ってくるまで

起きてこなかったんだもの。

というわけで額にキスをしてあげる。

するとどうでしょう。今までかたくなに開こうとしなかったおめめがぱっちりと開いたではありませんか。

えーい、やっぱり完全に起きていおったなー。

関係ないけど目も大きいよね。かわいい系美人だなー。


「もー、なんでそっちなの?」

「いや、クーちゃん。むしろそこ以外にどこがあるというの?」


あ、ほっぺも普通にあるか。それがあいさつになってる国もあったらしいし。まあ、無縁だったけど。

だから、クーちゃんや。そんなに唇を尖らせてもそこにすることはありませんよー。

全く、ませた子め。って言いたいところだけど、実はむしろ私の方が子供なんだよなー。


「はいはい、冗談はいいから。お姉ちゃんは朝ごはん食べてもう出てくからねー。」


そう告げたとたんにクーちゃんは不機嫌になる。くー、不機嫌な顔もかわいいとか反則じゃない?


「えー、ゆっくりしてこうよ。」

「いや、学校に遅れちゃうからね。せっかくの無遅刻無欠席がなくなっちゃうじゃない。」


皆勤賞は私のものだ!いや、無遅刻無欠席の人全員がもらえるから私のものじゃないんだけどね。


「うー、わかった。じゃあ、お休み。」

「はいはい、お休み。」


不満そうな顔を隠すように布団を頭までかぶり、クーちゃんはまた夢の国に旅立っていった。


まあ、クーちゃんは学校に行ってないからね。学校に籍を置いてないし、ある意味無遅刻無欠席だよ。

時間を有効活用したい、とかで家庭教師を雇って集中して学んでるんだよ。

そもそもこの国に義務教育とかないしね。


だから、私がこの時間に起こす必要はないんだけど、まあ、さっき言ったように私が一回起こさないと、

ずっと寝てるからね。いい加減姉離れさせないといけないかなー、っていうのが今の私の悩み。




「おかーさーん、クーちゃん起こしてきたよー。朝ごはんちょーだい!」

「はいはい、朝から元気ね。」


朝のノルマを無事達成した私は朝食をとる。

ちなみにこの家族で朝食を取るのは私だけなんだよねー。

クーちゃんは知っての通り朝は寝てるし、というより本来的には食べる必要がないから。

だから、まあ、お母さんのご飯もお察し、というかなんというか。

うん、正直あんまりおいしくない。

自分で作った方がおいしい、でも作ってくれるのが嬉しいからいっつも用意してもらってる。

私も親離れした方が良いのかなー。


サラダ(ざく切りのキャベツのみ)と卵(たまに殻が混ざってる)と適当に焼いたお肉(いまだになんの肉なのか分からない)を急ぎながらかきこんでるとお母さんが目の前の椅子に座った。

あ、小言が来そうな予感。

というわけでさらに食べるペースを早めてできるだけ小言の時間を短くするよ。


「で、あなた相変わらずまだ(・・)なの?」

「ほへへのはのへろはえ」


口に物を突っ込んでるから聞き取れないでしょう。聞き取れないだろうから話しかけるのやめてー。

ちなみにさっきのは適当に声を出しただけで元から何ら意味のある文章を言ってない。


「はあ、まだなのね。いつになったらお赤飯を炊けるのかしら。」


だけど、そんな私の反応で全てを悟ってしまうのが母親というもの。

というか、炊いても食べるの私だけじゃん。

むしろ私たちの文化に赤飯を炊く文化なんてないでしょ。だって基本食べないんだし。

もう、耳タコな話だからできるだけ聞き流す方向で。


「クーはもうすでに夜会を開くほどになってるのにあなたはまだした事すらないのよ。

 なんでそんなに嫌がってるのよ。」


ごくり、と口の中の物を飲み込んでからひと言。


「だって嫌なんだもん。」


他の事なら大抵聞くけど、こればっかりは譲れない。

というより耐えられない。


「初めては怖いものだって思ってるかもしれないけど別にそんなに大したことじゃないのよ?」

「・・・・」


もうこれ以上私が主張する事はない。

だから黙々とご飯を食べ進めるのが私の日課。

そしてそんな私をどうにかしようとするのがおかあさんの日課。


「ごちそうさまっ!」


結構な量の朝ごはんを食べた終えたけど体が訴えるのは空腹感。

ただ、どれだけ食べてもそんなに変わる事はないのは分かってるからもうおしまい。

無駄にエンゲル係数を上げるだけだしね。


「じゃあ、行ってきまーす。」

お小言から逃げるようにぱっぱっ、と用意を済ませ、玄関から出ていく。





ーーーーーーーーーーーーーー


「あ、あなた。おはよう。今日は早いのね。」

「ああ、昨日は思ったより早くに終わったからね。」

母は玄関から出ていったばっかりの困った娘の事を思い出す。

「ねえ、聞いてよ。あの子、相変わらずまだなのよ。」

「む、そうなのか。」

「そうよ。クーはもう夜会まで開いてるのに。このままじゃあの子・・・・。」

「そうだな。姉なのにクーと同じぐらいか、むしろ小さいんじゃないか?明らかな発育不良だな。

 ・・・・・仕方ない。初めてが私だと問題が出かねんから避けてきたがこのままなら致し方なしだな。」

「・・・・・そうね。でもあの子の意思も尊重したいし、もうちょっと改善が見られないなら」

「ああ、分かってるよ。

 全く、なんでそんなに嫌がるんだか。」



感想をもらうとモチベがアップする可能性が存在です。

誤字脱字報告もらうと訂正する可能性も存在です。


後関係ないですが、皆様が日頃穏やかに過ごせますように作者も祈っています(なぜか)

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