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  作者: KOUKI
9/10

8


 「昨日は喋るだけ喋って、今日はこっちの質問にも答えてもらうからな!」


 「ガハハハハ。そういうつもりではなかったんじゃが、まぁよい。答えられる……」


 「はぁ? 何もわからないだろうから、優しさで説明してあげたってのに、まったく、これだから子供は……」


 「こらこらリタよ。せっかくわしが応えてあげようと、心の準備をしているのに……」


 「ハゲは黙っていなさいよ! まだまだ説明しないといけないことが、いーーーーっぱいあるのよ! じゃないと、何も知らず、この子死ぬだけよ」


 まーた始まった……座るか。


 「あのぉー」


 「おっと、スマン。スマン。口封じするからすこーしだけ待ってなさい。ガハハハハ」


 「え、イヤ……鍵は閉めないでーーーー!!」


 鍵?


 「――――――待たせたな坊主! ガハハハハ」


 「あ、うん。良くわからないけど、頭の中でごちゃごちゃされるとワーーーーってなるから姿だけでも出せない?」


 「そうじゃな。それは説明しなければならぬことの一つ。よし、わしの名前を叫んでみるんじゃ」


 「え? うん。それじゃ――フォカロス!」


 空間に声だけが木霊する。


 「説明不足じゃった。姿をイメージしながら名前を呼ぶんじゃ。ナイスミドルじゃ。わかったな。ハゲてないからな。ガハハハハ」


 「ハゲロス!! あっ」


 目の前に、頭頂部が綺麗な、小さいおっさんがポンッと現れる。


 「コラッ! 名前も姿もこれじゃないわい! しかし、まぁ、こういうことじゃな。名前ってのはその人と成りを表すもんじゃ。名前とイメージが伴ったとき、わしもリタも仮初の肉体を持つことが出来る。そして、実体と近いほど、より大きな力を発揮することが可能じゃ」


 顎鬚を優しくとかし、時折、頭頂部を寂しそうに触れる。


 「思ったより簡単だね。この調子で……リタ!」


 「ガハハハハ。無駄じゃ。鍵かけちゃったもーん。一応わしがここの管理人じゃからな」


 鍵輪を人差指で軽快にクルクル回す。


 「まぁ、坊主の練習にならんし、また開けるかのぅ…………」


 鍵の一つが強い光を放つ。と、同時に桃色の扉が呼応する。光と光が道を作り、静かに音を立てる。


 「坊主。呼んであげるんじゃ」


 「リタ!」


 正面に、十代半ば、ピンク髪、白いワンピースを着た中肉中背の女性が腕を組み、仁王立ちで召還される。


 「よっくも鍵をかけてくれたわね! でもま、容姿は合格点だから許してあげるわ!」


 「リタはそんなに若くないし、胸ももうすこーしだけあるわい。ガハハハハハ」


 「パパは、ぶふっあははははは…………いいんじゃない……腹痛い……」


 「笑いすぎじゃ! これじゃ力の十分の一も出せんが……最初じゃ、よいよい。次じゃな。色々な姿をイメージしながら、実体に近づけていくんじゃ。リタも座ったらどうじゃ。足の隙間から見えとるぞ?」


 骨と何かが勢いよく接触する音と共に、小さいおっさんが宙を舞う。足を振り上げきったリタの服装も、次からは動きやすくしてあげようと、冷静に考えるラインハルトだった。


 「レコーディスってなんなの?」


 ラインハルトの正面に二人が並ぶ形で寛ぐ。


 「その質問にはわしが答えよう。簡単に言えば、記録媒体じゃな。画期的じゃろ? わしの最高傑作と呼んでもいい出来じゃわい」


 「お陰様で、こっちは死んでもここに居座り続けてるんですけどね!」


 「それは、まぁ、あれじゃ。ガハハハハ」


 そういえば、俺が七代目とか言ってたような………………。

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