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第 1話 時間についてのあれやこれや

ども

小説、投稿、連載、すべてにおいて初めてづくしの身ではありますが 破綻することなくなんとか完走を目指したいと思います。

不束者ではありますがよろしくお願いします。

「 暇だねェ〜ッ 」

「 暇ッすね ♪ 」

「 …… 」

 黄色いエプロンタイプの制服姿の男女が会話をしている。

「 大丈夫なんすか?」

「 何が?」

「 お店に決まってるじゃないですか 」

「 ゥゔァわぁぁぁ〜!」

「 …… 」

 男性の方は20代半ばから後半といったところか。無造作な長髪で 顔立ちはキリッと整い何処と無く鋭い目付きは時折優しげに見えることもある。ぱっと見ヘビメタバンドでギターでも弾いていそうな雰囲気だ。

「 まあ赤字にさえなんなきゃ餓死する心配ないしね バックヤードに難民家族一世帯養うくらいの余裕あるし 月夜(つくよ)君 養ってあげ…

「 結構です! てか廃棄商品に頼りっきりじゃないですか! その現代社会の負け犬野郎的な考え方ヤメて下さい 」

 男性とおしゃべりしている月夜君と呼ばれた女性は化粧っ気もなく、まだ少女らしさの残る20歳前後の可愛いらしい女性である。潤んだぱっちりとした瞳はほんの少しだけ儚げにも見えオトナの女性と少女の中間のような不思議な印象を受ける。

「 そうだ! バックで豚を飼おう 」

「 …… 」

「 そうだ! バッ…

「 何で?」

「 売るんだよ 」

「 誰に?」

「 肉屋さんに 」

「 …… 」

「 廃棄商品を使えば餌代がかからないから丸儲けできるじゃないか 」

「 誰が面倒みるんですか?」

「 月夜君が 」

「 嫌です だいたい何で都会の片隅のコンビニエンスのバックヤードで豚さんを飼育しなきゃなんないんです 私は何者なんですか だいたい共に時間を過ごせば愛着もわくし情もわく ブヒブヒいって懐いたトンペイを食肉業者に売り飛ばすなんて…あなた鬼畜ですか 冷血ですか ドナドナなのですか 」




 ここは東京都内のとあるコンビニエンスストア、 都内と言っても区の外側 、市である 。東京といえば23区で形成された大都会をイメージする人が多いかもしれないが そんなことない、23区の外側には市が張り付いていて駅前こそソコソコ都会的だが15分も歩けば何も無い 車はそれなりに通るが人なんてたまにしか見かけない。

 ”セブンスマート'' 7をシンボル化したどこぞの某有名チェーン店まるパクりな看板だけで胡散臭さ100万倍だ。だいたい今まで見たこともなければ聞いたこともない、からあげもなければおでんもない チケット発券や商品注文を行う機械も無い、ただ陳列してある商品をレジで会計するだけのお店である。

 レジカウンターで後ろにもたれかかりながらくっちゃべっている見るからにヤル気のない2人の男女の店員が私鳥迫月夜(とりさこつくよ)と店長兼オーナー兼不良店員の … 店長である。

 年齢不詳( 教えてくれないが20代中半から後半といったところか)名前は何回か聞いたが … 忘れた。まあ店長と店員以上の感情は私には皆無な訳だから ”店長” という固有名詞さえあれば困ることはない。背は175前後 髪は長髪(なぜか似合ってる)顔は … まあソコソコなのか? 性格は適当すぎて一緒にいたらこっちの方がダメになるタイプだ。

 店は朝夕の時間帯はそこそこお客さんは来るがそれ以外の時間は基本暇である。駐車場でもあれば少しは違うのだろうが。では、なぜこんな閑古鳥が鳴くマイナー店が存続できるのかというと、店長の持ちビルなのだ。つまり家賃がいらない。光熱費とバイト代さえどうにかできればいいらしい。廃棄商品がある限り死ぬことはない。もともと店長にヤル気がない以上、売り上げ至上主義の大手フランチャイズより 仕入れ管理だけしかしない超マイナーな ''セブンスマートグループ” の方がなにかと都合がいいらしい。

 ちなみに セブンス・マートではなくセブン・スマートらしい。意味がわからない。


「 うギャ!」

「 変な声出して生理でも始まったか 」

「 サイテー野郎ですね てか店長のくだんない 晴れた昼下がりに市場に行った的な話に付き合ったげたのに5分しか経ってないじゃないですか 」

「 時間なんて気にするほど有意義な人生を歩んでないだろう 」

「 ふっフーン あと15分であがりですよ しかぁし この15分 いわゆる試練ですね トイレを我慢してる時の終業まえの5分間 夏休み前の1週間 時間とはどうしてこうまで私の前に立ちはだかるんだ 私は何に試されてるの 」

「 時間なんて信用しちゃダメだよ 思ってる程正確じゃないからね そのうち裏切られることになるヨ 」


ピンポ〜ン ♪


「 いらっしゃ…

「 いらっ…

来客のチャイムに2人そろって反応しかけたが誰もいない。嘲笑うように無人の自動ドアが閉じていく。誰もいないのに 「 いらっしゃいませ 」と中途半端に声を出しかけたことに2人とも居心地の悪さを感じる。

 条件反射とはやっかいなもので前にコンビニで買い物してて店員さんの「 いらっしゃいませ 」につられて自分も「 いらっしゃいませ 」と言ってしまって死ぬ程恥ずかしい思いをしたことがある。


「 ドア 壊れてるんじゃないですか 」

「 もしや霊的なやつかも 」

「 ヤメて下さい 泣きますよ それより時間が正確じゃないってどういうことですか 時間は裏切ったりしないですよ 時間が正確じゃなきゃカップラーメンも作れないじゃないですか 」

 店長は時折、意味の分からない話を始めるのが困りものだ。いちいちそれに乗っかる私も私なのだが。

「 そりゃカップラーメンの麺が食べ頃になるまでの3分という時間は正確に刻まれてるさ だけどその3分間という時間の長さは待つ人によってそれぞれ異なってるってことだよ 途轍もなく長く感じて我慢しきれず2分30秒で固茹で覚悟で箸をつける人もいれば ちょっと気を抜いた間に5分くらい経っちゃてノビた麺を啜る人もいるってことだよ 」

「 そんなの その人の気の持ちよう次第じゃないですか 」

 そうなのだ、気の持ちようなのだ。子供の頃、嫌な時間ほど長く感じるくせに楽しい時間は一瞬で過ぎ去ってしまう。と言う経験は誰しもあるのではないだろうか。

「 そうだよ 気の持ちよう次第で長くなったり短くなったりする そんないい加減なものの何を信用しろって言うんだい 」

「 …… 」

「 例えば何千年も生きる植物と何日間しか生きない虫けらが同じ時間を体感してるとでも 」

「 …… 」

「 例えば 1年間で物凄い偉業を成し遂げた人物と何一つとして成し遂げようともしなかった君が消費した 1年間という時間の長さが等しいだなんて君はどのクチでほざくつもりだい 」

 酷い言われようである、が反論出来ないことがなんかムカつく。

「 なんで私が責め苛まれる流れになってるんです そりゃ自堕落な人生なのは認めます しかぁし 店長 あなた雑誌の返品する時に付録は返品しなくていいとか言って児童向けの雑誌の付録の紙細工にしてはクオリティの高すぎる戦隊もののロボット組立てたりして遊んでますよね たまに成人向け雑誌から付録のDVD抜き取ってるのだって知ってますよ なんとか言ってみろ このクズ野郎 」

「ま まぁ 落ち着きたまえ 月夜君 あれだよ 今の時代が何を求めているのか あらゆる年齢層の欲求をモーラしておくのも 都会のオアシス コンビニエンスストア経営者としての責務なのさ ハハハ 」


  … チリン と鈴の音が聞こえたきがする。空気が硬く肌を包み込む 知っている 知っているのにわからない感覚に包まれる


「 つまりだ …

( このひとは時々こういう顔をする 私は見たくないのに そんな顔で私を見つめないで欲しい 忘れたんだから なかった事にしたんだから あの夜の事は なのにどうして そんな顔で私を 私にはそんな資格はないのに 聞きたくない なのになぜ 勝手に 勝手に私の心をかき乱すな 勝手に刻み込むな )

時間は止めることなど出来ない が 推し縮めることも引き延ばすことも 君の 君が好きにすればいい 」


「 お疲れ様です 」


 突然の声にハッとした2人の視線の先には美しい少女がいた。


う〜ん 本当にこれで大丈夫なんだろうか?

大丈夫じゃない気もするけど

とりあえずは行き詰まるとこまでは見切り発車でGO ! なのです。

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